○月某日
商業施設に買い出しに行ったら、長年探していた悠仁を見付けた。
最初は見間違えかと思ったが、隣を通り過ぎた瞬間に確信したのだ。
この子供は、俺の弟である悠仁だと。
だから俺は何処か不安そうに歩いている悠仁に、すかさず声を掛けて呼び止めた。
「悠仁」
「誰?何で俺の名前、知ってるの?」
誰と言われた瞬間、この悠仁には記憶がないのだと悟った。
前回の時は俺は呪いで、悠仁は人間だった。
あの時の様に出会い方が誤っていた時に比べれば、記憶がないだけの悠仁なら少しずつ俺の事を思い出してくれればいい。
「さっき迷子センターで、お前の両親らしき人物がそう言っていた。だから、迷子センターに一緒に行こう」
「そうなの?ありがとう」
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