Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    肴飯のポイ箱

    @sakana2015414

    pkmnでkbdnとか、kbnとdndがわちゃわちゃしてるような話を書いてます。時々ホラーなものをあげるのでそこだけ注意です。

    ☆quiet follow Yell with Emoji 🐉 💜 👏 ☺
    POIPOI 64

    肴飯のポイ箱

    ☆quiet follow

    ワンドロ
    お題「風の強い日」
    ⏳🐈に妨害されつつ約2時間
    風の音って子どもの頃ちょっと怖かったなっていう思い出と、全てを塗り替えてくれる人の話。
    ※恋人設定

    #kbdn
    #キバダン

    風の強い日 子どもの頃、ダンデは夜中に風に揺れて鳴る窓の音が怖くて仕方なかった。
     耳を塞いでも枕の下に頭を捩じ込んでも耳に突き抜けてくる、まるで呻き声のような不気味な音は、風のせいだと聞いていても怖くて怖くて。そういう日はそろりと足音を立てないように両親の寝室まで行って2人のベッドに忍び込んだ。自分とは違う体温と、そっと撫でてくれる大きな掌に安心して夢の中に沈むことができたのだった。

     鈍色の空の中を、揺れる木々からちぎり飛ばされた枝葉が低い唸り声をあげながら飛び回っている。与えられた伽藍堂の部屋の窓から見上げるそれは、ハロンの時よりも何故か恐ろしく感じて、毎回ポケモン達を全員ボールから出して一緒に雑魚寝をしてもらっていた。キャンプ用の寝袋を床に敷いて、臆病な性格なのにダンデのことを守るように横に寝そべった一番の相棒にしがみつき、その温かいザラザラとした肌を感じながら、何故か胸の中に吹き続ける隙間風には気付かないふりをして夜を明かしたものだった。


     揺れる窓の音、叩きつける雨風に鈍色の空。あの時と同じような景色を、懐かしく思い出しながら同じ場所から見渡す。
    「ばきゅあ……」
    「よしよし、風が怖いのか?酷くなる前に今日は早めにボールに入ろうな」
     不安げな声を出して擦り寄ってくる相棒に安心させるよう声を掛けるが、何故か不服そうな顔をして服の袖口をぐいぐいと引かれる。どうやら違うらしい。そう首を傾げていると、廊下から困惑したキバナの声が聞こえてくる。
    「どうしたんだ」
    「なんか、キャンプ道具出せっておまえのとこのポケモン達が…こらこら、寝袋出してどうするんだよ」
     見ると、ドラメシア達が寝袋の端を咥えながら運んできている。その様子を見て、漸くダンデはピンときた。
    「なるほど!ありがとうな。だけど平気だぜ」
     嬉しいような、恥ずかしいような。胸の奥がむず痒くなりながらもポケモン達にお礼を言うと、「ほんとに?」「いや、絶対強がりだよ」というようにドラメシア達は頷き合ってそのままリビングの真ん中へ寝袋を置くと、そのまま両手一杯のランプとマシュマロの大袋を持っドラパルトの所へと戻っていく。


    「ーで、結局ほんとにこれどういう状況?」
    「どこから説明していけば良いのか……」
     両方の手持ち達を出しても、ゆとりあるリビング兼ダイニングの真ん中。段々と夜の帳も落ちてきたその場所は、いつもなら間接照明によって柔らかな明かりに包まれるが、今日は二つ並んで置かれた寝袋の周りに、テカテカと輝く大小様々なランプ達が置かれ、床には大袋のマシュマロやスナック菓子が広げられて賑やかだ。ポケモン達はお菓子をつまんだりゴロゴロしたりと、少しはしゃぎながらも和やかに過ごしている。
    敷かれた寝袋の上で未だに状況が掴めずにいるキバナに、ダンデは膝を抱えながらポツリ、ポツリと子どもの頃の思い出話をする。
    「きっとオレが外の様子を確認してたのを見て、怖がってると勘違いしたんだと思う。平気だって言っても絶対信じてもらえないから今日は付き合って貰えるか?」
    「それは全然良いけど。なんか、ここまで来たらもっと本格的にやりたくなるな」
    「本格的?」
    「なんかこれ、キャンプみたいじゃん」
    「確かに。言われてみればそうだな」
    「どうせなら、徹底的にやろうぜダンデ!テントも出してこよう。後、流石にここでカレーは無理だけど、簡易コンロでマシュマロ焼いてチョコビスケットスモアにしようぜ」
     テント、マシュマロ、チョコビスケット、スモア
    立て続けに聞こえてきた魅力的な単語の数々に、側で寛いでいた筈のポケモン達が途端にわぁっと賑やかになる。
    「ははっ!みんなめっちゃ乗り気じゃん!」
    「オレも部屋の中でテントを張るなんて初めてだ…なんだかワクワクしてきたぜ!」
     さっきまで空の色と同じように鈍色だった瞳がキバナの提案でキラキラと琥珀色に輝き出す。その目元に堪らずキバナが口付けを落とすと、嬉しそうに笑いながらも同じ場所へと柔らかな感触が返ってくる。
    「…今日は、ギュッとして寝てくれ」
    「勿論。子守唄もセットにしてやるよ」
     それは贅沢だ!と益々笑みを深めながらダンデは勢い良く立ち上がる。そのままポケモン達と競い合うようにキャンプ道具を入れてある部屋へとルームシューズを蹴飛ばしながら駆け出した。
     外は相変わらずインクを落としたように底なしの黒で、きっと風も強くなっている。
     でも、胸の中へ隙間風はもう入ってこないだろう。
     不思議とダンデはそう確信できた。今日はちょっとだけいつもより甘えてみよう。頭も撫でて貰って、たくさんキスをしてあの安心する香りに包まれたいと思ったのだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤😭😍😭💓😭❤😭💓😭❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    肴飯のポイ箱

    DONEREVELЯY2411「COUNT DOWN vol.2」の書き手クイズ企画に提出した作品となります。
    お題「催眠 付き合ってないキダ」
    開催中はドキドキとしながら過ごしておりました!すごく楽しい企画でした☺️✨ありがとうございました!
    夜空、星二つ ガラルにしては気持ちの良い、からりとした青空が朝から広がっている日だった。ブラックナイトに関する諸問題で暫く奔走を余儀なくされていたキバナは、ようやく業務もひと段落し始めた。屋外での作業は晴れの少ないガラルでは何よりも優先したい事柄だ。そんなこともあって、キバナは温かな陽気の中、ナックルジムの中庭で膝と頬を土で汚しながらせっせと植物の剪定に明け暮れていた。元が城ということもあり、一般の人々が立ち入らない場所には未だに当時の面影を残す部分が多い場所だ。キバナが居る中庭もその一つで、ナックルのジムリーダーが代々手入れをしていくことがいつの頃から習わしとなっていると聞いていた。初めてその役割を聞いた時には正直乗り気では無かったキバナだったが、元々好奇心旺盛な方だと自覚していることもあって、やり始めてみればなんだかんだと楽しみを見つけ出し、気付けば少しずつこだわりも持つようにもなってきた。
    6909

    肴飯のポイ箱

    DONE12月オンイベ展示作品その②(新しいお話)
    みんなが寝静まった夜。こっそりひっそり楽しく過ごす不思議な生き物のキバナとダンデのお話
    「🎄ホリデー編🌟」
    ※ポ世界のクリスマス概念が曖昧な為、あえてクリスマスから正月までをホリデーと設定してお話をかいています。細かく考えず緩くお楽しみください🌟👻👻🎄
    それは賑やかな すっかり夜の帳が下り、静まり返ったとある家のキッチン。小綺麗に整頓されたそんな場所を小さな林檎程の大きさの何かが二つ、白い布を頭から被ってチョロチョロと薄暗いキッチンの中を動き回っている。
    「キバナ、息が真っ白だ!寒いなぁ」
    「今日も月が大きいなぁ。でも、流石に今日はみんな寝てるだろ」
     月明かりに照らされたキッチンを、キバナと呼ばれた大きい方がそれよりも少し小さなダンデの手を引きながらずんずん進んでいく。
     少し前にお菓子を貰ったキッチンは、同じように整えられていた。水切り籠にはジュラルドンとリザードンが描かれたカップが逆さまになって雫を落としていた。今日は、それ以外にもカラフルなカップや皿がたくさん並んでおり、いつもは食器棚の一番上で偉そうにしている白地に金の模様が入った大きな皿も、ピカピカに洗われて月の光を反射している。
    2994

    肴飯のポイ箱

    DONEオンイベ開催、アンド素敵企画ありがとうございます!
    この作品は、12.3歳ごろの2人がナックルシティの片隅にあるとある喫茶店を舞台にわちゃわちゃとしていくお話となっています。
    ※両片想いほのぼのです。
    ※ガラル市民がたっくさん出ます。
    ※視点がコロコロ変わるお話です。
    少しでも楽しんでいただければと思います☺️
    とあるナックルの片隅で◆ライラック色の髪をした少年の回想

    「あ、チャンピオンだ!」
    「チャンピオン!」
    「何かイベントでもあったっけ?」
     困った。
    俺は、大きな街の真ん中で冷や汗を掻きながら、どうしてこんなことになったのかをひたすらに考えていた。
     今日は午前中にシュートでのチャリティイベントに参加した。午後はスポンサーの会社が行うガーデンパーティへの参加が予定されていたが、そちらが主催者側の事情でのキャンセルとなったので、突発的に午後は丸々オフとなった。予定されていた休みより、こういうイレギュラーな休みって得な感じがして俺は好きだ。せっかくだから前々から欲しいと思っていた物を買おうと意気込み、勢いのままユニフォームで飛び出した。自分なりに人目が少ない道を探しながら、地図アプリと睨めっこ。しかし、俺の努力も虚しくうっかり路地から大きな通りへと出てしまった。途端に集まるキラキラとした眼差しの人、人、人。応援してくれる人達の期待の眼差しを裏切ることはできず、突発的に始まってしまったファンサービス。握手に写真、サイン。もみくちゃにこそされないけれど、このままだと行きたい場所に行けないまま休みが終わってしまう。顔には出せないが内心焦りつつも人混みは消えるどころが増えていく。どうしたものかと困っていると、人混みの奥から良く通る声が聞こえて来た。
    9874

    related works

    recommended works