ボクの信仰する神 宇宙 愛ボクの信仰する神 宇宙 愛
信仰の対象を喪うと人間はこうなるのかと、イヴァンはティルを観察していた。
ROUND5終了から今日この日のROUND6のステージに立つまで、いや、ステージ上でもイヴァンはティルだけを見ていた。
ボクの信仰が喪われるのを恐れた。
神は既に居ない 宇宙は人間を捨てた そして愛は?
愛を ティルを喪なった自分がどうなってしまうのか。
想像したくなかった、ティルのような自棄になるのか、ミジのような抜け殻になるのか。それは完璧なペット人間であるボクでは亡くなってしまう。人気ランキング1位のIVANというアイドルを演じ続けることができるだろうかと自問する。
イヴァンはマイクを握り囁くように歌う。歌声に世界を宇宙を恋に落とす色香を乗せる。セゲインが喜ぶように整えた衣服、雨天のステージで映えるよう前髪を上げて雨のしずくがひとつふたつ流れるようにセットしたヘアスタイル。外見を整えればアイドル足りえるわけではない、宇宙はペット人間の魂の鳴き声を求めている。
1038