湿っぽいやつカイ…お前に会うのが、怖かったんだ──
秋の里に、俺は台風を呼んだ。
里民たちが大切に育ててきた田畑も家も、風と水に流された。
秋の神として深刻な水不足を解消するため……とはいえ、俺は“壊す”という選択をしてしまった。
そして、奪ったんだ。
大切なものを──
ずっと大切にしてきた──その民たちの信頼を。
俺は、信じてくれていたはずの人たちから、見限られた。
自分で選んだ結果だ。
だから責任は受け入れる。後悔もした。
けれど、他に手立てはなかった。
俺には、他のやり方が思いつかなかったんだ。
……悩んでいたとき、カイはずっと俺のそばにいてくれた。
あいつなら、きっと力になってくれただろう。
……でも、俺は相談しなかった。……いや、できなかった。
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