「なぁ、凪……」
「ちょ、レオ……これ……。どうしたの?」
「どうしたもこうしたも、なんだよこれ!」
風呂上がり。部屋に戻ってくると、クローゼットの中身がひっくり返っていた。
部屋にひとりでいる間、つまらないからと勝手に漁りだしたのだろう。玲王が、クローゼットの中から引っ張り出したパンツやパジャマを見てケラケラと笑う。「高校生にもなってヒヨコ柄って!!」と、今度は腹を抱えて笑い出した。心外だ。ヒヨコに罪はないし、そもそもクローゼットを勝手に開けたのは玲王なのに。
「何ってヒヨコ柄のパンツとパジャマ」
「ブッ……だから、高二にもなってそれはねーだろ!」
バチンと肩を叩かれる。痛い。でも、上機嫌な玲王の顔を独り占めできるのは至福なので、ついつい文句も飲み込んでしまう。それに、久しぶりの脱獄――ブルーロックから出て、各々休暇を取るようにと言い渡された貴重なオフだった。一週間しかないため、こうして二人だけで過ごせる時間は貴重だ。それに、玲王は実家に帰ってしまうと思っていたから、「せっかくだから、お前んちに泊まる!」と着いてきてくれたのは嬉しい誤算だった。だけど、まさかお泊り初日に、こんなに笑われるとは。一応、今日から一週間、付き合って初めてのお泊まりだよね……? と、ちょっとだけ不安になる。初日からそういうことは期待してなかったけれど、こんなに笑われたら"いいムード"に持っていけない。
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