花黒弁護士の場合 四時
タバコをふかしながらパソコンの画面に向かっていると、テーブルの隅にマグカツが置かれた。キーボードを叩く手を止めて顔を上げると、眠そうな恋人が立っていた。
「お疲れ様です。少し休んだらどうですか?」
「悪いな。丁度喉が乾いてた。今やってるやつが終わったら休む」
「あまり今詰めないでくださいね。ボクは朝ごはんの買い物に行ってきます」
そう言いつつも、大きなあくびを一つ。目は半分開いてなくて、今にも寝落ちしてしまいそうだった。
「お前そんなんで行けるのか? 家出た瞬間車に轢かれそうだな」
「失礼ですね。大丈夫です」
「そう言ってこの間何もないところで転んだのは誰だろうなぁ」
「……あとどのくらいかかりますか」
2005