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    俺トニ/俺トニとは⁉️な人は読んでも意味が分からない為読まない方が良いです。全て捏造。俺くんは
    通常存在しない。

    雷鳴昔のこと。
    俺は少し街から外れた場所で、両親と暮らしていた。近所にも家は1,2軒しかなく、1軒はあまり外に出ない老人が住んでいて、もう1軒は若い兄弟が住んでいた。

    当時、両親の仲は悪く俺も両親と上手くいっているとは言えなかった。父と母の喧嘩は絶えず、俺は居場所を求めてよく近所を散歩していた。

    その時に会ったのが、トニトラスさんだった。おどおどとして、陰気だったこんな俺にも明るく笑顔で挨拶をしてくれた。
    家にも学校にも居場所の無かった俺にとって、トニトラスさんは光だった。彼の名前のように、俺の心には雷が鳴り響いていた。

    「やぁ、近所の子だよね?元気?」とか、会話は些細な挨拶程度だったが、俺は確実に恋に落ちてしまったのだ。いや、恋ではなかったかも。
    彼の家族になりたかった。だから彼の弟、ファルガーって言ったかな…とても羨ましく、疎ましかった。そんな気持ちが漏れ出ていたのか、たまに弟くんと会ってもトニトラスさんの影に隠れてこちらを睨んでいた記憶がある。
    トニトラスさんとの挨拶や、少しの会話が 当時の俺にとっては唯一の光で、居場所で、幸せだった。

    しかしある日、彼らの家に評議会が向かっているのを見かけた。トニトラスさんが連れて行かれるのを、俺も弟くんもただ見ていた。
    彼が何をしたのだろうか?あんなに、良い人なのに。連れて行かれるような、何かをしていたのだろうか。接点が挨拶程度しかない俺には何も分からなかった。
    それから長い月日が流れ、トニトラスさんが帰っているのを見た。
    でも、以前のように会うことはなく少し覗けた顔は笑顔も無く、生気もあまり感じられなかった。
    弟くんとも、以前のように仲が良いように見られなかった。

    それからは、分からない。

    両親が離婚し、俺は母とそこを離れることになった。だから、あの兄弟が、トニトラスさんがどうなったのかは知らない。

    ただ大人になった今、トニトラスさんに似た人を街で見かけた。きっと、大きくなった弟くんだったのだと思う。でもそれだけだ。見かけただけ。声を掛ける勇気は持ち合わせていなかった。

    後悔はある。当時もっと話せていたらだとか、父親とあの場所に残っていたらとか、弟くんと仲良くしていたら、声を掛けられたら……どんなに思っても過去は変えることが出来ない。
    いくら技術が発展していても、過去に戻れることなどありえないのだから。

    俺も、いつまでも過去の幸せに、初恋に囚われず生きるしかないのだ。

    ああ、でも 雷鳴が響く夜はどうしても彼を思い出す。

    紛れもなくあれは、俺の唯一の恋であり愛だった。
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