恋の欠陥論理「……ふぅ」
スナイダーは銃身を拭く手を止め、ため息をつく。
そして、少しの間を置いて、ぽつりと呟いた。
「エンフィールド……」
最近、ふと気が付くとエンフィールドの事ばかり考えている。
スナイダーは、エンフィールドのことを心から尊敬していた。エンフィールドは優秀な銃だ。
射撃の腕も申し分ない。
戦場での勇敢さにも目を見張るものがある。
それに何より、優しい。
身だしなみや食事に気を使い、いつも笑顔を絶やさない。誰に対しても分け隔てなく優しく接し、面倒見もいい。
非の打ち所がないとはまさにこの事だろう。
そんな完璧な兄を、弟として誇りに思う。
だが……。
「…………」
エンフィールドを見ると胸が苦しくなる。
エンフィールドの顔を見るだけで、心臓が激しく脈打つ。
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