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    sweets_m0gum0gu

    @sweets_m0gum0gu

    銀魂のろくでなし2人が好き。
    ここに上げているものは高銀のみです。
    2021年のお空ファンタジーとのコラボをきっかけにハマりました。

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    高銀
    全て終わったあとなんやかんやで隠居している2人

    #高銀
    Takasugi x Gintoki

    隠居1年目のホワイトデー※この前に書いた隠居1年目のバレンタイン話の続きです。そちらを先に読んだ方が分かりやすいと思います


    今日は銀時とかぶき町を歩いていた。
    スーパーで安売りの洗剤が1人2つまでだからお前も来いと言われたからだ。
    ずっと姿を隠して過ごしていた俺が、こいつと町を共に歩く事になるなんて、予想もできなかったな。

    「あら銀さん」

    前から来た四十路程の女が銀時に話しかけてきた。

    「んー? あ、こないだは依頼で世話になったな。あれから戸の調子どう?」
    「ばっちりよ。流石銀さんね」
    「そっか、良かったよ。また頼むわ」

    そう言いながら何かを手渡す銀時。
    よく見ると透明な袋にいちごみるくの飴がいくつかと、万事屋の名刺のような紙が入っている。

    「あら、飴ね。ありがとう銀さん」
    「おー、今日はホワイトデーだから」
    「そうだったわね。私も銀さんにバレンタインあげたからおあいこね」
    「そ。じゃあね、またよろしくー」

    ひらひらと手を振り歩き始める銀時。

    それからも何度かこのやり取りを眺める事になった。
    ここがこいつの町である事がよくわかり、同時に俺の知らないこいつを知る事ができた。

    +++

    「意外と商売上手なんだな」

    買い物を終え、帰りに寄った団子屋で団子を食う銀時にそう言う。

    「あ?」
    「ホワイトデーだとか言いながら名刺配ってらァ」
    「ま、万事屋も客商売だからね。お前だってそうやって取引してたんじゃねーの? 昔から悪知恵ばかり働いてたじゃん。悪杉くん」
    「悪杉じゃねェよ。動かなきゃ仲間なんざ集まらねェだろ」
    「そーだね」

    興味なさそうに最後の団子を頬張る銀時。
    それに対して特に何を言うでもなく、俺は湯呑みを置いて懐から煙管を取り出した。

    「で、高杉くんは俺にホワイトデーくれないの? ホワイトデーはバレンタインの10倍返ししなきゃいけないんだって知ってる?」

    期待しているようなしていないような声でそう言われ、煙管の紫煙を顔に吐いてやる。

    「うぇっ! げほっ! くっさ! 何すんだテメー」
    「10倍返しの煙だ」
    「いるか!」

    怒っている銀時の顔の前に懐から出した箱を差し出した。

    「ほらよ」
    「えっ、何これ、何か箱が高級そう……」
    「マカロンってヤツだ。洋風の最中みたいなモンらしい。また子に聞いた」
    「マカロンってこんな小さいのに高いヤツじゃん」

    片手で丸を作って見せる銀時。確かにそのくらいの大きさだったな。

    「なんだ、食った事あんのか」
    「ない」
    「ねェのかよ」
    「だってお前、こんな小さいのに1個500円とかならここの団子5つ食った方がいいし」
    「そうかい。ま、俺ァお前に買ったんだ。食うも食わねェも好きにしな」
    「食う! 食います!」

    そう言って大事そうに箱を抱える銀時を尻目に俺は立ち上がった。

    +++

    夕飯後。
    茶を飲みながらまったり過ごしていると、洗い物を終えた銀時が日中に渡したマカロンといちご牛乳を持って来た。
    飯食った後によくそんな甘ったるいの食えるなと思ったが、口に出すのはやめた。

    「じゃ、いただきまーす」

    気付いたらもうマカロンを手に取って食べようとしている。甘味を前にした時の素早さは相変わらずなこった。
    自分で食った事もない物をあげたからには感想が気になり、銀時の顔を見つめる。

    「ん! こりゃあ……」
    「なんだ」
    「想像以上に繊細で美味いよ。小さいのにしっかりした味で上品。これは確かに1個500円するわ」

    小さな500円の重みを感じたのか、ゆっくり丁寧に食べている。

    「ありがとな」
    「あァ」

    温かな雰囲気になったところで俺は口を開く。

    「銀時」
    「んー?」
    「先月俺ァ確か、お前にバレンタインチョコレートを渡したな」
    「ああ、街で買ってくれたのだろ。覚えてる覚えてる」
    「日中ホワイトデーはバレンタインの10倍返しだって言ったよなァ?」

    そう言うとマカロンを食べる手が止まる銀時。顔から汗がたくさん出ていて笑うのを堪える。

    「えーっと……マカロン、食う?」
    「いらねェ」

    じっと見つめる俺の目から逃げられない事を悟ったのか、銀時はため息を吐いてから口を開いた。

    「欲しいの、何?」

    そう問われて口角が上がる。

    「お前」
    「それは昨日もあげ……」

    話の途中だってのに赤面しながらそう声を上げる銀時に、表情が緩みそうになるのを抑える。

    「それも欲しいが今から言うのはそれじゃねェ」
    「はあ? じゃあ何なの」
    「お前の作る飯。だがただの飯じゃねェ。俺の好きな物を揃えた飯だ。それ作ったら10倍返しと見てやるよ」

    そう言うと、銀時はゆっくり瞬きをする。

    「……わーった。んじゃ、明日の朝までに食いたいもん、ここに書いといてくれ」

    寄せられたメモ紙を受け取り、嬉々としてボールペンを滑らせた。


    *****

    バレンタイン話の続きでした。
    気付いたら会話ばかりのお話になっていましたが、書いていて楽しかったので良し。

    最初の個数制限の洗剤買うのに付き合っている高杉を想像するだけで、書きながらにやにやしてしまいました。2人の隠居ライフは夢が詰まっていますね。

    マカロン、数回食べた事あります。が、洋風最中の表現は微妙だったかな……
    値段は百貨店のデパ地下で売ってるようなアレです。検索したらそれくらいの値段でした。
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