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    r__iy1105

    田中新兵衛に心を狂わされた
    禪院直哉は可愛いと思う

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    r__iy1105

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    軍パロ武新
    人格のあるモブキャラが出てくるよ。

    散り逝く4先生と一夜を過ごした後、遊郭遊びについて調べる事にした。
    調べるとは言っても、遊郭に通っている部下に聞く位しか出来ない。
    部下と言ってもその中で、信頼の置ける者だけだ。
    下手な部下に聞けば、直ぐ様良からぬ噂を流されるのが目に見えている。
    「はっ!田中少尉、御呼びでしょうか!」
    一番信用が置け、尚且つ武市先生を同じ様に慕っている一人の部下を呼び出した。
    「お前は遊郭に良く通っているらしいが、遊郭遊びについては詳しいのか?」
    前置きをするよりも、単刀直入に用件を言えば相手も堅くならないだろうと思い率直に聞いてみる事にした。
    すると部下の表情がみるみる青褪め、震えた声で問い掛けられた。
    「もしかして、妻から連絡でも来ました?」
    「いや、奥方からは特に。ただ程々にした方がいいぞ」
    「あ、はい。申し訳御座いません。それで、少尉がお聞きしたい事とは?」
    話が逸れたが、部下が元に戻した事で漸く本題の続きが出来る。
    昨日遊郭に言った事を伝えると、部下は頷いて続きを促した。
    「遊郭に行って袖にされましたか?それとも、会えましたか?」
    部下が言うには、遊郭で金を払ったとしても相手が嫌がれば会う事すら出来ないらしい。
    会えた事を伝えると、部下は二回目の話をしてくれたが今度は俺の方が青褪めてしまった。
    先生に袖にされなかったが、一回目で床を共にしてしまったのだ。
    遊郭の決まりを知らなかったとは言え、今は見世で売られている先生に何かお咎めがないか心配になってしまった。
    「もし、決まりを破ったら」
    「花魁相手でなければ大丈夫だと思いますよ?下位の遊女なら手順も違いますし。もしかして、少尉。初っ端から床を共にされたとか?」
    部下の言葉に動揺を隠せずに居ると、部下はにやにやと笑いながら俺を見ていた。
    「な、なんだ」
    「そりゃ、少尉のその制服で行けば引く手あまたでしょうね。遊郭に入ると十年は出れませんから」
    「十年も!?」
    遊郭遊びも知らなければ、遊女の事もしらない。
    部下から聞けば聞く程、早く先生を身請けしなければと焦りが生まれる。
    十年も見世に置かれてしまえば、先生が軍に戻る道が完全に絶たれてしまう。
    早く何とかせねばと思っていると、部下から名前を呼ばれてハッとした。
    「田中少尉」
    「すまない。続けてくれ」
    「驚いたと思いますが、十年待たずとも見世から出れる方法があります。それが身請けです。モノによりますが、かなりの額が掛かるので少尉だとしても」
    「……戦死した際に支払われる金で賄えないか」
    「少尉。滅多な事を言わないで下さいよ。上官に厳しい事を言うべきではありませんが、貴方はもう下士官ではない。士官となった今、身の振り方を考えねばなりません。只でなくても、特例中の特例で少尉に成られたお方です。武市大尉の反対派に、娶った相手が遊郭の女だと知られればお立場が悪くなります。武市大尉の軍への復帰の道も絶たれます」
    「しかしっ」
    「今はどうか耐えて下さい。俺も尽力致します」
    部下が言っている事は正しい事ではあるが、それを飲み込める程の技量が俺にはない。
    項垂れる様に、机に頬杖をついて書類に視線を向ける。
    何か先生のお力添えになれればと、書類を片っ端から読み漁ってみたがこれと言って情報は何もなかった。
    人斬りの時の様に、目標の後を付ける事も今となっては無理だった。
    それ程までに、士官の仕事は机仕事が多いのだ。
    日々の訓練もあるが、曹長の時に比べると全くと言っていい程時間がない。
    「田中少尉。貴方が動かなくとも、俺を動かして下さい。もう貴方は、命令を下す立場です」
    部下は、項垂れている俺にそう言ったのだ。
    考えてみれば、今の俺の立場は部下に指示を出す地位に居る。
    曹長の時もそうではあったが、少尉である場合は上と言う上が少ない。
    いや、曹長の時は先生からの指示を仰いでいたのだ。
    今は自分で部下を動かす、それをしなければ全てが回らない。
    俺からの命令を待っている部下に、一つ命令を下した。
    「軍内部、特に兵卒辺りの情報を集めてくれ」
    何よりも今は、先生を助けるための道筋には情報が必要だった。
    部下は敬礼をしてから、部屋をあとにして行った。
    緊張が解けたのか、どっと疲れが体を襲う。
    連続で行くのはどうなのかと思いつつも、俺はまた先生の居る遊郭へと向かう事にしたのだ。

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