Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    r__iy1105

    田中新兵衛に心を狂わされた
    禪院直哉は可愛いと思う

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 179

    r__iy1105

    ☆quiet follow

    31日間で宿虎になる 二日目
    宿儺の領域外に居る時は比較的穏やかな二人
    そんな二人を見ている伏黒

    たまに見るその光景は、見慣れてはいけないモノだと思う。
    それでも、あの二人の邪魔してはいけないと俺は分かっていた。
    俺を気に入っていると豪語していた奴が、俺が私情で救ったあいつに向けている視線が他と異なるからだ。
    それに俺は、あいつを見る奴の目の意味を嫌でも知っている。
    意味の籠った視線を向けられている事を、あいつは知らないだろう。

    【二日目:伏黒視点】

    腹が減ったのもあって、食堂に向かうと調理場に虎杖が立っていた。
    誰かと話している声もするから、先輩でも居るのかと思ったが人影は一人分しかなかった。
    誰も居ないのに何を話してるんだと思ったが、虎杖は一人であって一人ではなかった事を思い出す。
    「だーかーらー、蘇ってやつと似た食べ物だって言ってるだろ!」
    「俺は蘇を食いたいと言った筈だぞ、小僧!」
    近くに来れば、何を話してるのかが聞こえてきて呆れそうになった。
    仮にも特級呪物である両面宿儺と、食い物の事で言い争いになっているのだ。
    声を掛けるか迷っていると、冷蔵庫へと向かった虎杖とばっちりと目が合う。
    「あ、伏黒!丁度良かった、一緒にこれ食べない?」
    虎杖が手に持っているのは、見慣れたパッケージの牛乳で作るおやつが目に入った。
    「今から作るのか?」
    「そうそう。いろんな味買ったから、一緒に食おうよ」
    俺はまだ食べるとは言ってないが、虎杖の中では食べる事に決まったらしい。
    冷蔵庫を開けて、それを作るのに必要な牛乳を出しながら虎杖は話続けていた。
    「一回、宿儺が蘇ってやつ食いたいって言うから作ったんだけどさ」
    「そってなんだ?」
    蘇について知らない俺に、虎杖は牛乳を片手に器用に腕で冷蔵庫の扉を閉めて説明を始める。
    「あ、伏黒も知らないよな!蘇って言う、牛乳に砂糖入れてひたすら煮詰める昔のお菓子なんだって。一昨日、任務も無いから暇してたら宿儺に作れって言われて作ったんだけど、労力の割には言うほど美味しくなかったからさ。それに作った後に気付いたけど、絶対これだの先祖だと思うけど伏黒はどう思う?」
    話だけ聞けば確かに、目にするシーエムでお馴染みのレシピと似ていた。
    異なるとすれば、手軽さと保証された味付けだろう。
    「似てると思う」
    「ほらー!伏黒も言うだろ。伏黒は、どの味にする?」
    虎杖はレシピを確認しながら、ずらりと並べた色とりどりの箱を指差す。
    どれにするかと箱を見ると、視線を感じて顔を上げる。
    笑うわけでもなく、ただじっと俺を見る宿儺にそう言う事かと察して選ぶのをやめた。
    「腹減ってるから、コンビニ行ってくる。デザートにするから、適当に残しとけ」
    これは俺が選ぶものではないし、この場に俺が居るのもおかしい事なのだ。
    俺が居れば、自然と虎杖の意識は俺へと向かう。
    そして、宿儺も同じ様に俺へと意識が向かってしまう。
    食堂を出て、遠くから聞こえる二人のやり取りにぽつりと呟く。
    「正しく呪いだな……」
    恋も愛も全ては、呪いである。
    その呪いに気付かない虎杖に、逃げろとも言えない事に歯痒さを覚えた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works