退化【収斂進化】
魚類のサメと哺乳類のイルカのように全く系統の違う動物が、似たような体形をもつようになること。食物や環境に由来するといわれる。
引用:goo辞書
自分達の存在は午前4時に酷似している。
朝と夜が溶け合い、曖昧な境界に浸りながら確かに其処に存在している。
爪先を中心に、放射状を描くシーツの皺を眺める。僅かに爪でかくと、バタフライエフェクトのように波打つ布の影。潮汐のそれとは異なった、引くことのない溟渤は窓掛け越しの朧気な光を浴びている。
自分たちは取り返しの付かない所まで来てしまった。お互いに与え、溶け合い、削ぎ落とし、失い。そうして、濁流に研磨された石のように。形を変えていく。
進化の大樹の枝分かれを、遡るが如き行為。
木の洞で、胎児のように蹲る夢。彼岸と此岸の境目にかかる橋の上で微睡む幻。
この不条理な変体は、いつか対価を払わされるのだろう。
それを恐ろしく思うも、優しい憧憬と都合の良い陽光の手が執着となって底のない泥濘へと引き摺って離さない。狂気の沙汰が齎すデジャヴに、深海から湧き出るジャメヴに、幾度も輪郭をなぞって確かめる。
孤独に飛翔する彗星が大気圏の塵となる朝まで。或いはその刹那に。
その最果てで可惜花を散らす時。2人だけの孤独と帳のような安寧を求めて。