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    alcoholpower100

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    探偵と助手パロの門キラ(門誕生日)

    #門キラ

    一年に一回では少な過ぎる 笹の葉に願い事を書いた短冊括りつけていた純粋な心はどこにやってきたんだか。
    はあと溜息をつきながらラブホテルの近くの物陰でひたすらホシが出てくるのを待つ。
    この時期は不倫相手と自分を彦星と織姫に見立てる馬鹿が一定数いるので証拠写真を撮るにはうってつけなのだ。
    ロマンチックな天の川を撮影するならまだしも愛憎乱れた男女の現場の為に時間を費やす羽目になるとは。
    短冊に書いた夢なんざ遠の昔に忘れてしまったが、少なくともこんな事をやりたいとは書いてない。
    大体嫁も子供もいて不倫する野郎の為になんでこんなにも時間と労力を消費しなければならないのか。
    しかも、不倫相手は自分の子供より若い自身の教え子。
    離婚だけで済めば良いが、こいつの場合は失職するだろうな。
    マスコミが好きそうなネタだ。
    再就職なんてのも難しいだろう。
    今お前が抱いてるのは織姫なんかじゃなくてさながら傾国の美女だよ、馬鹿。
    「門倉」
    こそっと背後から名を呼ぶ声にハッとする。
    ホシへの愚かさにイラつきと哀れみを考えて集中力が途切れていた。
    振り返れば急いだのか肩にかけたタオルで首元を拭うキラウㇱ。
    確かに今日は暑い。
    「ん、ありがとよ」
    右手を差し出し頼んでいたアイス珈琲を受け取る。
    また缶じゃなくて紙パック。
    缶の方が安いし個人的な偏見で美味いと思っているのだが、キラウㇱによれば「門倉は缶だと絶対に服に零す。洗濯代の方が勿体ないし、珈琲塗れの服じゃ尾行しづらい」とのこと。
    既にストローを刺された状態なので文句を垂れずに大人しく吸う。
    舌に苦さと冷たさが広がり、喉の乾きが和らいでいく。
    車を停められるところならオンボロ車のクーラーで涼みながら張り込みが出来るのだが、今回ホシが選んだホテルは立地が悪い。
    そもそもこういうホテル街は自然な形で車を停められる所の方が少ないのだが。
    さっさと出てこいよ、色ボケが。
    暑さも相まってついイライラとストローをガジガジ噛んでしまう。
    「歯が悪くぞ」
    「そうなったら歯の治療代も請求してやるよ」
    腕時計をチラッと見ればそろそろ出てきても良さそうな時間帯。
    べコッと紙パックを凹ませながら飲みきりキラウㇱに空になったものを手渡す。
    やれやれと言わんばかりの顔だが黙ってガサガサとビニール袋に突っ込んでくれた。
    一言どころか二言三言いつもなら言われても仕方の無い渡し方だが、張り込み中と割り切り飲み込んだと言ったところだろうか。
    ビルとビルの隙間、室外機の熱風ともそろそろおさらばだ。
    極力ホテルの出入口からはこちらが見えないように屈む。
    シャッター音を最小に改良されたカメラを今か今かとホテルへ焦点を合わせる。
    キラウㇱも俺に続いて後ろで体を小さくして屈む。
    額に滲んだ汗を汗ばんだ腕で拭うも全く意味をなさない。
    ハンカチなんて忘れてきちまった俺が悪い。
    はあとため息をつくとつんつんと背中をつつかれる。
    「キラウㇱ、そろそろ出てくるから」
    しーと口の前で人差し指を立てながら小声で振り返る。
    いつもよりイラついた声が出てしまった。
    そこにはキョトンとした顔で紺色のハンカチを持ったキラウㇱ。
    「いや、汗拭うんならハンカチ」
    「……サンキュ」
    キラウㇱからハンカチを受け取り、またホテルの方を向く。
    幸いまだ出てきていないようだった。
    ふうと息を吐きながらさっそく受け取ったハンカチで額の汗を拭う。
    タオル生地で汗をよく吸う割に肌心地は悪くない。
    「後で洗って返すな」
    「いい。それは門倉へのプレゼントだ」
    「……へ?」
    「馬鹿、前、カメラ!」
    「え、あっ!」
    思わず振り返るもタイミング悪くでてきたホシに慌てる羽目に。
    慌ててカメラを構えたせいで数枚ボケたが何とか依頼人に見せても大丈夫そうな写真を収めることに成功。
    ハンカチで今度はどっとかいた額の冷や汗を拭いながらふうと安堵の息を吐く。
    「危なかったぜ」
    「危なかったじゃない」
    嫌な予感がしながらも振り返る。
    腕を組み、仁王立ちをしたキラウㇱがこちらを睨みつける。
    「いや、ほら、だってお前が急に変な事言うから」
    「だからってホシから目を離す馬鹿な探偵がどこにいる」
    「ぐう」
    ぐうの音も出ないとよく言うが実際俺の口から出たのはぐうの音だけだった。
    「単純な事で動揺するな。ハードボイルドが売りな探偵なんだろ」
    「うぐ、いや、でも一応写真撮れたんだしよ」
    必死な言い訳も通用しない。
    どうやったら機嫌が治るかと捻り出した答えがひとつ。
    「じゃあとりあえず頭を冷やすのにあそこで休憩してくか?」
    指さしたのは先程ホシが出てきたホテル。
    「馬鹿か」
    まだ怒っているが若干満更でも無い雰囲気。
    「ホシの使ったホテルの内見って事で経費落ちる?」
    「経費は無理だが誕生日だから俺が奢る」
    そこには助手の顔から恋人の顔になったキラウㇱがいた。
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    MOURNING年末に書いたこたつでまったりする現パロ猗窩煉です。完結の予定がないけどみかん食う猗窩煉見て欲しいのでアップします。めちゃめちゃ中途半端に終わってます。年の暮れ、午後3時頃。ストーブで十分に温まった居間の中央に置かれたこたつに、2人は向かい合って座っていた。

    年末の特番をぼんやりと眺めながら、特に内容の無い会話を繰り返して時が過ぎて行く。時折微睡んでは意識を取り戻して、またテレビを眺める。

    そんな穏やかで何気ない日常が何よりの非日常だった。だからこそ、こうして時間を消費してしまうことがどこか惜しくも感じる。

    何か仕掛けてやりたくて、猗窩座は突然こたつから這い出て立ち上がった。
    杏寿郎は相変わらずテレビで流れているお笑い番組に時々ふふ、と笑い声を漏らしながら眠そうに目をこすっていた。

    動かないとわかると、この場で仕掛けてやるしかなくなる。杏寿郎が座って潜り込んでいる横にわざわざ並んで座った。

    「……何をしてるんだ」

    「何がだ」

    欠伸をひとつしながら、狭い、と身を寄せるが、それを好機とばかりに体をねじ込んで居座る。

    「……なんでこっちに来るんだ」

    「この方が温い」

    そう言いながら、ぴたりと身を寄せ合う形で同じ位置に納まる。足元だけでなく、密着したところから広がるお互いの温もりで全身が温かくなってくる。

    しばらくはそう 1817