シュイ、と拘束具で後ろ手に回させた手首を束ね、そのまま気絶している相手の腰に固着させた理人は、隊服の襟元に仕込まれている通信モジュールに唇を寄せた。
「1700、対象確保。これで最後だ。保護部隊を頼む」
明らかにこの時代の者ではないタイムジャッカーといえど、法で裁かれるまではあくまで被疑者だ。
その身柄を輸送するための応援を要請し、雨の近い鈍色の空へ向かい顔を上げる。そこで、たん、と地を蹴る音がした。
本来の身体能力を補強するため、重量を無視した跳躍を可能にするブーツを履いた足が、赤茶けた地面に着地する。
「ノイ」
落ち着いた声音で名を呼び向き直った先、そこにたたずむブラスターを携えた若者は、バディの姿を認めると、星を挙げたというのにあからさまに眉をひそめた。
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