「君にこんなことをさせたら怒られそうなんだけども」
ベッドの端に腰掛けたドクターは申し訳なさそうに足元にいるシルバーアッシュに呟いた。
元より痩せている体は今は微風でも吹き飛ばれそうに細くなっている。
イェラグへと訪れたドクターは運悪く風土病にかかってしまい数日間、寝込む羽目になってしまったのが原因だ。高熱を出したドクターを飛行装置でロドスへと運搬する話も出たのだが、まるで閉じ込めるかのような悪天候も重なりイェラグのシルバーアッシュ邸で看病を受けることとなった。シルバーアッシュとしても盟友であり客人であるドクターを体調不良のまま帰すなどできようもなく、現状で整えられる最良の環境を用意し看病に当たった。幸いなことに後遺症もなく熱が下がったドクターは体を起こすことができる程度には体力が回復した。
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