君を迎えに来てるんだよ「タソガレドキにおいでよ、歓迎会張り切るよ」
「……6年生に軽々しく言うことじゃないですよ」
失言だったのだろう。
先程まで穏やかだった空気が一変して寒々しい空気になったことで伊作は自分が発言を過ったのだと気づいたがもう取り消せない。
この人があまりに穏やかに笑って伊作たちの元へと遊びに来るから忘れていた。
彼が、威圧するだけでその場を制圧出来る実力者であると言うことを。
いつもは穏やかに笑む雑渡が時折見せる底知れぬ、闇を思わせる瞳を伊作は恐ろしく思う。
ああ、しかし伊作が恐れているのは雑渡の実力や怒気ではない。
失望されてしまったかもしれない、或いは呆れられているかもしれないと思えばもう雑渡の顔を見上げることが出来なかった。
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