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    ちまき

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    ちまき

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    ステバキ。学パロ。17話
    片思いスティーブ×無自覚バッキー

    やっと、やっとスティーブ告白します!!!
    なかなか進まなかった2人が遂に!!!!おめでとう( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`)

    #stucky
    #ステバキ
    stevaki

    ”親友”以上の気持ちバッキーは店の会計を終え、レシートをポケットに突っ込んだ。
    ドアの外に出ると、冷たい夜風が二人の間を通り抜けた。

    「バック、ご馳走様。」

    「……もう、次から"割り勘"な……」


    片眉を上げて睨むように言うと、スティーブは笑いながら肩をすくめた。

    「え?俺そんなに食べてた?」

    「完全に調子乗ってただろ、お前。ったく、何ピース食ったんだよ…」

    「んーー……4か5?」

    「おい、正直に答えるな。」

    バッキーは、呆れつつも笑いながらスティーブの肩を軽く小突いた。

    「バッキー、あの公園通り抜けて帰ろうか。そっちの方が近道だし」
    スティーブは大通りに面した公園を指した。

    「あぁ、構わない。」



    寮までの帰り道、いくつかルートはあるが、大通りを避けて公園を抜けるのが一番早い。
    ただ、冬の公園は人通りも少なくて、静かすぎるのが少しだけ落ち着かない。

    でも今夜は、妙にそれが心地よくもあった。たまに近道に通り抜けるときか街灯が点々と続いていて、今は人通りもまばらだ。

    並んで歩き出すと、足音だけが静かに続いた。


    しばらく園内を歩いていると、スティーブがふと足を止めた。

    「なぁ、バッキー……」

    「ん?」

    スティーブは少し黙って、それから、少しだけ息を整えるように目を伏せた。

    「今日はありがとう。すごく楽しかった。」

    真っ直ぐ見つめるスティーブ

    「……それに、今日だけじゃない。こっちに戻ってきてから、君といれてから、ずっと思ってたんだ。安心するし、楽しいし、でもそれだけじゃなくて……」

    声が少しだけ震えていた。けど、迷いはなかった。



    「バッキー。君が好きだ。」



    夜風が通り抜ける。
    バッキーの鼓動が、急に大きくなった気がした。


    冗談かと思って笑おうとしたけど、スティーブの目はまっすぐで、冗談なんかじゃないってすぐに分かった。



    「……なんて?」


    「ずっと言いたかったんだ。でも、言うタイミングも、君の気持ちも分からなかったから……」


    「けど、言わないと気づいてくれないだろう?」

    真剣な目をしたスティーブがそこにいた。


    「ちょ、ちょっと待ってくれ……急すぎて理解できない。」

    バッキーは思わず一歩後ずさる。

    「おま、お前さ、、ペギーのことが好きなんじゃないのか!??」

    声がわずかに震えていた。思ってもみなかった言葉に、心が追いつかない。

    「よく廊下で二人で話してたり、、たまに一緒に帰ったり、さっきのカフェだってペギーが好きそうって笑ってたじゃないか!」

    スティーブは少し目を見開いて、小さく笑った。

    「……バッグ、それ誤解だよ。ペギーはただの友達。そういう特別な気持ちはないさ。この前だって君のことで相談に乗ってもらってただけ。」

    少し困った顔をしてスティーブは言った。

    「え?、、おれ???」

    バッキーの眉が動く。

    「そう。君からマフラー貰って嬉しかったこと。どうやったら、ちゃんとお返しできるかなって、相談してたんだ。」

    「一緒に帰ってたときは、同じ本屋に用事があっただけ」

    とスティーブはにこやかに返す。

    バッキーは、スティーブの言葉が頭の中でぐるぐると回るのを止められなかった。

    (え、?……好きって……あのもやし野郎のスティーブが俺を……?)

    立っているのもしんどくなって、思わずその場にしゃがみ込む。

    「はは……でも、“好き”って、そういう意味じゃないよな。きっと……」

    声に出すと、少しだけ落ち着いた気がした。
    これは、昔みたいに「ずっと親友でいたい」とか、そんな軽いやつだ。冗談半分で、「お前が一番だよ」って言うときの、ああいう……。

    (俺のこと、友達として、大事にしてくれてるってだけで…改めて言われているだけで………)

    自分の中で勘違いしてはいけないと言葉を理解しようと考えて混んでいると、腕を両側からそっと掴まれた。



    「ねぇ、バッキー。」

    顔を上げると、目の前にはスティーブのまっすぐな瞳があった。
    ゆっくりと彼はバッキーを立ち上がらせ、そのまま逃げ場を与えないように、正面から向き合った。


    「僕は、君の大親友でいたいと思ってる。……けど、今はそれ以上に君のことを想ってるんだ。」

    落ち着いた声でスティーブは言う。

    「ただ、"一緒にいたい"ってだけじゃなく"君のことを愛しているパートナー”として……だから、、だから、それでも迷惑でなければ僕と付き合って欲しい。」

    真っ直ぐ真剣に見つめるスティーブがそこにいた

    胸の奥がぎゅうっと締めつけられて、呼吸を整えるのが精一杯だった。
    どうしようもなく真っ直ぐなスティーブの視線が、自分のすべてを見透かしてくるようで。


    (……なんだよ、それ)

    脈がうるさい。心臓の音が、自分の耳にまで響いてる気がした。
    けど、それを見透かすように、スティーブは一歩も引かない。

    (わかってたさ……お前がそういうやつだって)

    スティーブは、一度決めたことは最後まで貫き通す。
    冗談のふりをしても、今日のあの“デート”発言からして、スティーブの中ではもう覚悟は決まってたんだ。

    バッキーはふっと息を吐いた。



    「……お前さ、昔からそうだよな」

    ようやく声が出た。思ってたより掠れてた。

    「一度こうって決めたら、人の話なんて聞かない。頑固で、真面目で……やたらと一直線でさ。そういうとこ、ムカつくぐらい知ってんだよ、俺」

    スティーブは何も言わずに、ただ聞いていた。

    「けど、……ほんとお前、ずるいな……」

    顔を上げると、スティーブのまなざしは変わらず、どこまでも、自分の言葉を待ってくれている。

    バッキーは唇を引き結び、ゆっくりと息を吸って、それから言った。


    「……しょうがねぇな。とことん付き合ってやるよ」

    わずかに口元が緩んだスティーブに、バッキーは照れ隠しに視線をそらしながら、続けた。

    「……ちゃんと、恋人として、だよ。……言わせんな、バカ。」

    咄嗟にスティーブから視線を外した。


    (あぁ…今、俺、どんな顔してんだ…)

    自分で言っておいて、顔が熱を帯びて仕方ない。
    普段、女子に甘いセリフを投げるときは、もっと軽く言えるのに、ただ返事を返しただけなのに、こんなにも恥ずかしくなるなんて。

    それも、真っ直ぐに、全部を受け止めるみたいな目で、アイツがこっちを見てたからだ。

    (それにこれは、ただの”返事”でもないから…)

    自分の気持ちを再認識させられる。

    なんともいたたまれない気持ちになり、バッキーはひとつ咳払いをした。

    「と、とにかく、さっさと行こうぜ。公園抜けたら駅近いし」

    言い訳みたいに言って、すたすたと先を歩き出す。
    置いていくつもりはない。むしろ、すぐ後ろにスティーブの足音がついてきているのが分かっていた。



    「なぁ、バッキー……キスしたい……」

    心臓が跳ねる。

    「ッ!……」

    冗談じゃない。気持ちは分かるが、こっちは今の気持ちを受け止めるのに精一杯なのに、今これ以上を求めないで欲しい。

    「バッキー……」

    求めるような甘い声で名前を呼ぶスティーブ。

    「……。ノーだ……今は…………」

    今言える精一杯の返事。

    「……じゃあ、手だけでも繋がせて。本当に君が僕のことを受け止めてくれたことを実感したいんだ。」


    (おい、コイツこんなに積極的な奴だったか??前はもっと奥手な童貞もやし野郎だったよな……)

    今日はほんと驚かされてばかりだ。
    正直、早く帰って寝たい。

    バッキーは目を逸らしたまま、ため息をひとつ吐き、不意に足を止めた。


    「……まったく、お前ってやつは……」

    ぼやきながらも、ポケットの中の手をゆっくりと引き抜く。

    「……あぁ、もう!………駅までな!駅までだぞ。」

    言い聞かせるようにスティーブに言うと、ふっと優しく目が細まる。
    すぐにその温かな手が重なって、そっと握られた。


    「……ありがとう、バック。」

    お礼を言われるなんて思ってもなくて、さらに心臓が跳ねる。

    心がずっと落ち着かない。

    (バカ……こっちはやっと気持ちを整理し始めたばっかなんだよ)

    ふと視線を横に向けると、スティーブは嬉しそうに、けれどどこか照れたように、口元を綻ばせていた。

    「なぁ……ずっと、こうしていたかったんだ」

    「……駅までっつっただろうが」


    ぶっきらぼうに言い返したが、手を振り解くことはなかった。
    むしろ、自分でも気づかぬうちに、ほんの少しだけ握る力が強くなっていたかもしれない。

    寒い夜空の下、重なった手の温度は、駅に着くまで一度も離れなかった。




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