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    ume_nokoko

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    ume_nokoko

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    友人に昔、このお題でいつか話を作りたいと言って、もらってからずっと温めていたお題です。
    ほっかほかに出来上がりましたので、どうぞ。

    #ぶぜまつ
    japaneseClethra

    ほら、あーん(ぶぜまつ)【お題「嫌いな食べ物」】


    ※自本丸ぶぜまつ。
    ※我が本丸の松井は豊前に否定の言葉を言いたくないゆるふわ個体。

    雲一つない青い空。
    そんな爽やかな晴れの朝に、全く似つかわしくないうめき声が本丸の食堂から聞こえてきた。

    「ゔぅ〜…」
    「ほら、駄目だよ松井。ちゃんと食べなきゃ」
    「いかん!押し付けなすな!」

    食堂で繰り広げられる攻防は、桑名と松井のものであった。
    本来なら刀の付喪神として、刀を振るう刀剣男士たち。しかし、今桑名が持っているものは、刀ではなく箸。先にあるのはセロリの浅漬け。
    それを松井に向けていわゆる"あーん"という形で食べさせようとしている。
    一方で松井は断固拒否の構えを示し、桑名の腕をありったけの力で押し返そうと必死だ。だが、徐々に力の差でセロリが松井の顔に近づいていく。

    「ほら、そろそろ諦めて食べなよ」
    「嫌や!無理や!食べられん!」
    「食べ物を粗末にしちゃああかんに」
    「そらわかっとるばってん!」
    「ほーら、二人ともいい加減にしろ」

    そこに一声かけたのは同じく身内の豊前であった。
    桑名は一旦休止とばかりに力を緩め、松井は天の助けが来たとばかりに目を輝かせた。
    やれやれと言ったふうに笑う豊前は、桑名から箸を取り上げると「畑当番が呼んでるぞ」と後は任せろと言わんばかりに豊前は桑名の肩を叩く。

    「はあ…豊前が食べたら駄目だからね」
    「はいはい。ほら、いってこい」

    その時、桑名は豊前と目があった。その目を見た瞬間、桑名は早いとこ退散したほうが身のためだと理解し、足早に外へ足を向けた。桑名は松井が野菜を食べてくれるならなんでもいいし、松井のことは豊前に任せるのが一番だと、経験上理解しているからだ。例えどんな展開になろうとも。

    「じゃあよろしくね」
    「わーった。ほら、松井頑張るぞ」
    「ぶ、豊前…!?」

    松井は自身の背後に"がーん"と効果音が入りそうなほどに絶望した。豊前は天の助けではなかったのだ。桑名からは助けてくれたのだが、その場所に今度は豊前が座る。
    先に伝えておくと、この本丸の松井は豊前に弱い。ものすごく弱い。
    食べるようお願いされたり、あーんをされたりしたら、きっと条件反射で口に運んでしまうだろうと、松井自身もそう確信している。
    しかしセロリだけはどうしても苦手なのだ。
    せめてもの抵抗で口元を両手で隠す。豊前や作ってくれた刀には悪いと思うし、食べ物は粗末にしたくはないが、松井の中ではセロリは食べ物の分類に…

    「ほら、あーん」

    ぱくっ。

    「!?」

    抵抗など、豊前のあーんの前では無力である。
    松井は自分のことながら『ちょろすぎるだろう!』と叱咤する気持ちと『豊前からの『あーん』、断れるわけがないだろう!』と嘆く気持ちでいっぱいになった。…が、すぐに口の中の異物で正気に戻る。
    この口の中に入れたものをどうしても噛みたくない。これ以上味を出したくない。…が、非情にも独特の苦味と風味、匂いが口の中に充満していく。
    吐き出したいが、さすがにそれは行儀が悪い。これはもう飲み込むしかないと決心して、無理やり喉の奥へと追いやり、異物を胃に押し通した。

    「松井」
    「……」
    「駄目だろ、ちゃんと噛まないと」

    さすが豊前。僕のことをよくわかっている。しかしわかっているのなら、何故このような愚行を…!?と、自分のことを棚に上げて涙目で訴えるが、豊前はそんなことどこ吹く風だと言わんばかりに次のセロリを松井の前に差し出してくる。

    「俺のあーんじゃ、食えない?」

    そんな訳ないだろう!?と、松井は大声で訴えたかったが、口の中のに残る苦味がそれを許してくれなかった。
    松井は豊前に対して怒りを覚えたことはあまりないが、このときばかりはあざとい豊前に『君は自分の価値をもっと知るべきだ!!』と、説教を垂れてやりたかった。
    ずるいだろう。豊前はわざとやっているのだろうか?
    そんなことを首を傾げながら言われたならセロリでも土でも食べ…たくはないが、その気概を見せられそうだと、松井は言葉にこそ出さなかったが、脳内で結論付けた。

    そこでようやく松井は気づいた。
    何やら豊前の機嫌が悪そうなことに。

    はて、自分は何かしてしまっただろうか?と、松井は考える。
    そして思い出す。今日はお互い非番だから、万屋街へ遊びにいこうと約束していたのだ。それなのにいつまでたっても嫌いな食べ物一つでぐだぐだとしていれば、怒るのも当然だろう。

    「食べ…る」
    「ん、じゃあほら」

    唇にセロリが突かれる。疾さを求める豊前らしい。松井も覚悟を決め、鼻を摘みながらセロリを口に招き入れる。

    「今度はちゃんと噛んで」

    豊前の言うとおり、咀嚼をする。1.2.3…苦い。美味しくない。泣きそうだ。

    「食べたな。偉い偉い」

    きちんと咀嚼して飲んだことを確認すると、豊前は松井の頭を撫でてきた。
    瞬間、松井の地の底まで落ちていた心は、天井を突き上げる勢いまで一気に浮上した。いや、ぶち上がったと言ってもいいくらい、それくらい豊前の頭を撫でるという行為は効いたのだ。
    単純なのは理解しているが、こと豊前に関してだけは許してほしいと、改めて自分に言い聞かせる。
    しかしそうだ。自分は刀剣男士なのだ。
    男士たるもの、セロリになぞ負けてなるものか!と、泣いていた心を奮いたたせ、豊前とセロリを前に立ち向かう決心をする。

    「豊前…」
    「おお、ほら」
    「んぅ…」

    口を開け一枚、咀嚼して飲み、また一枚と、ゆっくりだが着々と数を減らしていく。減らしていくごとに松井の顔は強張っていくが、そんなことは気にしていられない。なんせ豊前との約束を破るわけにはいかないし、今も松井のせいで豊前の手を煩わせている。一方の豊前は、松井が数を減らしていくごとに嬉しそうにしている。

    「ご、ご馳走様…!」

    ついに松井は小鉢のセロリを食べきった。
    豊前のおかげで完全勝利Sといっても過言ではないし、豊前も松井の頑張りを褒め称えてくれている。
    ぐったりしている松井に対し、豊前は洗い物をしてくると言い、席を立った。

    「豊前、それは僕のものだから」
    「いーって。松井は頑張ったんだから休んでおけ」

    憎きセロリを倒したご褒美だろうか?豊前の笑顔と優しさが松井の心に沁みた。
    ありがとう豊前。君がいなかったら、セロリなんて食べられなかったよ…と、松井は豊前の背中にひっそりと感謝と敬意を示した。



    そしてこの茶番劇を見ていた、遅めの朝食を食べていた男士たちは皆、同じことを考えていた。

    『自分たちは何を見せられていたのだろうか』



    ◇◆◇◆◇◆



    豊前は膳を洗いながら、反省をしていた。

    最初は桑名と松井のやり取りに嫉妬をして、少しだけ悪戯心が働き、わざと一枚だけ取ってあーんをしてみせた。
    そう、それがいけなかった。
    嫌だ嫌だと駄々を捏ねたい気持ちを必死に押さえ、また自らの手で差し出されたものを、頑張って食べる姿が非常に愛おしく、おかげさまで何かの扉を開いてしまった気がする。
    しかしそのせいでゆっくりと嫌いなものを味あわせてしまい、非常に可哀想なことをしてしまったのだ。
    お詫びに何かしたいなと、豊前は考えた。
    この後は万屋街に二振で遊びにいく予定があるから、名誉挽回として松井の好物を手ずから与えてみようと。

    「赤いもん、何がいいかな?」

    先ほどの頑張る姿も良かったが、やはり自分の前では笑顔でいてもらいたい。
    松井が喜ぶものを考えながら、洗い物を終えた豊前は松井の元へ戻るのであった。

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    hydroxidestar

    DONE戦闘の余韻抜けなくてキスしちゃう

    松井の腰が抜ける

    ぶ「キスだけでいかせてやんよ」

    事に及ぶ

    「指舐めて」と松井の口へ近づける。

    これで書けばよくない?と思い、書きました!!
    身も恋も溶かすのはきみヒトリ「やあ、松井江。出陣お疲れ様」
    「蜂須賀虎徹、ただいま。今日は君が昼当番なんだね」
    「ああ。すぐに食べるかい?」
    「そうしたいのだけど豊前が帰還途中から眠そうでね……。寝かせてきたらすぐ食べるよ」
    「了解した。きみたちの分は取り分けておくね」
    「ありがとう」

    上手く誤魔化せただろうか。
    豊前が眠いというのは、嘘だ。僕も豊前も戦闘の興奮がまだ体に燻っていて、興奮している。周りに悟られないよう平静を装っているが、それにも限界がある。なんとか部屋に辿り着くなり、豊前は噛み付くようなキスをしてきた。熱い、溶けそうだ。
    唇が合わさっただけなのに、全身が沸騰したように熱くなっている。お互いのジャケットは畳の上に放り投げた。後で畳まないと皺になるなあ、なんてことを考える余裕はこの時まで。豊前はキスを続けながら、僕の胸を弄る。つねったり摘まんだり。裾から入り込んだ長い手が伸びてきて、胸や腹をまさぐる。うそれだけで思考は停まりそうなのに、豊前はキスを止めない。何度も何度も舌を絡め取られて、豊前の唾液が僕のと混ざる。
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