Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    餅@94

    @Oh_moti94

    遥か昔に成人済みのお腐れ。 拳ミカがメインで官ナギ、ロド、ヨモサテ、真ヘル辺りが偶に出てくるかもしれない。相手左右固定の民なので逆やリバ、上記のキャラの他の組み合わせ等が出てくることはありませんがモブは気軽に出てくる。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 11

    餅@94

    ☆quiet follow

    👙ちゃんの幼年期の終わり的な?
    タイトルは不穏だけど別に不穏では無いです。
    ✊👙と言うよりは✊と👙。
    フワッとサクッと読んでいただきたい。

    神様が死んだ日「神を見た事があるか」と聞かれたら私は「ある」と答えるだろう。
     私の神は兄の形をしていた。
     絶対的な支配者たる母とは違い、私を愛し、慈しみ庇護してくれる存在。それが兄、ケンだった。
     私の愛。私の許し。
     唯一無二の私の神様。
     どれだけ私を取り巻く世界が変わろうとも、この信仰だけは変わらず私の心の中心にあるだろうと信じて疑うことは無かった。

     そう———

    「我が名は吸血鬼 野球拳大好き!! 野球拳と言う素晴らしき文化を担い守る者也!!」

     私の神が馬鹿みたいな模様の入った馬鹿みたいに派手なピンク色の着物を身に纏って馬鹿丸出しの口上を高らかに謳い上げながら野球拳なんて馬鹿げた振る舞いを道行く女性に次々と仕掛けて回る姿を見るまでは。

    「神は死んだ!!」
    「うぉっ!? なんで突然のニーチェ?」
     
     私は泣いた。
     信仰する神のあまりにも情けない姿に泣いた。
     それはもう赤ん坊でもこんなに泣かないだろうと言うぐらい泣いて兄を詰った。思えば初めて兄を愚兄呼ばわりしたのもこの時だったと思う。
     あまりにも私の嘆きが酷いものだからかえって自分は冷静になれた、とは後の透の言葉だ。
     後から考えてみれば、自分の理想が崩れたからといって相手を罵倒するのは完全な八つ当たりだが、兄は怒るでもなくただ穏やかに相槌を打ちながら私が落ち着くまでずっと側にいてくれた。
     そうして泣いて泣いて泣き尽くして顔を上げた時、側の兄が困ったようなけれども少し嬉しそうな表情を浮かべているのを見て「どうしてそんな嬉しそうなんだ?」と鼻を啜りながら問うと「……やっと、お前がちゃんと俺を見てくれた気がしてな」と頭を撫でられて、そこで私はようやっと理解した。
     兄さんはずっと私の「神」ではなく私の「兄」になりたかったのだと。

     こうしてあの日私の神は死んだ。
     破れた私の信仰心は優秀な兄に対するコンプレックスに反転し、遅まきながら訪れた私の反抗期を兄さんは今日も嬉しそうに受け止める。
     結局変わったのは私の心持ちだけで、今も兄は何も変わらず私を愛し、慈しみ、庇護し、そして許すのだ。私の全てを。ただの兄として。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏💖☺💖💖💖💖💖👏👏👏👏💯💯☺☺☺☺💖❤❤❤☺💕💕🙏❤❤❤❤☺☺☺☺☺💕💕💕👏💕
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    餅@94

    PAST以前にTwitterであげた眠りミカと小さな透君のお話に若干の加筆修正をしたものです。春なので再掲。
    うっすら拳→ミカ。


    数十年後、桜の下を元気にビキニで練り歩く儚さのカケラも無くなった次兄を見てこっそりため息を吐く透君が居るとか居ないとか。
    花守り 桜もそろそろ咲こうかとする頃、どこかから一通の手紙が送られてきた。
     その中身を読むなり、拳兄は大慌てで俺を隣のおばちゃんに預けてどこかへ飛び出て行って、それから数日経ってようやく帰ってきた。


     その腕の中に眠ったままの綺麗なお姫様を抱いて。

     ▼▼▼

     そのお姫様は実はお姫様じゃなくて、ずっと行方不明になってた俺のもう一人の兄ちゃんだった。
     名前はミカエラ。
     初めて拳兄からその名前を聞いた時は、この国じゃ馴染みの無い音だなって思ったけど、こうやって本人を前にすると舶来人形みたいに綺麗なこの人にはとても良く似合う名前だと思う。

     ミカ兄はずっと寝ていて目を覚さない。

     拳兄が言うには、ミカ兄は俺がうんと小さい頃に俺達とはぐれちゃって離れ離れになったんだって。拳兄はミカ兄を探してあちこちを転々としてたんだけど、たった一人で、しかも俺を連れてだから中々の上手く行かなかったらしい。
    3460