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    pomepanko

    @pomepanko

    18歳以下はすけべ読まないでね。pwについてはマロ来ても返しません。
    プロカは読んだか??????

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    pomepanko

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    💛💜バレンタイン
    季節にあやかれましたよやったね
    ひさしぶりの執筆なのでちょっとおかしくても目を瞑ってください

    ##lucashu

    売り場は大体14日までSNSを巡回をしていると、インターネット上(特に青い鳥が象徴のSNS)ではチョコレートを貰える人々に対する恨みつらみが散見されて、ああ今年もこの季節が来たのかと実感する。
    大切な人に感謝を伝える日なのに、どこぞの業界の陰謀で好きな人にチョコレートを渡す日だなんて曲解してそれが爆発的に流行ってしまい好感度が可視化されてしまう哀れな日。
    僕はというと、幸いにも姉と妹が友達に配るとかで作ったカップケーキやら生チョコレートやらにあやかれるし、今まではこの一大イベントに対して熱い情熱をかけているわけでもなくただただ家の中が甘い匂いで充満される日だと思っていた。
    そう、今までは。


    二人がけにしては大きめのソファに座りテレビをつけると、『バレンタイン特集!気になるあの人に、自分へのご褒美には〜』と、目前のイベントについてあのチョコがおいしいだここのチョコは手頃だけど高見えするだとか紹介していた。
    ピ、ピ、ピ、とほかの番組を見てもどこもかしこもバレンタイン。堅苦しいニュースですらも、バレンタイン。
    こんなに一斉に同じことを流すよりもっと別のことを流した方がいいのにな、某馬のおもちゃの記念日ですよとか。
    テレビにも飽きてしまったので電源を消してからスマホに向き合って、次の配信でやるゲームを決めようとインターネットの波に飛び込んだ。
    またここでもサイトの広告でバレンタインがどうのチョコレートの広告がこれでもかと後を着いてくる。ちょいちょいと色々なサイトを泳いでいると玄関からただいまぁと元気な挨拶が飛んできた。
    玄関からリビングに繋がる扉を開いて入ってきたのはルカ。僕の仕事の同僚であり、共に住んでいる恋人である。
    実家を出て二人で暮らすのは楽しくて、喧嘩はあまりしないけどぶつかりそうになる前に話し合いで解決しているから仲は非常に良好だと思う。
    日課のランニングから帰ってきて、ソファでだらけている僕を見つけると太陽みたいな笑顔を向けた。
    「ただいまシュウ」
    「おかえりルカ。シャワー浴びておいでよ。ココア入れるよ。」
    「本当?俺、甘いやつがいい!」
    BCAA飲んだら飲むから〜とシャワールームに消えてく背中に小さく手を振る。少し時間があるから準備をしちゃおう。ランニング後のシャワーは比較的短いから。揃いのマグを取り出して分量通りのインスタントココアの粉末をいれて、ルカの分は砂糖を少々隠し味に。粉末を少量のお湯でカカカと溶かしてから、ミルクを気持ち多めに入れて電子レンジに鎮座させておく。アミノ酸とかが入っていてトレーニング後に飲むといいというドリンクを飲んでからまだ起動はさせないでおく。
    少ししたらシャワーの音が止んで、スリッパをパタパタと音を立てさせて戻ってきた、ゴールデンレトリバーを彷彿とさせる金糸は今は水に濡れている。すぐさまドリンクの準備に入っていたので、時間をセットしてレンジのスタートボタンを押した。ルカはあらかじめドリンクの粉末を溶かしておいたペットボトルを冷蔵庫から取り出してコップ一杯飲み干した。いい飲みっぷりだ。そして飲み干したグラスを持ちながら、ブイーと音を立てて二つのココアを温めている電子レンジに近寄ってくる。
    「シュウ〜ただ〜いま〜〜」
    「んはは、なぁにそれ」
    「こないだショート動画で見たんだ、シュウもやってよ」
    「おか〜えり〜〜…こう?」
    「ワハハ!そう!それ!」
    大の大人二人がキッチンでケラケラ笑っているのは周りから見たら滑稽だと思うけど、僕は結構幸せ。しょうもないことで笑えるって大事じゃない?
    笑っているとレンジが終わりの音を告げる。さっきまでくすくす笑っていたルカはもうココアに興味が移っている。ふたつのマグをもって大きなソファにふたりならんで座るとひとつを僕に渡してくれた。
    「熱いからちゃんとフーってするんだよ」
    「俺赤ちゃんじゃないってば」
    注意してねと告げるとルカってば少しムッとして、ろくに冷まさずに口をつけてアチ、と小さく悲鳴をあげた。言わんこっちゃない。
    「大丈夫?やけどした?」
    「じでない…ンッ、いれてくれてありがと、俺、シュウが入れてくれたココアが1番好き」
    「そんな大袈裟な」
    「本当だってば」
    先程熱がっていたのにもう慣れたのかニコニコと飲んでは褒めてくれる。ただのインスタントココアなのにこんなにも喜んでくれるのが嬉しくてすこしだけむずがゆい気持ちになった。
    ちびちびとココアを啜って、今度はルカがテレビをつけた。先程のバレンタイン特集はまだまだ続いていて、少しだけげんなりしてしまった。横を見ると意外にも真剣な顔をして画面を食い入るように見つめているルカがいた。
    「あー…ルカ、君、チョコが食べたいの?」
    「えっ、なん、いや、そういうわけじゃないけど…」
    「日本のバレンタインってすごいよね、どこもかしこもチョコレート一色だ」
    「し、シュウ…」
    消え入りそうな、情けないような声で呼ばれて振り向くと、普段はキリリとしているのに、かわいらしい八の字眉毛に形を変えて、オネダリしています、という表情があった。
    「シュウからのチョコ、ない…?」
    「あぇ、僕から?」
    予想斜め上からの射撃に一瞬脳が追いつかなかった。
    誰が?誰に?チョコをあげる?
    僕が?ルカに?チョコを??
    「あー、その…ごめん。用意してない。」
    「えっ…いや、そうだよな、うん、いや大丈夫!俺が用意すればよかったなー!」
    少しだけ表情が固まったと思ったらいつも通りのルカになったけど、僕から見たら空元気にしか見えなくて、そんなにチョコが欲しかったのか…とイベントに対して淡白な自分を少しだけ恨んだ。
    何か出来ないか…と今の手持ちを考えていると、自分でも恥ずかしくてあまり口にしたくないけど、これならすこしは機嫌が治るかなと思って、まだ残るココアに口をつけた。
    「ルカ、ルカ」
    「なぁに…ん、」
    ココアを飲んだばかりの口で、僕のより少し甘いものを飲んでいた唇に、ちゅう、とキスをした。
    ビシリと固まる体を横目にさっと離れると、ルカの顔はじわじわと赤くなっていった。アニメでしか見たことがないよその赤くなり方は。
    もう耳まで真っ赤な姿を見ていると、さっきの自分らしくない行動に恥ずかしくて頭に熱が昇っていくのを感じる。
    「……とりあえず、これじゃダメ、かな」
    「だ、ダメじゃない!!」
    「それならよかった、チョコは今度買いに行こうね」
    「チョコじゃなくてもいい!シュウ、デートしよ!」
    「うえぇ?」
    「ほら着替えて!行こう!」
    「やだよ人多いじゃないか、今度にしようよ」
    「ゔゔ…」
    僕の両手を握りしめて、これからデートしようだなんてルカらしくてそんな所も好きだけど、バレンタインシーズン真っ只中で外に出る気には中々なかなかなれない。元から出たくもないけれど。
    どうしても僕とデートがしたくて渋る姿もいいけれど、ちゃんと予定を決めて下調べしてから外に出たいな、僕。
    「じゃあ今日はおうちデートする…」
    「ふは、一緒に住んでるのに?」
    「一緒に住んでるからこそだろ!次の休みはチョコ売り場いこ、シュウが食べたいやつなんでも買ってあげる」
    「そんなにはいらないかなぁ…そしたらお互いに贈りあおうよ。そうしたらホワイトデーもお互いに贈ればwin-winじゃない?」
    「そうしよ!」
    がばりと体を引き寄せられてぴったりとくっつく姿はやっぱりゴールデンレトリバーにしか見えなくてこっそり笑ってしまった。
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