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    ちまき

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    ステバキ。学園パロ。11話
    片思いスティーブ×無自覚バッキー

    付き合うまでの馴れ初め。
    季節外れだけど、クリスマスネタ。

    #stucky
    #ステバキ
    stevaki

    誰か宛のプレゼント。十二月。街が浮足立つようにきらめき始めた頃――。


    ここ最近、バッキーは妙な違和感を覚えていた。
    それはスティーブの態度が「冷たくなった」とか、そういう分かりやすいものではない。むしろ逆だった。


    「バック、また手袋忘れた?」

    授業終わり、ロッカー前で声をかけられたと思ったら、スティーブは新品の手袋を手にしていた。

    「これ、予備にって買っといた。前に貸してくれたし、返すつもりで」


    ――そんなこと、あったっけ?



    その日だけじゃない。
    バッキーの好物のスナック菓子を購買部帰りに差し出したり、風邪をひかないようにとポケットティッシュを放り投げてきたり、カバンの中にこっそりカイロが入っていた日もあった。

    (なんなんだ、最近のスティーブ……やけに気が利くっていうか)

    けれどバッキーは深く考えなかった。
    「たぶん、日頃の感謝ってやつだろ」
    心の中でそう片付けてしまう。――いや、片付けたかった。



    それでも――。


    ある日、スティーブの部屋の机の上にあった雑誌の表紙が、ふと視界に入った。


    《気になる人の心を掴むためには――冬に効く!あったかアプローチ特集》


    「……は?」
    思わず声が漏れた。

    スティーブは背を向けたまま着替えていて気づいていない。
    バッキーは目を細め、その表紙をもう一度見た。


    (……スティーブ、好きなやつでもいるのか?)


    胸の奥が、不意にざわついた。けれど、その理由はわからない。理解しようともしなかった。


    それでもその夜、いつになく気になる自分がいて、
    バッキーは一人、カーテン越しににじむ月を見上げていた。

    (なんか、俺も……何かお返し、しないとな)


    スティーブの気持ちを知らないまま。
    けれど、たしかに少しずつ、心は動きはじめていた。




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