Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    nekosuki1230cat

    @nekosuki1230cat

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 36

    nekosuki1230cat

    ☆quiet follow

    銀博の結婚ネタ。博一人称で書いてたんですが、コレジャナイ感があるなって!

    我ながら馬鹿なことをしたと思う。理性剤を何本も空にし仕事を片付けた反動で私はソファーに座り込み動けなくなっていた。
    どくどくと脳の血管が脈うっており、吐き気もこみ上げている。天井からのライトを避けたいが、ほんの僅か体を動かすだけで痛みが激しくなり、うつ伏せになることさえできない。
    部屋に誰かがいれば薬かあるいは冷やすものを持ってきてもらえたかもしれないが、今の時刻は午前三時。ブラッドブリードならば活動時間帯であるが、身じろぎさえ辛いというのに、端末操作などできるはずもなかった。
    本当はそこまで仕事しなくても今日のノルマはとっくに終わっている。
    ただ、今日の私は仕事に逃げたかったのだ。シルバーアッシュがヴィクトリアのご令嬢と結婚するというニュースから。
    馬鹿だな、と自嘲に塗れた言葉もまともに言えないまま、目を閉じひどく痛むこめかみに手を当てる。
    クーリエやマッターホルン、クリフハートが私の様子を見に来たが、その時は常と変わらない様子で受け答えをしたはずだ。
    恋人、という関係であるが同性だ。彼は貴族の当主だ。まして私は過去に多くの人間から恨まれているような人間だ。記憶がなくとも推測できることはある。ともに隣に居れたことがむしろ奇蹟的なことだったのだろう。
    疲れ切っているのに休むことができない痛みに掠れた笑いがもれた。
    「けっこんするなら……わたしとしてほしい、えんしお」
    痛みと薬の副作用で、ただ自分の欲望を口にしてしまう。
    「了承した」
    突然の返答に私はぼんやりと目を開けた。光が刺さるより早くふわりと外套が覆いかぶさってきた。
    私をただの雌にしてしまう香り。
    「私がお前を手放すはずなどない」
    安心できる匂いに包まれて私は痛みが走ることも構わず、両腕を愛しい番に伸ばしたのだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💒💕💒😭💒👏😭😭😭😭😭😭😭😭👏👏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    nbsk_pk

    DOODLE自分の独占欲の強さに振り回されかける銀灰さんと、そんな彼をかわいいなあと思ってる博の話。
    最後の一呼吸までも「お前に、私が作る影の下だけで呼吸してほしいと思うことがある」


    「ずいぶんと君には似合わない言葉だね、エンシオディス。まるでロマンス映画の悪役のようじゃないか」
    「悪い人間だろう、私は。なにせ国家転覆をほぼ完遂した希代の悪人だ」
    「今日の君は甘えん坊だな。ほら、おいで。ハグしてあげるから」
     背中に回された太い腕にはギリギリこちらをつぶさない程度の力が込められ、もはやどちらがハグしているのかという状況になってしまってはいるのだが、あれ今のこれはまさしく彼が望んだ姿そのものじゃあないか?
    「結論からいってしまうと、かなり悪くないねこれは。君はいい匂いがするし」
    「お前の薫香にはかなうまい」
    「ふふ、そうかな」
     ふすん、と首筋に彼の高い鼻梁が這うのはくすぐったかったけれど、彼の声が幾分元気を取り戻していたから我慢することにする。背中に感じるもふもふとした暖かい感触は、おそらく先ほどまでぺしょんと床に垂れてしまっていた彼の尻尾だろう。広いはずの彼の背をゆっくりと撫でながら、のんびりと私は口を開く。
    962