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    いなばリチウム

    @inaba_hondego

    小説メイン
    刀:主へし、主刀、刀さに♂
    mhyk:フィガ晶♂
    文アル:はるだざ、菊芥、司♂秋
    文スト:織太

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    いなばリチウム

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    言紡弐で展示してました!
    デキてる司書秋の司書室イチャイチャR18(本番無し)

    ありがと、秋声くん!「はい、これも署名が必要だってさ」
    「ええ~!? まだあんの!? 無理~~~!」

     机に追加で置かれた書類、書類、書類の束。減ったと思ったら追加されて仕事のわんこそば状態。駄々っ子のように両手を上げて降参ポーズの俺に、秋声君はいつものやれやれ顔をする。

    「そんなこと、僕に言われても困るよ。大体、サボっていた司書さんが悪いんじゃないか」
    「そうだけどさ~」

     確かに、調査任務の報告書を3、4回分溜めていたり、金貨や道具の整理をうっかり数か月程怠ってネコの手と金のネコの手がごっちゃごちゃに混ざっちゃって整理に手間取ったりしたけど。いや本当に俺が悪いな。しかし、自業自得とは言え、朝からトイレ以外は座りっぱなし、食事も秋声くんが食堂から持ってきてくれたサンドイッチを片手間に食べただけで、体力的にも精神的にも疲れきっているのが分かる。窓の外はとっくのとうに真っ暗で、談話室の方から明かりが漏れているのが分かる。時折わっと笑い声があがったりして、今日もなんとなく集まった面子で酒盛りなり談義なりしているのだろう。いいなあ。俺も一杯やりたいなあと思いながら正面を向くと、処理が終わった書類を秋声くんが回収しているところだった。署名済みの書類を集めて、「え、これだけ?」と失礼なことを言っている。効率なんてとっくに落ちてるんだから仕方ない。これでもたまっていた仕事の八割くらいは数か月遅れで処理したり隠ぺいしたりして片付けたんだ。あと残ってるものも明日普通にサボらずやれば間に合うくらいの量だし。さて、残っているものといえば。

    「……秋声くん、溜まってるの、手伝って欲しいなあ」
    「僕が? いやだよ。大体、書類の類は司書さんの署名なしじゃ、」
    「あー、そうじゃなくてさあ」

     こっち来て、と手招くと、怪訝な表情を浮かべながらも書類を置いてくれる。なんてちょろくて優しい子だろう。これが太宰くんあたりだと「は? 嫌だけど」とか言ってくるので俺は普通に傷つく。しかし秋声くんは俺に手招かれるまま、机の横から回り込んで椅子の隣まで来てくれた。

    「溜まってるのはこっち」
    「っ、な」

     ずっと座っていたし、机越しに向き合ったままじゃ気付かなかっただろう。俺の股間事情には。秋声くんが目線を落としてすぐ赤くなるくらい分かりやすく、ズボンの布が持ち上がってパツパツになっている。

    「あ~あ、どうしようかな~ 仕事の続きしたいけど、めちゃくちゃ溜まってるんだよな~」
    「そ、そんな、こと、僕に言われてもっ」
    「困る?」
    「当たり前じゃないかっ」
    「秋声くんなら手伝えるのに?」

     ちらっ、ちらっ、と見上げると、ぐぬぬ、みたいな顔をしていて可愛い。

    「雑務を何でも処理してくれる秋声くんなら、手伝ってくれると思ったんだけどな~」

     他の子呼んじゃおうかな? なんてわざとらしく溜息を吐くと、秋声くんはやっと俺の目を真っすぐに見た。決心と、戸惑いと、ほんの少しの悲しみが見える。

    「なんて、冗談だよ。こんなこと言うの、秋声くんだけだって」
    「……本当かなあ」

     君だけだよ、と言うと秋声くんは分かりやすくほっとしている。横の髪を耳に掛ける動きはもう慣れたものだ。

    「口でしてくれるの? 珍しいじゃん」
    「……手だけだと、司書さん中々イかないから……」

     露わになった耳が真っ赤になってる。本当は秋声くんだって、手でするより喉の奥を突かれる方が好きなんだよな。俺は優しくしたいんだけど。

    「ありがと。秋声くんは本当にやさしいなあ」
    「っ、こんなの、僕だって、きみだけなのに」
    「ん?」
    「何でもない……」

     もそもそ言いながら、秋声くんは俺の足の間に座り込むと、たどたどしい手つきでスラックスに手を掛け、ゆっくりとチャックを下ろしていく。下着に指がかかり、ずらされると勃起しきった性器が顔を出す。限界だったそれは勢い良く反り返って秋声くんの鼻先をぺちんと叩いた。眉を顰めて俺を睨み上げてくる顔にはじわりと涙が滲んでいて全くこわくない。

    「変態……」
    「そうだね。変態だから、秋声くんが慰めてくれて助かるよ」

     こんなやりとりも別に初めてじゃないので、秋声くんはそれ以上文句を言わず、勃ちあがったペニスに顔を寄せる。片手で根本を支えながら、先端をぱくりとくわえた。生暖かい粘膜に包まれると、それだけで腰が跳ねそうになる。気持ちいい。

    「ん、んむ……」

     秋声くんが唾液を絡ませながら頭を上下させる度、じゅぶ、じゅぶ、と水音が響いて、それが段々派手になっていく。 小さな唇から自分のものが出入りしているのを見ると、なんとも言えない気分になった。ああ、一生懸命でかわいいなあって思うし、優しくて真面目な子に卑猥なことをさせているっていう背徳感もある。

    「ふっ……ぅ、んう……」
    「っ、あ、あー…いい、いいよ……秋声くん……ッ」

     たまに歯が当たるけど、それも刺激になるくらいだ。下手ではないけどうまいわけでもなく、それを秋声くんがしているという事実に堪らなくなる。唾液でてらてらと光る性器と唇。濡れそぼった先端から秋声くんの唇が竿に滑り、裏筋のところまで丁寧に舐め始める。

    「んぁ、はふ、ん、ンぅ」

     頬を上気させながら一生懸命な秋声くんの柔らかい髪に手を伸ばす。撫でてみると、ちょっかいかけるなとばかりに眉根を寄せられた。べたべたになった唇が開いて、赤い舌が覗く。また先端が口に含まれ、今度は口をすぼめてじゅる、と吸われて、竿の部分は手で扱かれた。

    「うぁ、それ、やばい……っ」

     じゅる、じゅるる、と下品な音が鳴って、窓ちゃんと締めてたかな? と少し不安になる。でも性器が喉で扱かれる快感で、そんな些細なことはどうでもよくなった。腰の奥がぞくぞくして、性器に熱が集まるのが分かる。

    「秋声く、ごめ…っ、ちょっと、我慢できない…かも」
    「ん、ぐッ!?」

     撫でていた秋声くんの後頭部を押さえつけ、ペニスを喉奥に押し込んだ。苦しそうな悲鳴が上がるが、そのまま腰を揺らして何度も突き上げる。椅子の軋む音と俺の荒い息、それから秋声くんの苦悶の声が部屋に響く。

    「っは、すご、秋声くんの喉、きもちい……っ」

     喉奥で扱くように腰を動かす。ぬるくてきつくて心地良い。でも秋声くんの目からはぼろぼろ涙が零れていて、手は俺のスラックスをきつく掴んでる。可哀想だけど止められなかった。

    「んぐ、ぇ、うぶ」
    「あー……イキそう、出すよ、秋声くん…っ」
    「っぐ、ん、ン~~っ!!」

     ペニスを収めたまま、腰がびくびくと震える。震える度、精液が秋声くんの喉に流れ込んでいく。全部出し切ってずるりと引き抜くと、秋声くんはげほげほと派手に咽せ返った。

    「うえっ、 げほっ、っう、おぇ……!」
    「はあっ……はは、いっぱい出しちゃったな。ごめんね」

     咳き込みながら白濁をぼたぼたと吐く秋声くんの頬を軽く撫でる。涙目で睨まれた。

    「ひどい……窒息するかと、思った……」
    「ごめんってば。でも、秋声くんだって気持ち良かったでしょ?」
    「…………」

     まだ睨んではくるけれど、素直に無言になってしまうところがやっぱり可愛い。俺はティッシュを何枚かとって、俺の出したものでべたついた秋声くんの口元を拭いてやると、大人しくされるがままだ。

    「あと掃除しとくからさ、今日はもう部屋に戻っていいよ。仕事も後は俺が署名しないとだし」
    「え、」

     スラックスを履き直しながら言うと、秋声くんは分かりやすく狼狽えた。膝に置いた手がぎゅうと袴の布を握っている。僅かに衣擦れの音がしたのは、袴の中で内腿を擦り合わせたからじゃないだろうか。本当に可愛い。可愛いけど、苛めすぎるのは可哀想かな、と思い直して、一向に立ち上がらない秋声くんの、少し乱れてしまった髪をくしゃりと撫でつける。

    「待っててくれるでしょ? 続き、したいもんな」
    「っ! 僕は、別に……」
    「したくない?」
    「……司書さんって、ほんと、意地悪だよね」

     おっと、やっぱり苛めるのはやめられなかった。だって俺の一挙一動に振り回される秋声くんはやっぱり可愛い。

    「秋声くんにだけだよ」
    「もう……調子いいんだから」

     拗ねた顔は満更でもなさそうだ。もう一押し、と髪を撫でていた手を下ろして、柔らかい耳朶を軽く撫でる。びく、と秋声くんの肩が揺れた。

    「待っててよ、ね? 秋声くんが待っててくれるって思うと、残りの仕事すぐ片付けられそうだし」
    「……本当に?」
    「ほんとほんと」

     にっこりと笑いかければ、秋声くんは少しよろめきながらも漸く立ち上がった。

    「……遅かったら、寝ちゃうからね」
    「はーい」

     ひらりと軽く手を振って見送ると、窓を開けて籠った空気を外に追い出す。部屋に備え付けの用具で軽く床を掃除して、手元の書類に手を付けることにした。本当は、今すぐに向かったっていいくらいの量の書類ではあるけれど、やっぱり俺は秋声くんに意地悪するのをやめられない。可愛い恋人を一人寝させるつもりはもちろんないが、一方で、心細くなる手前くらいまで待たせたら、秋声くんは怒るかな、また拗ねるかな、ああ、待ちくたびれて寝てしまったところに悪戯するのもいいかもなあ、と考えてしまう。

    「……早く終わらせるか」

     考えているとせっかく落ち着いたところがまた昂ってしまいそうだ。
     俺は気を取り直し、部屋で待っている秋声くんに程々に思いを馳せながら、書類に集中することにしたのだった。



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    いなばリチウム

    TRAININGhttps://poipiku.com/594323/10668650.html
    これの続き。騙されやすい審神者と近侍の長谷部の話。
    だまされやすい審神者の話2 疎遠になっても連絡をとりやすい、というタイプの人間がいる。

     それがいいことなのか、はたまたその逆であるなのかはさておき、長谷部の主がそうだった。学校を卒業し、現世を離れてから長いが、それでも時折同窓会やちょっとした食事会の誘いがあるという。ほとんどは審神者業の方が忙しく、都合がつかないことが多いけれど。今回はどうにか参加できそうだ、と長谷部に嬉しそうに話した。
     もちろん審神者一人で外出する許可は下りないので、長谷部が護衛として同行することになる。道すがら、審神者は饒舌に昔話をした。学生の頃は内気であまり友人がいなかったこと、大人しい自分に声をかけてくれたクラスメイトが数人いて、なんとなく共に行動するようになったこと。卒業する時に連絡先を交換したものの、忙しさもありお互いにあまり連絡はしていなかったこと。それでも年に一度は同窓会や、軽く食事でもしないかという誘いがあること。世話になっている上司を紹介したいと何度か打診され、気恥ずかしさはあったものの、紹介したいと思ってもらえることは嬉しかったこと。今回やっと予定が合い、旧友とその上司に会えること。
    1820

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    Norskskogkatta

    PAST主くり
    鍛刀下手な審神者が戦力増強のために二振り目の大倶利伽羅を顕現してからはじまる主をめぐる極と特の大倶利伽羅サンド
    大倶利伽羅さんどいっち?!


     どうもこんにちは!しがないいっぱしの審神者です!といっても霊力はよく言って中の下くらいで諸先輩方に追いつけるようにひたすら地道に頑張る毎日だ。こんな頼りがいのない自分だが自慢できることがひとつだけある。
     それは大倶利伽羅が恋びとだと言うこと!めっちゃ可愛い!
     最初はなれ合うつもりはないとか命令には及ばないとか言ってて何だこいつとっつきにくい!と思っていったのにいつしか目で追うようになっていた。
     観察していれば目つきは鋭い割に本丸内では穏やかな顔つきだし、内番とかは文句を言いながらもしっかり終わらせる。なにより伊達組と呼ばれる顔見知りの刀たちに構われまくっていることから根がとてもいい奴だってことはすぐわかった。第一印象が悪いだけで大分損しているんじゃないかな。
     好きだなって自覚してからはひたすら押した。押しまくって避けられるなんて失敗をしながらなんとか晴れて恋仲になれた。
    それからずいぶんたつけど日に日に可愛いという感情があふれてとまらない。
     そんな日々のなかで大倶利伽羅は修行に出てさらに強く格好良くなって帰ってきた。何より審神者であるオレに信 4684

    Norskskogkatta

    PASTさに(→)←ちょも
    山鳥毛のピアスに目が行く審神者
    最近どうも気になることがある。気になることは突き詰めておきたい性分故か、見入ってしまっていた。
    「どうした、小鳥」
     一文字一家の長であるというこの刀は、顕現したばかりだが近侍としての能力全般に長けており気づけば持ち回りだった近侍の任が固定になった。
     一日の大半を一緒に過ごすようになって、つい目を引かれてしまうようになったのはいつからだったか。特に隠すことでもないので、問いかけに応えることにした。
    「ピアスが気になって」
    「この巣には装飾品を身につけているものは少なくないと思うが」
     言われてみれば確かにと気づく。80振りを越えた本丸内では趣向を凝らした戦装束をまとって顕現される。その中には当然のように現代の装飾品を身につけている刀もいて、大分親しみやすい形でいるのだなと妙に感心した記憶がある。たまにやれ片方落としただの金具が壊れただのというちょっとした騒動が起こることがあるのだが、それはまあおいておく。
     さて、ではなぜ山鳥毛にかぎってやたらと気になるのかと首を傾げていると、ずいと身を乗り出し耳元でささやかれた。
    「小鳥は私のことが気になっているのかな?」
    「あー……?」
    ちょっと 1374

    Norskskogkatta

    MOURNING主くり
    軽装に騒ぐ主を黙らせる大倶利伽羅

    軽装に騒いだのは私です。
    「これで満足か」
     はあ、とくそでかいため息をつきながらもこちらに軽装を着て見せてくれた大倶利伽羅にぶんぶんと首を縦に振る。
     大倶利伽羅の周りをぐるぐる回りながら上から下まで眺め回す。
    「鬱陶しい」
    「んぎゃ!だからって顔つかむなよ!」
     アイアンクローで動きを止められておとなしく正面に立つ。
     ぐるぐる回ってるときに気づいたが角度によって模様が浮き出たり無くなったりしていてさりげないおしゃれとはこういうものなんだろうか。
     普段出さない足も想像よりごつごつしていて男くささがでている。
     あのほっそい腰はどこに行ったのかと思うほど完璧に着こなしていて拝むしかない。
    「ねえ拝んでいい?」
    「……医者が必要か」
     わりと辛辣なことを言われた。けちーと言いながら少し長めに思える左腕の袖をつかむとそこには柄がなかった。
    「あれ、こっちだけ無地なの?」
    「あぁ、それは」
     大倶利伽羅の左腕が持ち上がって頬に素手が触れる。一歩詰められてゼロ距離になる。肘がさがって、袖が落ちて、するりと竜がのぞいた。
    「ここにいるからな」
     ひえ、と口からもれた。至近距離でさらりと流し目を食らったらそらもう冗談で 738

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    小腹が空いて厨に行ったらひとり夏蜜柑を剥いていた大倶利伽羅に出くわす話
    夏蜜柑を齧る

     まだ日が傾いて西日にもならない頃、午後の休憩にと厨に行ったら大倶利伽羅がいた。
     手のひらに美味しそうな黄色を乗せて包丁を握っている。
    「お、美味そうだな」
    「買った」
     そういえば先程唐突に万屋へ行ってくると言い出して出かけて行ったのだったか。
     スラックスにシャツ、腰布だけの格好で手袋を外している。学ランによく似た上着は作業台の側の椅子に引っ掛けられていた。
     内番着の時はそもそもしていないから物珍しいというわけでもないのだが、褐色の肌に溌剌とした柑橘の黄色が、なんだか夏の到来を知らせているような気がした。
     大倶利伽羅は皮に切り込みを入れて厚みのある外皮をばりばりとはいでいく。真っ白なワタのような塊になったそれを一房むしって薄皮を剥き始めた。
     黙々と作業するのを横目で見ながら麦茶を注いだグラスからひと口飲む。冷たい液体が喉から腹へ落ちていく感覚に、小腹が空いたなと考える。
     その間も手に汁が滴っているのに嫌な顔ひとつせずばりばりと剥いていく。何かつまめるものでも探せばいいのになんとなく眺めてしまう。
     涼やかな硝子の器につやりとした剥き身がひとつふたつと増えて 1669

    Norskskogkatta

    MOURNING主くり
    伊達組にほのぼのと見守られながらのおやつタイム
    伊達組とおやつ


     ずんだにおはぎに色とりどりのフルーツがのったタルト、そして一等涼しげな夏蜜柑の寒天がちゃぶ台を賑わせる。
     今日は伊達の四振りにおよばれしてのおやつタイムとなった。
     燭台切特製のずんだに意外とグルメな鶴丸の選んできた人気店のおはぎ、太鼓鐘の飾りのようにきらきらと光を反射するフルーツののったタルトはどれも疲れた身体に染みるほどおいしいものだった。
     もっと言えば刀剣男士達とこうしてゆっくり話ができるのが何よりの休息に思う。
     本丸内での面白エピソードや新しく育て始めた野菜のこと、馬で遠乗りに出かけたこと、新入りが誰それと仲良くなったことなど部屋にこもることが多い分、彼らが話してくれる話題はどれも新鮮で興味が尽きない。
     うん、うんと相槌を打ちながら、時折質問をして会話を楽しんでいると、燭台切がそういえばと脈絡無くきりだした。
    「主くんって伽羅ちゃんに甘いよね」
     それぞれもってきてくれたものに舌鼓をうって、寒天に手を着ける前にお茶を口に含んだ瞬間、唐突に投げられた豪速球にあやうく吹きかけた。さっきまで次の出陣先ではなんて少し真面目な話になりかけていただけに衝撃がす 2548

    Norskskogkatta

    MOURNING主くり
    たまには大倶利伽羅と遊ぼうと思ったら返り討ちにあう主
    とりっくおあとりーと


    今日はハロウィンだ。いつのまにか現世の知識をつけた刀たちによって朝から賑やかで飾り付けやら甘い匂いやらが本丸中にちらばっていた。
    いつもよりちょっと豪華な夕飯も終えて、たまには大倶利伽羅と遊ぶのもいいかと思ってあいつの部屋に行くと文机に向かっている黒い背中があった。
    「と、トリックオアトリート!菓子くれなきゃいたずらするぞ」
    「……あんたもはしゃぐことがあるんだな」
    「真面目に返すのやめてくれよ……」
    振り返った大倶利伽羅はいつもの穏やかな顔だった。出鼻を挫かれがっくりと膝をついてしまう。
    「それで、菓子はいるのか」
    「え? ああ、あるならそれもらってもいいか」
    「……そうしたらあんたはどうするんだ」
    「うーん、部屋戻るかお前が許してくれるなら少し話していこうかと思ってるけど」
    ちょっとだけ不服そうな顔をした大倶利伽羅は文机に向き直るとがさがさと音を立てて包みを取り出した。
    「お、クッキーか。小豆とか燭台切とか大量に作ってたな」
    「そうだな」
    そう言いながらリボンを解いてオレンジ色の一枚を取り出す。俺がもらったやつと同じならジャックオランタンのクッキーだ。
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