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    adashi_No6

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    adashi_No6

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    ※年齢逆転、パロディ
    ※大学生大寿(二十歳)×歯科医師の三ツ谷(二十六歳)
    ※三ツ谷くんがちょっとマニアック

    歯科医の三ツ谷とあれやそれ 毎週水曜日の午後六時半。木曜日と金曜日が休診日になっている歯医者の、休日前最後の予約枠。それは、近所の子どもや母親たちに人気の歯科医である三ツ谷がオレの為に空けている時間だ。ただし、拒否権があるとは言っていない。本来なら歯医者なんて毎週行く必要はなく、三ツ谷の呼び出しも無視してしまえば済む話だが……何故かオレの歯を異様なまでに気に入っているアイツは、一週間以上空けて受診すると執拗に検査や洗浄をやろうとしてくる。
     それを避ける為に、オレは今日も三ツ谷の経営している歯科医へ足を運ぶ。

    「あっ、大寿ちゃんいらっしゃい!」
    「……ああ。三ツ谷は?」
    「今、前の患者さんの治療してるところ。スリッパ履いて、いつも通り一番奥の診察台で待ってて!」

     ガラスで出来たドアを開ければ、カランカランと軽いベルの音が誰もいない待合室に響く。その音で来客に気がついたルナが受付から顔を覗かせ、ニコニコと笑って手を振る。三ツ谷の妹であるルナはオレと年が近く、兄である三ツ谷を手伝って時間があるときは受付業務を担当している。もう一人、マナという妹もいるが、アイツは絶賛反抗期で最近は手伝いに来てはいない。学校ではまだ大人しいが家では三ツ谷に反抗的な態度なのだと、この間酒の席で愚痴をこぼしているのを日付が変わるまで聞いていたのは記憶に新しい。
     オレ専用になっている大きいスリッパをルナから受け取り履いてから、小部屋が三つ並んでいる廊下を歩いて一番奥の部屋へ入る。オレが来る前にルナがセッティングを済ませていたのか、既にトレイの上には清潔なミラーや、紙コップなどが用意されていた。このところは言いつけを守って毎週来ているせいもあってか、薬剤をつけてゴリゴリと削るように歯を磨く道具や糸タイプのフロスが並んでいるだけで、歯石を除去する為に使う釣り針のような道具や歯石の染め出しに使われる液体は置かれていない。

    「……毎週毎週、何が楽しくて見ているんだかな」

     ぼやきながら手荷物をカゴの中に入れ、大人しく診察台に腰掛ければギシ、と僅かな音が聞こえてくる。常人よりも大きい身体は、こういう時に不便だ。さて三ツ谷はいつ来るだろうか、と考えながら耳を澄ませていると、離れた部屋から子どもの泣きじゃくる声とそれを宥める母親らしき女の声が聞こえてきた。それと同時に、「お疲れ様でした」と労る声を出している三ツ谷の声も。
     ああ、来るな。直感でもなく期待でもなく、確信を持ってゆったりと腰掛けた瞬間、バタバタとやかましい足音が近づいて来たかと思えば木製のドアが勢いよく開かれてマスクを片耳にかけたままの三ツ谷がギラギラとした目をオレに向けてきた。

    「おい、走るな」
    「~~ッ! 大寿くん、会いたかった!」
    「土曜にも会ったばかりだが?」
    「あれは飲み会でしょ! あああ、早く見せて大寿くんの第三大臼歯!」
    「うわ……」

     やや引いた声をあげているオレに構わずマスクを付け直し、手を消毒し直した三ツ谷が鼻息荒く椅子に座ってオレの座っている診察台を傾け始める。この状態の三ツ谷には何を言っても無駄であることを、オレは経験から知っていた。それに、ここに来た時点でこうなることはわかっている。無駄に足掻いて長引くより、さっさとやらせた方がコイツも大人しくなるのが早いだろう。
     そう判断して、三ツ谷が着け忘れているエプロンを自分で装着してから大人しく仰向けになり、口を開く。眩しくないようにオレの目元をタオルで覆った三ツ谷の指先に促されて少し顎を上げれば、荒れていた態度とは裏腹に極めて冷静な手つきで器具が差し込まれ小さな声で恨めしい言葉が零れ始めた。

    「ほんっと、本当! 歯磨きしないせいで出来た虫歯を放置したあげく神経にまで届いて! その状態で“痛くないようにしてあげてください”とか!」
    「…………」
    「麻酔の針は怖がって暴れるし! 母親はオレに“酷い事しないで”とか怒るし!」
    「……もが」
    「喋んな!見えない!」

     今日は一段と酷い歯を見せられたらしい。ここまで荒れているのは久々に見た、何か慰めてやるべきかと喋りかけた瞬間に怒号が飛ぶ。理不尽だと怒る段階はとうの昔に過ぎた。今はただ、この状態の三ツ谷の怒りが早々に解かれることを神に祈るしかない。
     無意識のうちに腹の上で手を組んでいたオレに気がつく様子もなく、三ツ谷は探針を使ってオレの歯を念入りにチェックしていく。その間もマスクから零れているのはワガママな患者に対する呪詛にも似た愚痴の数々だ。

    「麻酔なしで神経まで届いた虫歯をどうやって治療しろって……オレは確かに腕は良いけど、神様じゃないっての……っ!」
    「…………んぐ、」
    「はいバキュームしますよー! は~~ホント、本当に大寿くんを見習って欲しい!この理想的な歯並び!この永久歯の太さなんてたまんねぇわ!」
    「…………」
    「はい今日も綺麗に全部の歯が斜線!素晴らしい!でももう少しオレに付き合って!」

     三ツ谷が愚痴を言いたくなるのも、わからなくはない。大学生になって人並みにバイトを始めたが、刺青が入りそれなりにガタイも良い、世間一般的には「怖い」と称されるだろうオレに対してもワガママを通そうとする客はそれなりにいる。ああいう奴らは最初から我を通すことに重きを置いているせいで、こちらと話し合い妥協点を探ろうともしない。評判が経営に直結している三ツ谷にかかる負担はオレ以上だろう。
     パキン、という音と同時に鼻を掠めた微かなミントの香りからして、おそらく今日も歯を磨こうとしているはずだ。それだけで終わるなら今日はまだマシだろう。以前、保険適用外の医療行為をしようとする三ツ谷に「そこまでしなくてもいいだろう」と言ったこともあったが「オレが自腹切るからやらせて!」と土下座しそうな勢いで必死に頼まれれば、それ以上は何も言えなかった。

    「はいじゃあ口開けて~、ちょっと磨きますよ~」
    「うぐ、」
    「大寿くんはちゃんと歯磨きできてるからあんまり汚れてないんだけど、……気分的にやらせてね」

     スイッチを入れたのか、低い駆動音と共にゴリゴリと歯の表面をブラシがなぞっていく感覚がする。先ほどまで恨みがましそうに嘆いていたのとは打って変わって、今の三ツ谷は鼻歌さえしそうなほど機嫌が良い。オレの歯を診るだけで機嫌が良くなるんだから、お手軽と言うべきか……いや、少しヘンタイ的だと言うべきか。
     しばらく歯を磨いて、うがいをして、それからもう一度口内チェックをされる。仕上げとも言えるこの時間は、三ツ谷の指がオレの口の中でも特に粘膜が薄い上顎をさりさりと撫でてきて……その度に腰が僅かに震えて落ちつかない気持ちになるのが、どうにも苦手だった。

    「はい、終わり。お疲れ様でした~」
    「……ひどい目に遭った」
    「あはは、いつもありがとうね大寿くん。……あれ」

     目元のタオルを退かされて椅子を起こされた途端、視界に光が戻って来て何度か瞬きをする。そうしている間に何かに気がついたらしい三ツ谷が驚いた声をあげるのを聞いて、オレは一瞬で嫌な気配を察知した。

    「……勃っちゃった?」
    「いや、……放っておけ、収める」
    「ええと、じゃあ……収まるまで、いていいから」

     少しギクシャクとした態度を見せながら三ツ谷が後片付けを始める。敏感な粘膜部分を触られていたせいか、いつの間にかオレの股間で愚息が頭をもたげていたらしい。少しキツさを訴えてくるボトムスに溜め息をこぼすと同時に、三ツ谷が何かを呟いたのが聞こえた。

    「……もう少し、かな」
    「あ? 何か言ったか」
    「んーん! ちょっと道具を買い足さないとなって!」
    「…そうか」

     歯医者の消耗品と言われてもオレには綿やガーゼくらいしか思いつかないが、この世界は予想以上に複雑な作りをしているらしい。三ツ谷に語らせると長くなるほどには。
    だからオレは深入りすることはせずに、何を勘違いしたのか勃起してしまった自分の息子を何とか鎮めようと意識を逸らすことを決めた。……それが後々、三ツ谷とオレの関係に影響を及ぼすとも知らずに。





    大寿くんにフェラされそうになって「オレの聖域にそんなことさせらんないから!やめて!」って叫ぶ三ツ谷くんまで書きたかった
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