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「大日本帝国陸軍 北海道第七師団 歩兵第27聯隊に配属された鯉登音之進だ!」
背筋をピンと張り、俺に向かいハツラツとした大きな声で自己紹介をする年若い青年はこれから俺の上司となる男。
……ええ、大変よく存じておりますよ。
「階級は少尉。月島軍曹、貴様の補佐を受ける事になる、以後よろしく頼む!」
眩しいほどの笑顔だ。
若さに溢れていて、とても爽やかである。
数年前に顔も身分も何もかも隠して初めて彼と出会った時は、時々思い詰めたような表情を見せるどこか影のあった美少年だった。
その美しい顔はほぼそのままに程よく精悍さを増し、背もグッと伸びて均整の取れた体格を持った立派な青年として今再び俺の前に現れた。
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