花畑でつかまえて「花畑迷路だって」
「たのしそう、入ろうよ」
じゃんけんぽん、ルカのまけ、逃げてくださーい
から始まりたかったわけよ
「俺をつかまえてごらん!」
走りはじめると「僕足早くないんだからね!」と叫びが聞こえる。最初の方は込み上げる笑いを抑えきれなかったけど、徐々に小さくなっていく。
あっちを右に、こっちを左に行きたい方向に曲がって進んで走ってちょっと戻って、しばらくしてようやく止まる。自分がどこにいるかわからないし、足音も聞こえないからシュウの居場所もわからない。草木の壁は自身をすっぽり隠すほどの高さなので、小さなシュウはアリスの世界に入ってしまった錯覚に陥るかも。
とりあえず出口を求めて歩みを進めてみる。草木の壁は所々花が埋め込まれるように咲き誇っていた。
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