Still the moonlight 久々に街の酒場へと立ち寄り、ジェレミーが一人酒を楽しんでいると、ただでさえ煩い店内が一際騒がしくなった。罵声などは聞こえないので、酒場にありがちな喧嘩ではなさそうだ。巻き込まれないのであれば構うことはない、無視を決め込んでまた酒を飲んだ。
この店はツマミも悪くない。テーブルの上を眺めながら、次はどれを胃に入れてやろうかと悩んでいると急にそれらが陰った。誰かが目の前を通って一時的に陰っているだけなのかと思ったが、影は離れずいつまでも暗いままだ。一体誰がそんなところで立ち止まっていやがるのかと顔を上げると、そこにいたのは思わぬ人物だった。
「あららぁ……どうしたんですかダンナ、こんなところに」
立っていたのは随分と真面目な顔をしたアレインだった。
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