Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    yu_kalino

    字書き(設定)気の向いたときに気の向いたものを書きます。ハピエンが好き。

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 5

    yu_kalino

    ☆quiet follow

    2021-02-27 五七版ドロライ お題「喧嘩」

    #五七
    Gonana
    #五七版ドロライ
    #五七版喧嘩

    パンッ、と小気味の良い音が余韻を残すような静寂。
     それとは裏腹に張り詰めた緊張感が二人の間にあった。

     七海がよく口にする「引っ叩きますよ」はあくまでポーズのつもりであった。
     五条にとって威嚇にも牽制にもならないそれは、謂わば気に食わない、不愉快であると言ったような感情を七海が彼に対して伝える手段でもある。
     恋人相手に手を上げるような野蛮な行為をするつもりはない。しかし、他人の機敏を無視しがちな男相手には、そのくらいの言葉の強さで丁度よいと考えていた。誰よりも強い男は、七海の知る誰よりも面倒くさい性格をしていた。
     
     実際に今の今まで五条は七海に手をあげられたことなど無かった。仕事で少し無理なお願い(無論、七海にならできるという信頼があってのことだ)をしても、ベッドで多少の無茶をしようとも、舌打ちや少し棘のある言葉で五条は許されてきた。
     七海が繰り返すその言葉は、つい加減が効かない己に対するブレーキであるとは理解している。それなのに、ついいつも許してくれるからと調子に乗ってしまったのだ。
    「──ゴメ、」
    「殴ってすみません。頭を冷やしてきます」
     言葉を遮って五条の下から抜け出した七海は、感情の乗らない声で上着だけを持って出ていこうとする。その横顔は何かを思いつめたようにも見えて、五条はとっさに腕を伸ばした。
    「待って」
     触れた七海の体温は温かい。トレーニングを怠らない肉体は代謝のよさを反映しているのだろう。逃さないようにと力を込めれば、諦めたように七海はフゥーーと長く息を吐きだした。諦めたのではなく呆れられたのかもしれない。
    「今のは僕が悪かった。七海に叩かれるようなことをした僕が悪い」
     だから行かないで。とまるで子供が縋るように一層強い力を込めて、手首を握る。
    「アナタ、私の利き手を潰すつもりですか」
     自由な左手に持った上着を床に落とし、七海は五条の手の上から二度手の甲をタップした。力が強いという抗議だろう。けれど、離してしまえば七海がいなくなる。
    「逃げない?」
    「そもそも逃げてません。少し頭を冷やしたかっただけです」
     力を緩めない五条に、こちらのほうがよっぽど教師に向いている態度で、七海はもう一度五条の手の甲を今度は少し強い力で叩いた。
    「離さなくてもいいですけど、力を緩めてください。アナタ馬鹿力なんですから」
    「……ゴメン」
     これでは本当にどっちが教師だかわからない。
     ようやく力を緩めた五条に七海はホッとしたように息をつき、緊張を解いた。本当に握り潰すと思われていたのかもしれない。五条ならそれが可能だからこそ、七海は緊張していたのだろう。
    「本当にゴメンね。七海の意思を無視した」
    「わかれば結構。私もつい手が出ました。それは謝罪します」
     早く冷やさないと腫れますよ。そう言って左手で五条の赤く色づいた頬を軽くつついた。ピリピリとした痛みが今になってやってきて、それに五条は顔をしかめる。反転術式を使うようなことでもないし、七海から与えられたものはすぐに消したくない。
     馬鹿げた思考に思い悩む五条に、ふっと小さな笑い声が届いた。緊張を解いた七海の雰囲気は柔らく、五条は信じてもいない神に感謝したい気持ちを覚えた。


    (原因は、本当にどうでもいい些細なことで、七海も虫の居所が悪かっただけの話)
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏💖💕💞💕💕👍💖💖💖💖💖❤😍😍💕💕💯💯❤❤❤😍
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    yu_kalino

    DONE2021-03-13 五七版ドロライ お題「ホワイトデー」
    ※バレンタインの続き的な感じ
    ホワイトデーは菓子業界の陰謀である。
     そんな馬鹿げたことを言うつもりはないが、今までの七海にとっては非常に面倒くさい日であった。それは五条も同様だろうとは思うが、放埒を絵に描いたような男はそんなことは気にも留めない。彼にはそれを許される力と圧倒的な美しさがあるからだ。
     七海としても五条からの返礼などは求めていない。むしろ、そんなことをされたら気持ち悪いと一蹴するかもしれない。何しろ七海が差し出したものは、砂糖がたっぷりと入ったありあわせのホットチョコレートだけなのだ。それに対して五条からは一本の酒を受け取っている。これ以上何かを受け取るというのは、貰いすぎている。七海の中で釣り合いが取れないのだ。
     むしろ現時点ですでに釣り合いが取れていないので、五条になにか送るべきなのかもしれないとは思っている。思っているのだが、如何せん五条を喜ばせるのは癪に障るのだ。ただでさえ調子づいた性格であるのに、更に図に乗るのは火を見るよりも明らかである。

    (これはついでです。あくまで、ついでの買い物です)
     仕事の帰路に、夕食を買いに来ただけだと言い聞かせ、実際に夕食になりそうなものをグロッサリーで 1253

    yu_kalino

    DONE2021-02-27 五七版ドロライ お題「喧嘩」パンッ、と小気味の良い音が余韻を残すような静寂。
     それとは裏腹に張り詰めた緊張感が二人の間にあった。

     七海がよく口にする「引っ叩きますよ」はあくまでポーズのつもりであった。
     五条にとって威嚇にも牽制にもならないそれは、謂わば気に食わない、不愉快であると言ったような感情を七海が彼に対して伝える手段でもある。
     恋人相手に手を上げるような野蛮な行為をするつもりはない。しかし、他人の機敏を無視しがちな男相手には、そのくらいの言葉の強さで丁度よいと考えていた。誰よりも強い男は、七海の知る誰よりも面倒くさい性格をしていた。
     
     実際に今の今まで五条は七海に手をあげられたことなど無かった。仕事で少し無理なお願い(無論、七海にならできるという信頼があってのことだ)をしても、ベッドで多少の無茶をしようとも、舌打ちや少し棘のある言葉で五条は許されてきた。
     七海が繰り返すその言葉は、つい加減が効かない己に対するブレーキであるとは理解している。それなのに、ついいつも許してくれるからと調子に乗ってしまったのだ。
    「──ゴメ、」
    「殴ってすみません。頭を冷やしてきます」
     言葉を遮って五条の下から抜 1385

    yu_kalino

    DONE2021-02-13 五七版ドロライ お題「バレンタイン」
    ※1時間ではここまでが限界でした。
    ※後日追記します(多分)。
    ※(2021-02-15)追記しました。
    普段、前触れもなくやってくる五条にしては珍しく、事前に約束を取り付けてきた。
    バレンタインだからとアピールして時間だけでなく、七海の部屋に行きたいと主張までしていた。
    一つ年上の恋愛関係にある男ではあるが、学生の頃と変わらない傍若無人さと圧の強さはいつも七海をたじろがせる。
    五条の願いを受け入れるのが嫌だというわけではないが、唯々諾々とわがままを叶え続けるのは調子に乗らせるだけである。そういう思いもあって、時折渋って見せ、仕方がないという風を装い、結局の所は己の男のわがままを受け入れるのだ。

    しかしながら呪術師などという仕事をしていると、突発的な案件にスケジュールが変更になることなどはよくあることだ。
    特に五条のような上層部と対立をしていても実力だけは確かな男は、あれこれ言われながらも重宝される存在なのだろう。約束を承諾した七海としては(反故になるか時間がずれ込むだろうな)と口には出さないものの、これまでの経験則から予想をしていた。期待をしすぎるのは良くない。と、七海は過去の己からきちんと学習している。

    だが、今日に限っては五条ではく七海のほうが約束に遅れることとなった。
    そもそも 4360

    related works

    recommended works

    _bien_man_

    DONEでえ遅刻だ〜い!五七ワンドロライ参加させていただきます!+1hほどです
    #五七版ドロライ
    #五七版甘えん坊
    僕は七海に甘やかされている自覚と、経験に基づく自信がある。例えば髪を乾かさずにぼんやりしていると文句を言いながらもドライヤーで乾かしてくれる時。例えば突然味噌汁が飲みたくなり駄々を捏ねると面倒くさい、という顔をしつつきちんと出汁から取って作ってくれる時。
    こういう話を周囲にするとあまり七海に迷惑をかけるな、とか惚気なら他所でやれ元担任と知人の恋愛事情知りたくもねえよ、とか散々言われるし当の七海にも死ぬほど嫌な顔をされる。しかし僕は全く意に介さない。なぜなら、この冷たい周囲の反応を跳ね除けて有り余るほど愛おしい七海の別側面を僕だけが知っているからだ。

    「ごじょうさん」
    「あ〜ハイハイハイ七海ぃ、危ないから今は離れて」
    「いやです、いますぐこっちきて膝を貸しなさい。肩でもゆるします、ごじょうさんなので」
    「ほんと酔い回ると女王様だよなオマエ……」

    疲労が溜まりに溜まった週末、七海はしこたまアルコールを摂取する。ビール、日本酒、ワイン、ハイボールその他諸々何でもありのちゃんぽん祭り。いくら酒豪とはいえ摂取量の上限はあるようで、そうなると普段の鉄面皮はものの見事に剥がれ落ちとんでもない 1912

    blackberryO7I5

    CAN’T MAKE五七の馴れ初めはn億通り書きたい

    これは書きかけてかなりの期間経つけど難航している馴れ初めのひとつ
    天啓がひらめかない限り書けない気がする……
    前触れなく意識が浮上した。
     重い目蓋を押しあげたが、視界に入った室内はまだ暗い。サイドテーブルに手を伸ばしスマートフォンで時刻を確認する。明け方ではあったが起きるには早すぎる時間。

     全身に残る倦怠感に、もう一度寝なおそうと眼を閉じたが一向に眠気が訪れない。ひとつ小さく舌打ちをすると七海建人は身を起こし、リモコンのスイッチを押して明かりをつけた。

    「……んん~、……ななみ……?」

     突然明るくなった部屋に、隣で眠っていた男がむずかるような声をあげて薄く眼を開く。

    「どうしたの……今日やすみだろ」

     眩しそうに、ほとんど開いていない眼が七海を見あげた。いい加減に見慣れたはずの、人間離れした鉱石のような眼。

    「ああ、すみません。アナタがいたことを忘れていました」

     七海のその言葉にわかりやすくむっとした表情を浮かべて五条悟は、まだ眩しいのだろう、眼を眇めつつ起き上がった。

    「ちょっとなにそれ、ひどくない?」

     起き抜けの気怠さが混じる声で批難して、五条は七海のほうへ腕を伸ばした。まだ眠りの淵にいるような声に反して思いがけないほど強い力で抱き寄せられる。そのままベッドに押 1445

    ceasarchan_jc

    DONE7/24じゃがバター会場で無配したお話です。

    大病院跡継ぎの御曹司外科医五さん×製薬会社MRの七
    製薬会社のMRは、枕営業あるし、それが有名な製薬会社もあるし、就活中にその情報は入るよ。MRの営業はえぐいよと、仕事絡みで聞いて五七で妄想せずにはいられず勢いで書いた代物です。
    またも枕営業ですが、本にした「七海が枕営業する話」とはまったく別のお話となります。
    「転ばぬ先の」MRとは医療関係者へ営業をする、製薬会社などの者だ。
     大学は、国立の薬学部に入学した。薬剤師の国家資格も無事に取得し、さて卒業後はどうしようか。
     薬剤師の資格を取得しているのだから、薬剤師として働くのも良い。だが、薬剤師は今の時代には、あまり先行きが明るくいとは言えない。医療業界もAI化が進み、いずれ薬剤師は不要になるだろうと、そう言われてもいる。今ですら、働き口にあぶれている薬剤師は多い。
     なるべく早くに稼げるだけ稼いで、出来れば三十代で引退し、物価の安い国で悠々自適に暮らしたい。それならやはり、薬剤師より営業だ。MRだろう。
     外資系の製薬会社のMRなら、成績トップを取れば特別ボーナスが海外旅行という話も聞く。MRの営業はお金も掛かるが、リターンも大きい。上手くすれば、念願の早期リタイアも早々に叶うだろう。
    5843