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    ume_nokoko

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    ume_nokoko

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    ぶぜまつ。
    甘え下手な豊前と無自覚で正解を引く松井。

    #ぶぜまつ
    japaneseClethra

    何度でもほしくなる【何度でもほしくなる】

    非番の日。いつもなら暇を持て余すということはない…のだが、俺こと豊前江はその日、珍しく何もせずに自室の畳に寝転がり、天井の木目を眺めていた。
    しかしただ眺めているだけではない。眺めてはいるが、頭はあることでいっぱいいっぱいなのである。

    「はあ…」

    単純だが、しかし深刻な問題だ。正直に言うと、今すぐにでもこのもやもやを吹っ飛ばしたい。
    だがこれは難しい問題…いや、難しくはないのだが、今の俺にとっては難しい。
    おい、心の中の桑名よ。「なんなん!?」と言うのはやめてもらおうか。俺にだって悩むときはあるんだ。顕現してから悩みという悩みを持ったことはなかったのだが。

    しかし、どうしても良案が思いつかない。
    そして悩みを持つきっかけになった出来事を思い出す。

    昨日、戦で怪我なく俺が誉をたくさん取ったときのこと。
    同じ部隊に松井江という刀がいた。松井は同じく江の刀なのだが、長くなりそうなのでそこは割愛する。
    んで、無事に戦闘を終えて帰ろうとしたその時。
    ふいに頭に松井の手が乗せられ、壊れものを扱うようにゆっくりと撫でられた。
    いきなりのことに固まる俺。そんな俺をよそに、松井はぎこちない手つきと共に優しい笑顔と褒め言葉で俺を労ってくれた。
    頭から伝わる松井の少し低めの体温はとても気持ちがよく、とても良かった。

    そう、とても良かったのだ。

    なので俺は、もう一度松井に褒められて頭を撫でられたい。

    おい、だから心の中の桑名よ。「なんなんそれ!?」と叫ばないでくれ。
    褒めて撫でることはよくしていたけれど、褒められて撫でられたのは顕現してからの刃生、初めてだったのだ。しかもこんなに良いものだとは知らなかったし…。
    加えて松井はさ、「豊前がいつもやってくれるから」とか言って、自分からやったくせに照れて可愛くて…。
    誉桜と誤魔化したが、あの時の俺はいつも以上に桜が溢れ出て止まらなかった。
    そんなこんなでまたあの経験をしたいのだが、いかんせんどうすればいいのか検討もつかない。
    自身が短刀や篭手切のように愛らしい姿だったなら、こんな悩むことはなかっただろう。しかし成人した見た目の男士が、いきなり頭を撫でてくれと甘えにいくのはどうだろうか?
    想像してみる。…うん、無理だ!

    いい加減悩むことにも疲れてきたなと思っていたところに、誰かが俺の部屋の前で立ち止まった。

    「豊前、いる?」

    なんということだ。悩みの種である本人がやってきた。いきなりのことで驚いて、上擦った返事になってしまったが、気にせずに松井は俺の部屋に入ってくる。

    「ごめん。昼寝をしていたかな?」
    「いや、ちょっと考え事してただけだ」
    「考え事?何かあったのかい?」

    心配してくれる松井には悪いのだが、さすがにこれは言えない。

    「でーじょーぶ。それよりどうした?」
    「ああ、うん。実はこないだ出してもらった報告書なんだけど…」

    そう言って、松井は手に持っていた紙切れを見せてきた。本来なら書類のほうを気にしなければならないのだが、俺はつい松井の手のほうを見てしまう。松井の手は綺麗だなあとか、この手に撫でられたんだよなあとか思っていると、聞いているのかと松井に嗜められた。
    すまん、と謝りながらもやはり気になるのは書類より松井だ。でもこれ以上、迷惑をかけるわけにもいかない。
    集中できるように心に双璧の二振りを召喚して、監視してもらうことにした。…やめろ、稲さん睨むな。冨さんは笑うな。
    松井が真面目に仕事してるんだ。俺だってきちんと返したい。
    しかし松井は書く字も綺麗なもんで、綺麗な刀は字にも表れるのだなと俺は学んだ。

    「よし、ありがとう。後はこれを提出するだけだ」
    「手間かけさせちまって悪いな」
    「ううん。これも仕事だから」
    「ははっ、あまり無茶すんなよ」
    「豊前もね。もし悩みがあるなら聞くから」

    悩みか…いっそ言ってしまいたい気持ちが沸々と込み上げてくるのだが、どうだろうか?松井は優しいので受け入れて撫でてくれるのはわかっているが、やはり恥ずかしさが勝る。
    しかし松井の好意を無碍にはしたくはない。
    俺の心の中の五月雨よ。「いっそ犬になりますか?」なんて聞くな。村雲が隣で腹を痛めてるぞ。…というか今日の俺の心の中、すっごい騒がしいな?

    「…僕に言えないことなら、無理して聞かないよ。悩ませてごめんね」

    云々と考えていたら、松井が席を立とうとしていた。すまん、待ってくれ。違うんだ。
    俺は松井の手を掴んで、出て行くことを拒んだ。…拒んだはいいけれど、ここからどうすればいいか。俺、直感で生きすぎだろう。ほら、松井もとても困っているぞ。

    「豊前?」

    ええい、考えるなんて本来苦手なことなんだ。
    ここは腹を括るしかない。

    「松井、ここに座ってくれ」

    立たせたり座らせたりと、忙しなくさせて本当にすまない。しかも何やら真剣な様子の俺に対し、松井も真面目に向き合ってくれて、正座までしてくれている。…今度、なんか赤いもんを奢ってやるからな。

    「松井」
    「な、なに?」

    さあ、言え!俺!

    「松井、頭を…」
    「頭を?」







    「撫でさせてくれ」

    俺の心の中の篭手切が「惜しい!惜しいですりぃだぁ!」と励ましてくれた。優しいな篭手切は。そして俺はなんて情けないんだ。今すぐ土に還ってしまおうか。それは松井の決まり文句だ。自分でした発言なのに、大いに混乱している。

    「別にいいけど、かしこまって頼まれるとなんだか恥ずかしいね」

    そして訳も聞かずに全肯定で頭を差し出してくれる松井も優しい。これは全力で撫でてあげなければ駄目だろう。
    当初の目的は一先ず頭の隅に置いておいて、俺は遠慮なく松井の頭に触れた。
    松井の髪は綺麗で細くて触ると気持ちがいい。
    撫でられるのも気持ちがよかったが、撫でるのも気持ちがいいということも思い出した。今度は両手で撫でくりまわす。

    「松井はいつも頑張ってるからな」
    「ふふ、嬉しくて鼻血が出そうだ」

    俺の手で髪を乱されながらも、柔らかく微笑む松井。ついつい可愛くて、気づいたら松井の髪をえらいことにしてしまったが、それがどうしたと言わんばかりに松井は幸せそうにしていて、俺もなんだか嬉しくなってきた。

    「少しは気晴らしになった?」
    「そんなつもりはなかったけど、松井のおかげで清々したわ」
    「そうか。良かった」
    「ん、あんがとな」

    今度は乱した髪を手で丁寧に撫でつければ元通りの松井になったはずだ。

    「僕もこの後は仕事が捗りそうだよ。役得というのかな?」
    「別に撫でるくらいならいくらでもしてやるけどな?」
    「それは甘やかしすぎだ。僕が駄目になってしまう」

    じゃあそろそろ行くねと、松井は立ち上がる。心の中で名残惜しそうにする自分を押さえつけて、俺は笑顔で松井を見送ろうとした。

    ぽん。

    頭に少しヒヤリとした何かが乗った。
    いや、何かではない。松井の手だ。望んでいた松井の手が、望んでいた場所に置かれ、ゆっくりと望んでいたように動く。

    「お返し」

    その一言とはにかむ笑顔の破壊力よ。
    俺は再びの急な出来事に、また固まってしまった。その間に松井は部屋を去ってしまったようで、気づいたら俺だけが一人、部屋に取り残されていた。

    「あぁ~~~……」

    部屋に桜の花びらが溢れ、畳を桃色に染めていく。俺から出ているそれは、しばらく止められそうにない。

    「また…撫でたら撫でてくれっかな」

    松井よ、甘やかされて駄目になる刀候補ならここにもいるぞ。本刃は知らぬだろうが。
    どんどんと溢れてくる花びらと下心。
    とりあえず、頃合いを見ておやつを共にしようと誘ってみるか?それとも夜の晩酌か?
    俺は心の中の松井に、どちらを誘うべきか相談をしてみた。
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    hydroxidestar

    DONE戦闘の余韻抜けなくてキスしちゃう

    松井の腰が抜ける

    ぶ「キスだけでいかせてやんよ」

    事に及ぶ

    「指舐めて」と松井の口へ近づける。

    これで書けばよくない?と思い、書きました!!
    身も恋も溶かすのはきみヒトリ「やあ、松井江。出陣お疲れ様」
    「蜂須賀虎徹、ただいま。今日は君が昼当番なんだね」
    「ああ。すぐに食べるかい?」
    「そうしたいのだけど豊前が帰還途中から眠そうでね……。寝かせてきたらすぐ食べるよ」
    「了解した。きみたちの分は取り分けておくね」
    「ありがとう」

    上手く誤魔化せただろうか。
    豊前が眠いというのは、嘘だ。僕も豊前も戦闘の興奮がまだ体に燻っていて、興奮している。周りに悟られないよう平静を装っているが、それにも限界がある。なんとか部屋に辿り着くなり、豊前は噛み付くようなキスをしてきた。熱い、溶けそうだ。
    唇が合わさっただけなのに、全身が沸騰したように熱くなっている。お互いのジャケットは畳の上に放り投げた。後で畳まないと皺になるなあ、なんてことを考える余裕はこの時まで。豊前はキスを続けながら、僕の胸を弄る。つねったり摘まんだり。裾から入り込んだ長い手が伸びてきて、胸や腹をまさぐる。うそれだけで思考は停まりそうなのに、豊前はキスを止めない。何度も何度も舌を絡め取られて、豊前の唾液が僕のと混ざる。
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