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    けがわ

    @kawaii_hkmr

    文字書いたり、あまりないと思いますが絵を描いたりします

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    けがわ

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    いつものランクマメンバーへ、書く機会をありがとうございます!

    事後の話今日は調子に乗って抱き潰してしまった、ルカは盛大に反省していた。
    発明に対して過集中に陥る癖のあるルカにとって、久方ぶりの色事の際には羽目を外し相手に容赦の無い無体を働いてしまう。そもそも男同士なのだから、受け入れる方にリスクも負担も大いに伸し掛かるのだから、いくら善がり狂って艶声を上げて行為に溺れていたとしても、優しく体を溶かすようなセックスがルカの理想なのだ。それも蓋を開けてみれば、余裕の欠片も無いようなピストンに、ルカの恋人であるアンドルーは可哀想にも意識を飛ばしてベッドに縫い付けられて一歩も動くことが出来ない。意識がある時には、コンプレックスのあるその白い体をシーツで隠すことも多いが、今ではその長い四肢はベッドに無防備に放り出されている。

    再度言うが、ルカは反省していた。しかし、後悔はしていなかったし、どうせ今後もそういったセックスをするのだろうな、とどこか確信めいた感情があった。何故なら、今こうやって行為を思い出しただけで悶々としているような色欲魔と自分が成り果てているからである。それもこれも、一重に初めて発明以外でこんなにも執着を寄せているアンドルー・クレスのせいであった。

    「ねえ、貴方。そんな顔で夜歩かないで頂戴。暗闇で見ると怖いったらありゃしないわ。」

    食堂へ繋がる廊下は男女兼用のものだ。ぼんやりと暗がりに浮かんだシルエットは朧げだが、声と香りですぐわかる。調香師であるウィラ・ナイエルのものだ。

    「私が?一体どんな顔を?」
    「顔って言うか・・・。」

    ウィラはルカのつま先から頭部までじろじろと見渡すと、「いやらしい。」と小声で吐き捨てた。確かに届いた声にルカは「心外だな。」と苦笑いした。

    「クレスさんは?起きてないんでしょ。」
    「何故そう思う?」
    「貴方が客観的に見られてないってことだもの。・・・髪の毛くらい結んだらどう?」

    じろりと上目に睨まれて指摘されて初めて自分の髪が解けていたことに気付いた。普段ならば発明に興じる際にも無造作に結ばれた髪の毛は、そういえば奥の奥まで突いた時に背中に爪を立てられ引っ張られて解けてしまっていた。ルカは後頭部を掻くと、「ゴムが室内だ。」と肩を竦めた。ウィラは溜息を吐くと「・・・食堂には珍しい可愛いお客様が居るから、これを。」と髪留めを渡された。軽く礼を言うと、ウィラは女性室へと踵を返して出て行ってしまった。
    ルカが食堂へ水を汲みに行くと、そこには庭師のエマ・ウッズが居た。可愛いお客様とは彼女のことか。確かにこんな深夜にエマが起きているのは珍しい。医師のエミリー・ダイアーと何やら深刻そうな顔で話し込んでいるのを通り過ぎてキッチンまで歩くが、横目でエミリーにぎょっとした表情をされる。普段は底抜けに明るいエマは俯いていて、ルカの姿に興味を示さない。それを見ると、エミリーはほっとしたようにして胸を撫で下ろした。ルカに視線で「早く行きなさい。」と示し、ルカは触らぬ神に祟りなしとはどこの諺か、と目当ての水を手に入れて自室へ歩いた。

    自室の扉を静かに開けると、「・・・ルカ。」と言う声が聞こえた。掠れて殆ど聞こえないそれは、先程まで散々高音で鳴かせていた男の声であった。戻ると涙の痕が目立ち、未だに火照った体は関節部がほんのりと赤く、とろりと蜂蜜のように溶けた視線で見つめ返される。高ぶる情欲を押さえつけ、ルカはアンドルーの額にキスを落としてベッドサイドへ座った。
    「水を汲んできたんだ。」とルカがコップに入れて手渡すと、アンドルーは上体をゆるりと起こして「・・・それで、か。」と聞いた。どういうことだろうかと首を傾げたが、アンドルーは同じように首を傾げて怪訝な目でルカを見つめ返した。

    話すのすら喉を痛めるのか、ううんと咳払いをすると、ルカの腰あたりを手で撫でる。ルカは驚き突然の行為を視線で追ったが、よく見るとそこには普段は付けている腰回りのベルトが付けられていなかった。どうやら、先程の質問を返すようらしい。アンドルーは、首回りの包帯が巻かれていないことや、補助具のベルトが無いことを指摘するように首回りや、太ももに触れた。なるほど、エミリーの視線はこういうことらしい。ルカが一人納得する気持ちはあれど、アンドルーの間違い探しは高ぶった情欲には酷く堪えた。

    「なあ、もう分かったから。それ止めてくれないか?どうなっても知らないぞ。」

    脅すようにしてルカが警告してやったと言うのに、アンドルーは視線を反らすように一窓際を眺めたかと思うと、「・・・誘ってる。言わせるな、ばか。」と顔を赤くして迫力無くルカを睨みつけた。ああ、それには流石のルカも降参であった。理性が融解した野獣のようにしてアンドルーをぼふりとベッドに押し倒すと、碌に掃除もしていなかったルカの部屋はほこりが少し舞った。食らいつくようにキスをして、口内を蹂躙する。
    私は天才だが、君の前では学習能力が衰えてしまう。そうルカは思った。
    少しばかり反省したのもつかの間、愚かしく可愛らしい恋人の前では男の学習など無意味で無価値。そのまま角度を変えてキスを繰り返し、シーツの海へ沈んだのだった。
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