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    肴飯のポイ箱

    @sakana2015414

    pkmnでkbdnとか、kbnとdndがわちゃわちゃしてるような話を書いてます。時々ホラーなものをあげるのでそこだけ注意です。

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    肴飯のポイ箱

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    お題『掃除』
    溢れ出る物が沢山あるのが嬉しいっていう話です。
    ⏳🐈に妨害されながらの二日

    #kbdnワンドロ
    kbdnOne-dropping
    #キバダン
    #kbdn

    明日、写真を撮ろうか シュートシティを見下ろすマンションの最上階。大型のポケモン達が悠々と寛げる程の広さがあるその家の一室は今、大量の本達によって埋まっていた。
    「自分達で言うのもなんだけど、すげぇ溜め込んだよな」
    「ヨクバリスも真っ青な溜め込み方だぜ」
     家主の一人であるキバナが、艶のある濡鴉色の髪を指で掻き混ぜながら唸る。応えるダンデも琥珀色の瞳を曇らせて、眉間に皺を寄せながら腕を組んで唸る。
     二人が結婚し早片手の指を超える年数が立っている。このマンションを購入してからは、主に家具家電をキバナが主導して揃えてきた。ポケモンに関する物はダンデも考えて意見を出し、二人とポケモン達の居心地の良い場所を作っていけば、次第に物が増えていくのも自然な流れ。まあ、目の前の惨状は一緒に暮らしてきた軌跡の結果だといえば聞こえはいいが、結局の所怠慢による本の洪水だ。
     二人が唸る、目の前のそう狭くもない部屋の本棚は、天井まで大部分が専門的な書籍で埋まっていた。二人とも読書家かつ紙の本を好むという事もあり、今や本棚から溢れ出た本達が床に侵食し足の踏み場も怪しい。忙しさを言い訳に、二人揃ってその惨状から目を背けていたが、いよいよもってマズイとなった二人は休みを合わせて一気に整理をしようと朝から意気込んで部屋の扉を開けて、そして現状少し尻込みをしているのだ。
    「まあ、兎に角手を動かさないことには結果が出ないぜ」
    「それもそうだな。ロトム!ビフォーアフターポケスタに載せたいから今の部屋の感じとオレ達の写真頼む」
    「おまかせロトー!それにしても本がいっぱいロ!本屋さん開くロ?」
    「あっはっは!そうならない為にも頑張るぜ!」
     ロトムのブラックジョークとも捉えられるような言葉を、笑って弾き飛ばしながらダンデは両頬を叩いて気合を入れる。その姿を見て、キバナは何かツボったようで笑いながらダンデと同じように髪を上にギッと音がする位までキツく縛って気合を入れている。
     そうして、ある意味負けられない戦いが始まったのだった。

    ◇◆◇

    「ダンデ、手止まってるぞ」
    「おっとすまない…うん?そういうキバナこそ、全然進んでないんじゃないか?」
    「うっ。この棚、懐かしくなっちまうものばっかで困るな」
    「あっ!これ公式戦のバトルスコア表じゃないか!?しかもこの技編成チャンピオンカップの六年目決勝戦のやつじゃないか!なんでここに?!」
    「うわっ懐かし!オレさまがコータス初デビューさせた時じゃん!」
    「ひでりを生かした戦法が凄かったぜ…あの時はガマゲロゲをメンバー入りさせてなかったら危なかった」
    「最後の最後で押し切れなかったんだよなー!」
     山積みの本達に囲まれながら二人揃ってスコア表を覗き込む。
    「ここの技のタイミングが一手違ってたら変わってたんじゃないか?」
    「いや、そこは絶対交代メンバーの為に必要な手だったね。それよりもここだ。このタイミングでこの技出しちまったのが迂闊だった」
    「なるほど。いやっ!でもその後キミはこのターンで「ゴーキン!」…ジュラルドン?」
     二人のバトル談義がヒートアップしてきたところで、後ろから聞こえてきたのは少し機嫌の悪そうなジュラルドンの声。ハッとして振り返れば、本を両腕に目一杯重ねた彼がジト目でダンデ達を睨んでいた。片付けを真面目にやれとお怒りのご様子だ。
    「悪いジュラルドン」
    「ごめんな」
     仕分け済みの、纏めた書籍類を外の物置へと運ぶのを手伝ってくれていたジュラルドンが怒ってくれた事で、二人はもう一度本棚の整理へと戻る。戻ろうとするのだが、その後も別の年のスコア表に廃刊になったポケモン雑誌の特別号、一緒に暮らし始めたばかりの時の写真達が収められたアルバム。二人にとって思い出のある物が出てくる度に盛り上がって作業の手が止まるので、最終的にジュラルドンはいくら陽気な性格とはいえ大変お怒りで、一度「全てを吹き飛ばせば良いのでは?」とてっていこうせんを撃つ構えをした。ジュラルドンの本気を感じ取り、流石のキバナ達も猛省し、そこからはまるでこうそくいどうの勢いで作業を進めていく。

    「終わった…疲れたぜ」
    「マジ、こんなにどうしてオレさま達溜め込んでたんだろうな…」
    「これからは、こまめに整理しようぜ」
    「賛成…ジュラルドン、ありがとな」
    「ゴーキン!」
     最後は真面目に取り組んだのもあって、お礼を言われたジュラルドンも朗らかに「ご褒美、楽しみにしてるね」というような顔をして、ウッドデッキの方へと移動していった。どうやら日課の夕焼け鑑賞をしに行くようだ。
     スキップせんばかりに浮ついて歩く白銀の後ろ姿を見送り、すっかりと夕暮れが近づいてきた空を、窓から眺めつつキバナは髪を解く。その顔には疲労感が見てとれる。同じように部屋の前に置いた段ボールの山を見て達成感を味わっていたダンデも疲れたのか酷使した体を労うように大きく伸びをする。
    「思ったよりも思い出の物が出てきたな」
    「オレも驚いたぜ」
    「…ここまできたら、アルバム用の部屋作ろうか?」
    「アルバム用の?」
    「えっと、まあ…あれだ。オレさま達や手持ち達との思い出を飾る部屋ってこと。写真とか、記念の物とか」
     キバナが提案したことは、実はずっと前から彼がやってみたい事だった。元々記録するのが好きな男なのだ。愛しいひととポケモン達。愛するガラルでの生活を刻んだ物達は、どんなに金を積まれたって渡せない宝物だ。キバナはそれを、これからも増やしていく気持ちが大いにある。それを時折振り返る場所があるなら、どんなに楽しい事だろう。
     だが、ダンデはどうだろうか。元々キバナとこうしている事さえ奇跡的な事だと思うほど、ポケモンバトル以外に執着が薄い男だ。自分がその狭い執着の枠にめり込んでいるかと聞かれると、実はまだちょっと自信が無い。片手の指以上一緒に時を重ねてて、何を今更と思うこと勿れ。未だに感情が読めないところのあるダンデに、キバナの心は毎日これでもかと振り回されているのだ。トドメと言わんばかりに「そんなのいらないぜ」なんて言われたら、ちょっと。いや、かなり落ち込む自信がある。考え込むような仕草をしているダンデに、慌てて提案を取り消そうかと思った時だった。
    「……いいなそれ」
    「…ん?」
    「オレ、その部屋に飾りたい物沢山あるぜ!」
     キラキラと、まるで落ちてくるねがいぼしを見つけた子どものような顔だった。瞬きする度に星が流れていくように、輝きがキバナの方にも溢れてくる。
    「初めてこの家に来た日に、みんなで撮った写真を飾っても良いだろうか?あっ…今部屋から取ってくるな!」
     キバナの返事を聞かずに自分の私室へと走り出したダンデの背中を見送った。ジワジワと胸の奥から溢れ出てくるこの気持ちをどう名前を付けたら良いのだろう。暖かくてキュッとして、そして泣きそうで。
    「あったぜ!この写真は絶対飾りたい!あとな…」
     次から次へと飾りたい物が出てくるダンデは、写真をキバナへと見せながら興奮気味に話し続ける。
     お前の不安、どうやら杞憂だったみたいだぞ。
     少し色褪せ、角が丸くなった写真の中。緊張気味に写っている自分の姿へと、キバナはそう心の中で声を掛けた。
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    肴飯のポイ箱

    DONEREVELЯY2411「COUNT DOWN vol.2」の書き手クイズ企画に提出した作品となります。
    お題「催眠 付き合ってないキダ」
    開催中はドキドキとしながら過ごしておりました!すごく楽しい企画でした☺️✨ありがとうございました!
    夜空、星二つ ガラルにしては気持ちの良い、からりとした青空が朝から広がっている日だった。ブラックナイトに関する諸問題で暫く奔走を余儀なくされていたキバナは、ようやく業務もひと段落し始めた。屋外での作業は晴れの少ないガラルでは何よりも優先したい事柄だ。そんなこともあって、キバナは温かな陽気の中、ナックルジムの中庭で膝と頬を土で汚しながらせっせと植物の剪定に明け暮れていた。元が城ということもあり、一般の人々が立ち入らない場所には未だに当時の面影を残す部分が多い場所だ。キバナが居る中庭もその一つで、ナックルのジムリーダーが代々手入れをしていくことがいつの頃から習わしとなっていると聞いていた。初めてその役割を聞いた時には正直乗り気では無かったキバナだったが、元々好奇心旺盛な方だと自覚していることもあって、やり始めてみればなんだかんだと楽しみを見つけ出し、気付けば少しずつこだわりも持つようにもなってきた。
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    肴飯のポイ箱

    DONE12月オンイベ展示作品その②(新しいお話)
    みんなが寝静まった夜。こっそりひっそり楽しく過ごす不思議な生き物のキバナとダンデのお話
    「🎄ホリデー編🌟」
    ※ポ世界のクリスマス概念が曖昧な為、あえてクリスマスから正月までをホリデーと設定してお話をかいています。細かく考えず緩くお楽しみください🌟👻👻🎄
    それは賑やかな すっかり夜の帳が下り、静まり返ったとある家のキッチン。小綺麗に整頓されたそんな場所を小さな林檎程の大きさの何かが二つ、白い布を頭から被ってチョロチョロと薄暗いキッチンの中を動き回っている。
    「キバナ、息が真っ白だ!寒いなぁ」
    「今日も月が大きいなぁ。でも、流石に今日はみんな寝てるだろ」
     月明かりに照らされたキッチンを、キバナと呼ばれた大きい方がそれよりも少し小さなダンデの手を引きながらずんずん進んでいく。
     少し前にお菓子を貰ったキッチンは、同じように整えられていた。水切り籠にはジュラルドンとリザードンが描かれたカップが逆さまになって雫を落としていた。今日は、それ以外にもカラフルなカップや皿がたくさん並んでおり、いつもは食器棚の一番上で偉そうにしている白地に金の模様が入った大きな皿も、ピカピカに洗われて月の光を反射している。
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    肴飯のポイ箱

    DONEオンイベ開催、アンド素敵企画ありがとうございます!
    この作品は、12.3歳ごろの2人がナックルシティの片隅にあるとある喫茶店を舞台にわちゃわちゃとしていくお話となっています。
    ※両片想いほのぼのです。
    ※ガラル市民がたっくさん出ます。
    ※視点がコロコロ変わるお話です。
    少しでも楽しんでいただければと思います☺️
    とあるナックルの片隅で◆ライラック色の髪をした少年の回想

    「あ、チャンピオンだ!」
    「チャンピオン!」
    「何かイベントでもあったっけ?」
     困った。
    俺は、大きな街の真ん中で冷や汗を掻きながら、どうしてこんなことになったのかをひたすらに考えていた。
     今日は午前中にシュートでのチャリティイベントに参加した。午後はスポンサーの会社が行うガーデンパーティへの参加が予定されていたが、そちらが主催者側の事情でのキャンセルとなったので、突発的に午後は丸々オフとなった。予定されていた休みより、こういうイレギュラーな休みって得な感じがして俺は好きだ。せっかくだから前々から欲しいと思っていた物を買おうと意気込み、勢いのままユニフォームで飛び出した。自分なりに人目が少ない道を探しながら、地図アプリと睨めっこ。しかし、俺の努力も虚しくうっかり路地から大きな通りへと出てしまった。途端に集まるキラキラとした眼差しの人、人、人。応援してくれる人達の期待の眼差しを裏切ることはできず、突発的に始まってしまったファンサービス。握手に写真、サイン。もみくちゃにこそされないけれど、このままだと行きたい場所に行けないまま休みが終わってしまう。顔には出せないが内心焦りつつも人混みは消えるどころが増えていく。どうしたものかと困っていると、人混みの奥から良く通る声が聞こえて来た。
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    DONEお題『お絵かき・絵画・美術』
    絵心と、リベンジと、ちょっとした日常の話。

    https://poipiku.com/6450412/7832908.html
    と繋がっています。
    よく見てみよう「どした?」
    「……」
    「えっ…本当になに?」
     休日の朝。一通りのトレーニングを終えたキバナは、のんびりとカウチに座りながら数日前に発売されたポケモン雑誌を読んでいた。気になっていたコラムの続きを読もうと、ペラペラとページをめくっていたが、同居人がどうにもこうにも凄く熱い視線をずっと無言のまま向けてくること、三十分。最初は気のせいかと思っていたが、パチリと音が出そうなくらい目線がかち合った後も、何故かダンデは、座っているキバナを真正面から直立不動で見つめてくる。しかも、焦れたキバナがあれこれ話しかけても全く反応は無く、只々この謎な状態が続いている。
     ダンデは、口で説明するよりも行動で示す方が速いと思うと、時々突拍子もない行動に出ることがある。後から理由を聞くと、なるほど。という内容も多いが、理由を聞いても首を傾げる内容の時もある。今はどちらだろうか。そう考えながら、キバナはつやりと輝きながらこちらを見つめてくる琥珀色をぼんやりと眺めたのだった。
    2011

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    れんこん

    DONE第3回ベスティ♡ワンドロ用
    入れ替わっちゃったお話。
    「は?」
    「あ?」

    2人同時につい口から出たのは気の抜けたような、本気で力の抜けるような、意味のない言葉。
    それだけお互いに驚いた。
    今、目の前にいるのは鏡に映ったような自分自身。この声すら、自分の身を通して聞く音と違って違和感を感じる。

    ……今日はお互いオフの日だった。
    DJはいつも通り夕方頃からふらふら起き出して夜遊びにくりだし、自分は朝っぱらから情報屋の仕事であちこち歩き回っていた。
    情報の集まる場所は遊び場が多く、必然的にDJとばったり出会す事もしばしばあった。
    たまにはクラブで怒らせてしまったおじさんたちに追いかけられている所を助けてもらったりなんだり、逆にDJが修羅場に巻き込まれているところをうまく逃したり、なんだかんだそのたびにお互い持ちつ持たれつな感じで2人で雑談でもしながら帰路につく、そんな事も結構あった。
    今日もそんな気ままな日常のひとつで、2人でだらだらと喋りながらタワーへの道を歩いていた所、突然前触れもなしに路地裏から何やら変な色の霧と共に甘い香りが漂ってきたかと思うと……この有り様。

    DJが俺で俺がDJで。
    ナニコレ、フィクションの世界?

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