モーニン、ハッピーバレンタイン 二月という時期は、どうしてこうも寒さが堪えるのだろうか。暖房器具を使っていてもひんやりとした空気が部屋に充満している。カーテンの隙間から差し込む眩い日差しが朝を知らせ覚醒を促されるも、もぞもぞと魏無羨はベッドの上で布団に包まりそこから動こうとしない。
本日は平日で、言わずもがな学生の身分である魏無羨は学校に登校しなければならない。そろそろ支度をするべきであると、頭では理解している。けれど、この温くて幸せな空間を自ら手放すのが惜しく、あっさりと欲に負けて再びうとうと微睡み始めてしまう。遅刻癖のある魏無羨が、より寝坊の頻度が増える季節である。
入学した当時は、同級生兼幼馴染兼お隣さんの江澄がズカズカと自室に上がり込んで魏無羨を起こしに来てくれていたが、あまりの寝穢い様に早々に見切りをつけて来なくなってしまった。なんとも薄情な奴である。みの虫になっている魏無羨の名前を大声で呼びながら、遠慮なく身体を大きく揺らし、ベッドから引き摺り出されていたのは、今となっては懐かしい思い出だ。
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