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    肴飯のポイ箱

    @sakana2015414

    pkmnでkbdnとか、kbnとdndがわちゃわちゃしてるような話を書いてます。時々ホラーなものをあげるのでそこだけ注意です。

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    肴飯のポイ箱

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    kbdnワンドロ
    お題「壁ドン」
    ⏳1時間+40分

    こう、本当はカッコいい感じの壁ドンをですね…考えたかったんですよ…でも、どうしてもあのアニpkでの壁への穴シーンが衝撃過ぎまして。こんな話になってしまいました。

    #キバダン
    #kbdn

    穴の位置と大きさで速攻バレた「…退いてくれないか。」
    「嫌だと言ったら?」
    「ふざけている時間は無い。もう一度言う、退いてくれ。」
     スタジアムからタクシー乗り場まで続く通路で立ち塞がるように立っているキバナの表情は険しい。いつもなら優しげに緩められている目元も吊り上がっており、穏やかでは無い。
    「オレさま医務室で治療受けてから帰れって伝えたよな。」
    「次の予定が詰まってるから移動先で治療するって伝えたはずだが?」
    「はいアウト。お前それで治療受けに行った事ないじゃん。後で悪化したらどうするんだ。」
    「腕にステルスロックが掠っただけじゃないか。止血もしているし、別に騒ぐ程の怪我ではないだろう。最後だ、退いてくれ。」
    「お利口さんに医務室行ったら退いてやるよ。」
    「…っ大体俺の怪我は君には関係のない事だろう!退けてくれ!」
     何を言っても断固として譲らないキバナに業を煮やしたダンデは苛立ち気に声を荒げて無理矢理にでも通路を通り抜けようと怪我をしていない左腕でキバナを押し退けようとする。それが逆鱗となった。

    「関係無いわけねぇだろうが!!」

     キバナは牙を剥き出しにしながら大声で叫び、ダンデをその場に留めようと、逆に彼の胸倉を掴んで壁際に追い詰め、苛立つ思いのまま拳を叩き付ける。キバナが思い切り叩き付けた拳はダンデの顔面横の、生成色の壁へと思い切りぶつかり、ガァンッと思わず耳を塞ぎたくなるようなけたたましい音を立てた。

    ついでに壁に穴も開けた。

    「「あ。」」

    暫くそのままお互い固まっていたが、キバナがそろりと拳を壁から離すと、丁度拳一つ分の歪な穴がぱかりと開いており、ポロポロと壁材の破片がリノリウムの床に散らばる。

    「えっ!やべっ!どうしよ!?どうしよこれ!」
    「いや、まずその拳ズレてたら俺の顔粉砕されてただろう!どんな馬鹿力なんだ!?」
    「バカやろ!ズラすわけないじゃん!いや、マジでどうしよ!スタジアムの壁に穴開けたとか絶対ヤバいじゃん!この前うっかりロッカーの扉捩じ切っちゃった時も怒られたのに!」
    「捩じ切った?!」

    さっきまでの険悪な雰囲気は何処へやら。とりあえずなんとか誤魔化そうと、2人でアワアワと近場の壁に貼ってあるジムチャレンジ宣伝のポスターを剥がし、穴の上に貼り直し、床に落ちた壁の破片屑を拾い集めて廊下のゴミ箱へ入れた。
    「…バレない?」
    「うーん…まあ、ポスターに触られなければ。ギリ、セーフ…?」
    「じゃあいいや…っいて!」
    ホッとしたのだろう。キバナはいつもの癖で頭の後ろで手を組もうと動かしたが、途端に顔を顰める。
    「君、拳の皮が擦り剥けてるじゃないか!」
    「結構強い力でやったしなー。」
    「血も出てる!早く医務室に行こう。」
    「えー…ヤダ。」
     キバナの手をまるで自分が怪我したかのように悲痛な顔をして掴み、通路を引き返そうとしたダンデにキバナは硬い声でそう返した。
    「なんでだ!血が出てるんだぞ!」
    「大した傷じゃ無いだろ?後で適当にやっとくし大丈夫だって。」
    「何言ってるんだ!骨に異常があったらどうするんだ!」
    「お前に関係無いじゃん。」
    「…。」
     そこで漸くキバナの言わんとしてることが分かり、ダンデは顔色を悪くして黙り込んでしまった。それでも何とかしようと考えているのか、キバナの手は握りしめて離そうとはしなかった。
    「俺はなんて事を君に…つい、カッとなってしまって…酷い事を言ってすまなかった。」
     一言ずつ絞り出すような声での言葉だった。
    「うん…オレさまもお前に苛立って煽っちゃってごめんな。でも、お前の怪我はオレさまとのバトルの傷だろ?オレさまもだけど、技を出したギガイアスもずっと気にしてるし…何よりお前のポケモン達もお前が怪我した事で落ち込んでるはずだ。早く次の仕事に行きたい気持ちも分かるけどさ…ちゃんと自分も大切にして欲しい。」
     その言葉を待ってましたとばかりにダンデのボールホルダーがガタガタと音を立てて震える。その音と振動を感じ、ダンデはハッとして泣きそうな顔になる。
    「…ちょっと最近色々立て込んでて…気持ちに余裕が無かったかも知れない。」
     君達にも悪い事をした。そうボールを撫で、キバナの腰にあるボールホルダーにも同じように声を掛ける。それからキバナの手を、傷を触らないようにもう一度握る。
    「キバナ、医務室まで一緒に行ってくれないか?」
     そう少し肩の力を抜いて伝えてきたダンデに対し、漸くキバナは目元を緩め嬉しそうに笑ったのだった。
     因みに数ヶ月後、ポスターの貼り替え作業によって壁に大穴が空いていることが発覚し、キバナが大目玉を喰らったのは言うまでも無い。


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    肴飯のポイ箱

    DONEREVELЯY2411「COUNT DOWN vol.2」の書き手クイズ企画に提出した作品となります。
    お題「催眠 付き合ってないキダ」
    開催中はドキドキとしながら過ごしておりました!すごく楽しい企画でした☺️✨ありがとうございました!
    夜空、星二つ ガラルにしては気持ちの良い、からりとした青空が朝から広がっている日だった。ブラックナイトに関する諸問題で暫く奔走を余儀なくされていたキバナは、ようやく業務もひと段落し始めた。屋外での作業は晴れの少ないガラルでは何よりも優先したい事柄だ。そんなこともあって、キバナは温かな陽気の中、ナックルジムの中庭で膝と頬を土で汚しながらせっせと植物の剪定に明け暮れていた。元が城ということもあり、一般の人々が立ち入らない場所には未だに当時の面影を残す部分が多い場所だ。キバナが居る中庭もその一つで、ナックルのジムリーダーが代々手入れをしていくことがいつの頃から習わしとなっていると聞いていた。初めてその役割を聞いた時には正直乗り気では無かったキバナだったが、元々好奇心旺盛な方だと自覚していることもあって、やり始めてみればなんだかんだと楽しみを見つけ出し、気付けば少しずつこだわりも持つようにもなってきた。
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    肴飯のポイ箱

    DONE12月オンイベ展示作品その②(新しいお話)
    みんなが寝静まった夜。こっそりひっそり楽しく過ごす不思議な生き物のキバナとダンデのお話
    「🎄ホリデー編🌟」
    ※ポ世界のクリスマス概念が曖昧な為、あえてクリスマスから正月までをホリデーと設定してお話をかいています。細かく考えず緩くお楽しみください🌟👻👻🎄
    それは賑やかな すっかり夜の帳が下り、静まり返ったとある家のキッチン。小綺麗に整頓されたそんな場所を小さな林檎程の大きさの何かが二つ、白い布を頭から被ってチョロチョロと薄暗いキッチンの中を動き回っている。
    「キバナ、息が真っ白だ!寒いなぁ」
    「今日も月が大きいなぁ。でも、流石に今日はみんな寝てるだろ」
     月明かりに照らされたキッチンを、キバナと呼ばれた大きい方がそれよりも少し小さなダンデの手を引きながらずんずん進んでいく。
     少し前にお菓子を貰ったキッチンは、同じように整えられていた。水切り籠にはジュラルドンとリザードンが描かれたカップが逆さまになって雫を落としていた。今日は、それ以外にもカラフルなカップや皿がたくさん並んでおり、いつもは食器棚の一番上で偉そうにしている白地に金の模様が入った大きな皿も、ピカピカに洗われて月の光を反射している。
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    肴飯のポイ箱

    DONEオンイベ開催、アンド素敵企画ありがとうございます!
    この作品は、12.3歳ごろの2人がナックルシティの片隅にあるとある喫茶店を舞台にわちゃわちゃとしていくお話となっています。
    ※両片想いほのぼのです。
    ※ガラル市民がたっくさん出ます。
    ※視点がコロコロ変わるお話です。
    少しでも楽しんでいただければと思います☺️
    とあるナックルの片隅で◆ライラック色の髪をした少年の回想

    「あ、チャンピオンだ!」
    「チャンピオン!」
    「何かイベントでもあったっけ?」
     困った。
    俺は、大きな街の真ん中で冷や汗を掻きながら、どうしてこんなことになったのかをひたすらに考えていた。
     今日は午前中にシュートでのチャリティイベントに参加した。午後はスポンサーの会社が行うガーデンパーティへの参加が予定されていたが、そちらが主催者側の事情でのキャンセルとなったので、突発的に午後は丸々オフとなった。予定されていた休みより、こういうイレギュラーな休みって得な感じがして俺は好きだ。せっかくだから前々から欲しいと思っていた物を買おうと意気込み、勢いのままユニフォームで飛び出した。自分なりに人目が少ない道を探しながら、地図アプリと睨めっこ。しかし、俺の努力も虚しくうっかり路地から大きな通りへと出てしまった。途端に集まるキラキラとした眼差しの人、人、人。応援してくれる人達の期待の眼差しを裏切ることはできず、突発的に始まってしまったファンサービス。握手に写真、サイン。もみくちゃにこそされないけれど、このままだと行きたい場所に行けないまま休みが終わってしまう。顔には出せないが内心焦りつつも人混みは消えるどころが増えていく。どうしたものかと困っていると、人混みの奥から良く通る声が聞こえて来た。
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