新刊進捗 コーヒーの染みがしっかりと付いたシャツを脱ぎ捨てると、夏油は不貞腐れつつものこのこ付いてきたバカな親友の姿を振り返る。
「ほら、そんなところに立ってないで入っておいでよ」
いつも入り浸っている部屋と何ら変わらないと言うのに、落ち着かない様子で視線を右往左往させるその様子は明らかにこれからされることを意識しているのだろう。お邪魔しまーすなんて、普段なら絶対言わないことを口にしながら後ろ手にドアを締めるその姿にまた笑ってしまう。
緊張と期待を混ぜた青い瞳が窓から差し込む光を反射して輝く。それは以前テレビで見た沖縄のエメラルドグリーンを彷彿とさせる海の色を思わせて、純粋に綺麗だと感じた。
お互い朝食を食べたばかりで、昼から任務も入っている。昨日とは異なり、レースカーテン越しに部屋の中には朝日が満ちている。
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