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    aya.t

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    aya.t

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    ツィッターにあげたお話
    火事の前の薪さんは両親に愛されて何の憂いもなく 賢くて可愛くて。 真っ直ぐに 楽しい事も幸せも目をキラキラさせて受け入れていただろうなと。あと あの世界観だと薪さんご幼少のみぎりにはスパム握りは日本ではまだ一般的じゃ無かった気がして🤣

    #秘密
    secrets
    #薪剛
    Maki Tsuyoshi
    #俊さん
    #琴海さん

    perfect day「お寝坊さん。もう起きて。」
    お母さんの声。 まだ眠くて。お母さんが開けたカーテンから"こんにちは"してきたお日様から逃げるように お布団に潜り込む。
    「又 本 読みながら夜更かししたのね。暗い中で読むと目が悪くなるわよ。」
    読みながら眠ってしまって手から滑り落ちた本。お母さんがそれを拾いながら呆れた声で僕を嗜める。‥だって 丁度ホームズが‥。
    「いいお天気だからお花見しに出かけようって お父さんが。」

    今日は土曜日⁈ お父さんがいる!

    「お父さん、今日はお仕事しなくていいの?一緒にお出かけできるの⁈」
    現金にも跳ね起きた僕にお母さんが笑う。

    「今日はお仕事無しですって。一日中 つよしと一緒にいられるって お父さん つよしが起きてくるの待ってるわよ。お弁当持ってお花見に行こうって。」
    「行く。行く!ねぇ お母さん。あれ作って。お正月に行ったハワイで食べたあれ。」
    「スパムのお握り?」
    「そう。それ!あと、唐揚げと卵焼きも!」
    「はいはい。食いしん坊さん。」
    お母さんの楽しそうな声を背中で聞きながら、もう僕は走り出している。お父さんのいるリビングへ。
    「お父さん!」
    「おはよう つよし。」

    お父さんは、朝は僕がまだ眠っているうちに職場に出かけて 夜は僕がぐっすり眠ってから帰ってくる。お母さんに聞いたら、一番早くに職場に行って一番遅くまで職場にいるのがお父さんなんだって。そういう人なのよ と言って笑ったお母さんは ちっとも淋しそうじゃなくて むしろ嬉しそうだった。‥僕はちょっと淋しいんだけど。

    お休みの日も仕事をしている事も多くて。でも 僕はお父さんが大好き。一緒にいられる時間が少なくても大好き。
    だから、一緒にいられる日は凄く嬉しい。
    今日は一日中 お父さんと一緒!

    駆けていって飛びついた僕を膝の上に抱き上げたお父さんが
    「甘えん坊だなぁ。つよしは。」と言った。
    僕はクラスの中で小さい方なんだけど、こんな時は小さくて良かったなと思う。だって まだ 抱っこしてもらえる。本当はもう 抱っこしてもらう歳じゃないってわかってるけど。
    いいんだ。僕はお父さんが好き。 
    お父さんに抱っこしてもらうのも好き。

    お母さんがお弁当を作っている間に支度して。僕もお父さんも手伝おうかと思ったら、開けた時の「わー💕」が聞きたいから駄目 って台所から追い出された。

    お父さんの運転する車。
    僕とお母さんは後ろの席。

    「前の白いベンツ!‥‥26!」
    走り出した車の中 早速僕が叫ぶ。
    前方の車やすれ違う車。車を指定してナンバープレートの4桁の足し算。誰が早く答えられるか。
    僕が掛け算も割り算も出来るのを知ったお父さんが この前教えてくれた足したり割ったりして10にするゲームも楽しかったな。

    お父さんが笑いながら言う。
    「つよし。今日はもうちょっと上を見ながらドライブしよう。」
    「上?」
    「そう。桜を探すゲーム。誰が一番沢山 桜のピンクを見つけられるか。 あ、右の山の上!」
    山の緑の中 一本 淡いピンクに色付いた桜。
    「左のおうち。桜 発見!」
    お母さんが続く。
    僕もナンバープレートへの目線を もう少し上に もう少し広い視界へ。
    あ‥!

    「お父さん お母さん‥ 道路の。 ‥道が ずーっと桜‥」

    道路に沿って満開の桜がずっと続いていた。
    声もなくその光景に見惚れる。
    咲き誇るように青空の下。走る車にひらひらと はらはらと花びらが 舞い散っては降ってくる。

    「あぁ‥綺麗だな‥。」
    「綺麗ねー。」
    お父さんとお母さんが感嘆する。

    気持ちの良い青空。
    どこまでも続く桜並木。
    お父さんが運転する車でドライブ。
    お母さんが作ってくれたお弁当を乗せて。

    お父さんがいる。
    お母さんがいる。
    どこまでも続く青い空 咲き誇るピンクの桜。 ずっと。ずーっと続く桜並木。

    世界の美しさに 僕はただ 声もなく。

    車を運転するお父さん
    僕の横で楽しそうなお母さん
    青空 桜 お弁当 お父さんとお母さんと僕‥‥
    ずっと ずっと‥

    ─Just a perfect day

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