幽霊の相棒とひとりぼっちだった青年のおはなし「おやすみ、KK」
微かに暁人の声が聞こえて、KKは眠りについた。
――すべて、終わったんだ。
般若の男に命を奪われ身体を失った時、KKは酷く狼狽した。『このままだと消える…!何もかも、終わりになっちまう……ッ!』誰でもいい、身体を乗っ取れそうな人間を探すも……生きている人間には入り込めるはずがなく、弾かれてしまう。まずい、まずい…ッと辺りを見渡すと……幸か不幸か、事故で瀕死の状態になった青年がそこに倒れていた。
それが普通の大学生――伊月暁人と、亡霊の男――KKとの最悪な出会いだった。
「嘘みたいだよなぁ……あんな出会い方した奴が、まさか相棒とまで思える仲にまでなるなんてよ」
賽の河原をゆっくり歩きながら、KKは一人呟く。ポケットから煙草を取り出し、ライターで火をつける。随分と久しぶりに吸ったような感覚だった。
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