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    ちまき

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    ステバキ。学パロ。第5話
    片思いスティーブ×無自覚バッキー。

    【クラスメイトのホームパーティに参加した話】

    #stucky
    #ステバキ
    stevaki

    チョコなんて食べなきゃよかった「今日はパパもママも出かけてるから、気兼ねなく楽しんでー」



    休日の午後、クラスメイトの家に集まったのは、男女あわせて10人ほど。広めのリビングで音楽を流しながら、ボードゲームやおしゃべりを楽しむカジュアルなホームパーティ。どこかアメリカの郊外らしい、自由で気取らない空気が流れていた。


    スティーブは、少し離れた場所で女の子たちに囲まれていた。生徒会のメンバーで、学業優秀、まっすぐで誠実なスティーブは自然と注目の的になる。

    一方、バッキーはソファに深く腰を下ろし、飲み物を手にしながらその様子を見つめていた。


    (…アイツ、モテモテじゃねぇか)


    口元を歪めて笑ってみせるけれど、心の奥がじんわりとざわついているのが分かった。プライベートな顔をほとんど見せないスティーブ。だけど、バッキーは知っている。寮での素のスティーブ、くだらないことで拗ねるときの顔、真面目すぎて冗談が通じないところ――

    (何イラついてんだよ俺…いいことじゃねえか、みんなに好かれて)

    モヤモヤを誤魔化すように、バッキーはテーブルの上にあったチョコレートをつまんだ。


    「……うまっ」


    気がつけば、手が止まらない。少し洋酒の香りがする、濃厚な大人の味。だが数十分後、顔が赤くなり始めた。

    「……ちょっと、気分悪いかも…」

    立ち上がろうとしたバッキーの視界が、ゆらりと揺れる。その場に座り込んだ彼のもとに、クラスメイトの女の子たちが駆け寄る。

    「バッキー!?大丈夫?顔真っ赤だよ!」

    「ちょっと、そのチョコ、洋酒入ってるやつだったかも…!」

    スティーブが騒ぎに気づいたのはそのときだった。

    「バッキー!?」

    すぐに駆け寄り、しゃがみ込んでバッキーの肩を抱く。

    「大丈夫か!?どこか痛むか?」

    「うるせぇな…大丈夫だ。ちょっと酔っただけだ…」

    「そのチョコ、私が持ってきたやつだったかもしれない…ごめん、バッキー……」


    スティーブの眉が痛々しいほどに寄る。クラスメイトも心配して声をかけるが、バッキーは手を振ってそれを制した。

    「気にすんなよ、俺は平気だ――」

    「バッキー、寮に戻ろう。君を一人にはできない」

    「…ったく、心配しすぎなんだよ。俺は大丈夫だっつーの」

    そう言いながらも、立ち上がることすらおぼつかない。
    結局、スティーブはバッキーを背中に担いで、パーティーを後にすることになった。



    「おい、降ろせってば!恥ずかしいっつの!」

    「歩けないんだから、仕方ないだろ」

    「クソ…お前、ほんと真面目すぎ……」

    頬を赤らめながら、ぶつぶつと文句を言うバッキー。その背中越しに感じるスティーブの体温と匂いに、少しだけ気持ちが落ち着いていくのを感じていた。

    (……なんだよ、これ)

    帰り道、夕暮れの風がふたりの間をそっと吹き抜けていく。

    バッキーは自分でもよく分からない感情に戸惑いながら、スティーブの肩に額を預けた。
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