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    ちまき

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    ステバキ。学パロ。16話 SS
    片思いスティーブ×無自覚バッキー

    【2人がピザ食べてるだけ】

    #stucky
    #ステバキ
    stevaki

    香ばしい香り店の扉を開けた瞬間、チーズの香ばしい香りと、ほんのり甘いトマトソースの匂いが鼻をくすぐった。
    赤い革張りのソファ、白と赤のチェック模様のテーブルクロス。まさに、アメリカの「ザ・ピザ屋」。


    「お、空いてるな。奥のボックス席、行こう」

    スティーブの声に、バッキーは無言で頷いて後を追う。
    いつものように向かい合って腰を下ろすと、スティーブはさっそくメニューに目を走らせた。

    ピザやドリンクなど、注文を済ませたふたりは、ぼんやりと店内を眺めて時間を潰す。

    やがて届いた大皿のピザは、チーズがとろとろに溶けて、ペパロニがジュウっと音を立てていた。


    「……うわ、ピーマン入っていやがる……」

    ピザの皿を前にして、バッキーが少しだけ顔をしかめる。

    「まだ嫌いだったかい?」

    「一生嫌いだって決めた。あれは青くて苦くて生意気すぎる。 ……お前、ピーマン好きだったよな?」

    そう言いながら、バッキーはニヤリと笑って自分の皿からピーマンをつまみ、スティーブのピザの上に”トッピング”した。
    スティーブは「しょうがないな」と小さく笑って、そのままピザを口に運んだ。

    「ここのやつ、やっぱり美味いな」

    バッキーは(もう1枚)とピザを口に運ぶと、チーズが思ったより伸びて、口元にトマトソースがついてしまったことに気づかなかった。

    その瞬間、スティーブがふとバッキーを見て言った。

    「……ついてる」

    「え?」

    反応する間もなく、スティーブの指がそっとバッキーの頬の端をかすめ、そのまま口元へ――そして、ためらいなく、ペロリと舐め取った。

    「っ……!」

    目を見開いたバッキーの手から、ピザがつるりと滑りかける。

    「バック、ホント子どもかよ。紙エプロンでも貰ってこようか??」
    と、スティーブは冗談交じりで笑いながら、紙ナプキンを差し出した。


    (……ちょっと待て、今の……なんだ……?)


    声にならない動揺が喉の奥で渦巻く。
    落ち着け、これはただの親切。スティーブはそういうやつだ。

    ――でも、今の距離、今の仕草。

    あまりに自然すぎて、逆に頭が真っ白になった。


    ピザの一切れが、指から滑り落ちそうになる。慌てて皿の上に戻し、バッキーはとりあえず黙々と食べることしか出来なかった。

    そんなバッキーの向かいで、スティーブは涼しい顔のまま、一口ずつ丁寧にピザを味わっていた。



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