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    kor_game87

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    kor_game87

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    オルストss8話
    まだ続きます。

    #LAL_腐

    君の世界『最下層』 「俺なんて、初めから生まれなければよかったのに」
    「俺はあいつと一緒に居たいだけだったのに、どうしてこんなことを」
    「……くるしい、死にたい」

     あぁ、なんて悲しい声なのだろう。声の主はどれ程の苦しみを……。

     目が覚める。視界は真っ暗闇。
     一歩先も、何もかも見えず、真っ暗だった。
     その中で声だけが聞こえる。後悔と絶望、ずっとずっと繰り返される嘆き。
     私は、生きている安堵よりも、その声の主が気になって仕方がなかった。
    「ストレイボウ、何処だ……」
     誰に教えられるわけでもなく分かっていた。声の主はストレイボウだと。あいつはこの空間の何処かに居ると。
     手を前に出し、障害物が無いか確認しながらゆっくりと歩み出す。
    「ストレイボウ! 居るんだろ!? 返事をしてくれ!」
     叫んでみても返事はなく、ただ嘆きが聞こえるだけ。声は遠くなることもなければ近くなる事もない。手かがりが全くない。どうしたら。
    「ストレイボウ……頼む、返事をしてくれ。私は君ともう一度話がしたいんだ……!」
     少しだけ、声が近くなった。近くなった方へと歩みを進めていく。だが、それ以上声は大きくならない。
    「話をしたって意味ないだろ。お前は俺が嫌いになったんだから……。あぁ、お前が俺にとどめを刺してくれるのか……?」
    「そんな訳ないだろ! 私は、君が……ストレイボウが必要なんだ!」
     声が、また近くなる。
    「都合の良い存在としてか? 道案内として?」
    「違う……! どうして分かってくれない!」
     私は走り出していた。もう何処でも良い。ストレイボウに辿り着けさえすれば。息を切らし、脇腹が痛くなってきた頃、どんっ、と何かにぶつかった。
    「痛っ!」
    「痛いのはこっちだ、体力馬鹿……」
    「ストレイボウ……!」
     私は思わず彼を抱きしめていた。何処を抱きしめていたのかは分からなかったが、もう何でも良い。本当に、遠く会っていない友人に再会できた気分だった。
    「こんな所まで来てご苦労様だな」
    「ストレイボウが招いたんじゃないか」
     安堵と呆れが混じった溜息をつくと、ストレイボウがゆっくり息を吐いた。
    「オルステッド……頼みがある」
    「何だ? 話し合いもしたいけど……」
    「俺を殺してくれないか」
    「え」
     言葉が出ない。殺す? どうして。お互いすれ違いはあったかもしれないけれど、ストレイボウは私を殺しかけたけれど、何故逆を望む?
     話し合って、和解する事は不可能なのか?
    「俺は、辛いよ。オルステッド、お前の隣に居たいけど、居るのがしんどくて堪らない。おかしいだろ? お前が好きだけど嫌いなんだ。だから……せめて、この責め苦をお前の手で、終わらせてくれ」
    「何を、言って……?」
    「我儘なのは分かってる、でも俺は、お前に、酷い事を……」
    「それはそうかも知れないが、殺すなんて出来ない! ストレイボウを殺す必要なんてない!」
    「それだよ、オルステッド。お前のその優しさが辛いんだ。お前がもっと酷いやつだったら良かった、なんて思っちまうんだよ」
    「私は、そんな大した人間じゃない」
    「頼む、殺してくれ!」
     だん! と大きく音を立て、ストレイボウに押し倒される。
    「頼むよ……殺してくれないなら俺がお前を殺す、そして俺も死ぬ! この世界でお前が死んだら死体は残らない。俺は……現実世界で死ぬ」
    「やめろ! 自暴自棄になるな!」
    「何でだよ、どうして分かってくれないんだよ……!」
     ぐすぐすと耳元で涙声が聞こえる。
    「俺は、お前と一緒に居たい。それが出来ないならせめて、お前の心の中にずっと居たかっただけなのに……!」
     わんわんと子供のように泣く声が聞こえ出した。そういえば、ストレイボウが泣く姿を見たのは、いつが最後だったろう。
     彼の身体を手探りで探し、抱きしめる。
    「ストレイボウ、それは私も同じだよ。ストレイボウが死んでしまったら私は耐えられない。その後どうなるかも考えたくない。頼む、これからも一緒に居てほしい……」
     泣き声が、段々と収まってくる。
    「お前が、頼むのか……?」
    「そう、そうだよ。どうか一緒に居てくれ」
    「そうか。俺は……本当は、その言葉が聞きたかっただけなのかもしれないな……」
     ぎゅっと背中に手を回される。その身体の温もりを感じた後、私の視界は真っ白になった。
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