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    imori_JB

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    imori_JB

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    仲良いしいな先輩と花ちゃんに夢見てる。あの二人同い年だし同期だったりしないかな。
    特四女子から見た村雨とにょたしし。にょたししが途中から、村雨は最後にちょろっとでる。ディスってるのは仕様です。

    #JB腐
    #さめしし
    #女体化
    feminization

    シークレット・ラヴァーズ②「そうそう、聞いてよ花ちゃん~」
     カラス銀行本店の最寄り駅前にある百貨店。
     セール初日の土曜日がオフに当たり、意気揚々とやって来たカラス銀行特別業務部四課宇佐美班の女王様こと羽柴しいなは連れと共に心行くまでショッピングを楽しみ、そして今小休止の為に百貨店内のカフェに来ていた。あくまで小休止だ、この後まだまだ見たいものはある。
     次に回るフロアとルートについて頭の中で算段しつつ、冷たいアイスカフェオレを一気に半分吸い込んでから今日の連れに話を向けた。アイスティーの氷をストローで突いていた連れは顔を上げる。
    「何だよしいな」
     同じく特別業務部四課、片伯部班の加賀花火。同い年の為入行時期も近く――当初配属された課は全く異なっていたが――、特四自体女性行員が少ない部署とあって、顔を合わせれば立ち話くらいはする仲だ。互いに男社会といっていい特別業務部四課になどいれば愚痴の一つや二つ、三つや四つ出て来るものなのだ。
     勿論ライバルといっていい他班の班員だ。しいなも加賀も互いにそこのところの線引きはきちんとできている。自班の大事な情報を漏らす事などあり得ない。その辺りの信頼は二人共各々の班長から得ており、何方も他班の行員とショッピングに繰り出す仲である事は隠していない。――単に反対して、じゃあ代わりに荷物持ちをと言われるのが嫌なだけかもしれないが。
    「うちが担当してる獅子神敬。分かるでしょ?」
    「六郎の担当してるギャンブラーだろ。勿論。この間もうちと対戦しただろ」
     ライフ・イズ・オークショニアと銘打たれた、カラス銀行のギャンブルでは珍しいタッグマッチ戦。
     実質、村雨礼二という死神を使って片伯部班所属の中でも厄介者扱いされていた二人のギャンブラーを処刑する為に仕組まれた抹殺戦だ。
     恐らく主任同士で話がついていたものだと思われるが、それでも担当したギャンブラーの敗北とその結末は加賀にとってはほろ苦い。
     その抹殺戦で村雨礼二のパートナーを務めていたのが獅子神敬というギャンブラーだ。
     カラス銀行の賭場に顔を出すギャンブラーは圧倒的に男性比率が高い。女性ギャンブラーはぽつぽつと現れてはすぐ消えていく。彼女達が5スロットより上位に進むのは稀だ。
     そんな中で4リンクに長く君臨し続けていた年若い女性ギャンブラーはそれなりに有名だった。彼女は人目を惹くタイプであった事も関係している。
     先般の抹殺戦は、その獅子神敬にとっては長らく君臨していた4リンクから1/2ライフへのデビュー戦でもあったのだ。
    「ああ、面白かったよね花ちゃん。梅野さんが獅子神敬のジャンケット権買った時……」
     加賀花火が宇佐美班の梅野六郎に想いを寄せている――というのは特四の中では知られた話だ。最早気付いていないのは想いを寄せられている梅野本人ばかり。いや。実のところ気付いているのではという説まである。
     特四の行員としてはあるまじきほど感情が素直に出やすい彼女は、獅子神敬のジャンケット権を梅野六郎が手に入れたと聞いた時分かり易く取り乱したのだ。
    「そ、その話はもういいだろっ!?」
     真実獅子神と梅野は単なるギャンブラーと担当行員という間柄でしかない。梅野はギャンブラーのプライベートに積極的に関わるタイプでは無かったし、獅子神の方もどうとも思っていない事は火を見るより明らかだ。
     そう、その獅子神敬である。
     しいなは内緒話のように声を低くした
    「獅子神敬、彼氏いるんだって」
    「……へえ、まぁいても全然不思議じゃないっていうかいない方が不思議な感じじゃねえか? それ」
     加賀の受けた印象では獅子神はとにかく派手な美女だ。どうみても純粋な日本人では無い。多くの人間は、好みかどうかはさておき間違いなく彼女を美女と称すだろう。
    「相手誰だと思う?」
    「……アタシの知ってる奴か? まさか行員?」
     否、としいなは首を振る。
    「っつーとギャンブラーか? あーあの、真経津晨?」
     最近何かと話題の宇佐美班所属の若いギャンブラーの名を挙げてもしいなは首を横に振る。
    「えー……誰だよ、焦らすなって」
    「村雨礼二」
    「は?」
    「獅子神敬の彼氏、村雨礼二」
    「……はぁぁぁぁぁぁ!?」
     思わず大きな声を上げた加賀に周囲から視線が飛んでくる。
     気付いて直ぐに口元を覆い声量を下げた加賀はしいなを問い詰めた。
    「は? マジで言ってんのかそれ、冗談じゃなくて!? あの死神が女とデキてるとか本当!?」
    「そうなるよねー…うちもそうなったわ」
     ひぇ、とへぇ、の間のような声を上げた加賀はレザーのソファに身体を埋めて天井を仰ぐ。
    「女……っていうか生きてる人間に興味があったんだ……」
     村雨礼二は良くも悪くも――いや圧倒的に悪い意味で有名人だ。
     一度はワンヘッドに所属した実力者。殆どのゲームで一度たりともペナルティを受けず無傷で勝利する安定性。余りに有名になりすぎて1/2ライフでは中々ラダー戦を受けて貰えない……というのは担当する渋谷の愚痴である。
     更に質が悪いのは底値の「商品」を買い上げて自宅で腹を裂いて喜ぶという謎の趣味。完全に理解不能の変質者扱いである。手術狂、内臓愛好家、いや死姦趣味でもあるのではなどなど、色々と否定しがたい風説が多数流れていた。
     その村雨礼二に女。しかも分かり易く男好きするタイプ。
    「……いやー、意外過ぎて意味分からなくなってきた……」
     だよねだよね、その反応が欲しかった、と大きく頷いたしいなは目を丸して加賀を――いや、加賀の横を見つめた。
     その視線に気付いた加賀はしいなの視線を追って振り向き、そして目を見張った。
     同時に周囲の、小声での密やかな会話が聞こえてくる。
    「わー、凄く綺麗……」
    「モデルさん? 海外の女優さん?」
    「ハリウッドの人?」
     周囲の声には羨望と僅かな嫉妬が入り混じっていた。
     まぁ分かる。どう考えても日本人離れしている彼女は女優やモデルでも十分通用するだろう。
    「獅子神敬……」
     つい今しがたまで話題にしていたギャンブラーが店に入って来たのだ。
     普段賭場で目にする露出度が高いフォーマルなドレスとは趣を変え、今日の彼女はVネックの淡いベージュカラーのロングニットワンピースにホワイトのスプリングコート。清楚というには少々身体のラインを拾いすぎだが、それでも印象は大分変わる。
     八割がた埋まっている店内をぐるりと見まわした彼女の青い目は、しいなと加賀を見つけて丸く見開かれた。二人は素早く視線を交わし意志疎通を交わす。
     お誂え向きにしいな達の席の隣は数分前に空いたばかり。
     しいなは入口で今だ目を丸くしたままの獅子神に向かって勢い良く手を振り、隣に座れと手で示す。
     少し躊躇うような間のあと、獅子神は真っ直ぐしいな達の許へ向かって来たのだった。
     
     *
     
    「アイスコーヒー一つ、ブラックでお願いします」
    「……」
    「……」
     オーダーを取りに来た店員に注文を伝える獅子神敬を、しいなと加賀はじっと見る。
     しいなにとっては自班所属のギャンブラーであるし、加賀はつい先日彼女と交戦したばかりだ。
     しかしこれほど近くでまじまじと彼女を見る機会は、今まで一度も無かった。
     明らかに異国の血を色濃く継いでいる容姿。ギャンブラーとして会場に姿を現すときは舞台映えも考えているのだろう、かなり化粧が強いが今日は薄い……というかほぼスッピンのようだ。
     殆どスッピンでこれ!? としいなは内心で叫ぶ。
     アイスコーヒーが満たされたグラスを見ているだけでやたらと絵になる。睫毛は目立たない筈の金色であるというのにマスカラを塗らずとも目元に影が出来る程濃いし、肌は白く肌理が整っている。獅子神は同性の十分の九を敵に回した。
    「……何だよ、何かついてるか?」
     余りにもじろじろと見られて獅子神は居心地悪そうに頬を掻く。来いと言われたから来ては見たものの、あの銀行の行員と完全オフのプライベートな時間に行き会うとは思っていなかったのだ。
     それも存在こそ知っているが余り関わった事が無い女性行員二人。さて困った、と内心困り果てる。
    「ねぇ」
    「おい」
     しいなと加賀の声が重なり二人は顔を見合わせた。
     聞きたいことは同じ、口火はどちらが切っても同じこと。
     代表してしいな尋ねる。
    「獅子神さん、ちょーっと聞きたいことがあるんだけど~……」
    「?」
    「村雨……さんと付き合ってるって本当?」
    「あ? なんで……あぁ、御手洗か」
     なんでそんなことを行員が知っている、と一瞬疑問を浮かべた獅子神はすぐに思い至って納得した。
     普段色々とつるむギャンブラー仲間の一人、真経津の担当行員である御手洗はやたらと真経津と距離が近い。真経津の自宅だけならまだしも、真経津にくっ付いて獅子神の家に来ることもある。別に構わないが。
     まぁそれだけ近くに居れば、教えずとも気付かれる事位ある訳だ。別に伏せてはいないので獅子神はあっさり頷いて認める。
     そういえばつい二日ほど前村雨を訪ねて来た御手洗が村雨の前で土下座し何やら菓子の箱を献上しているという謎の場面に遭遇したが――場所は獅子神の家である――、あれはきっとこの件に関してなのだろう。因みに御手洗が持参した菓子は獅子神以外のギャンブラー達の腹にすっかり収まっている。
    「そうだけど?」
    「っかー!! オマエ男の趣味悪すぎねぇか!?」
    「えぇ…」
     いきなり頭を掻きむしって吠えた加賀に獅子神は少し引いた顔をした。
     そんな獅子神にビシッと指を突き付けて彼女は言い募る。
    「村雨礼二なんて特別業務部なら誰でも知ってるヤベー異常者じゃねぇか! なんでそんなのと付き合ってんだよアンタ!! 命が惜しくないのか!?」
    「脅されてるとかじゃないんだよね?」
    「んな訳ねぇだろ……」
    「だって脅されてとかじゃないとあのキモ……怖い人と付き合うって意味分かんないし」
     結構な言い草だが一般的な村雨への評価は大体こうだ。特に趣味関連に関しては恋人の獅子神ですら庇うことが難しい。
     ええと、と口籠っている間にも考え直せ、騙されてるんじゃないか、など次々と言葉が飛んでくる。
     彼女達の様子を見るに面白がっている3:興味本位2:本気の心配5くらいか。さてどうしたものか、とマシンガンのような二人を前に獅子神は少し考え込む。
    「アンタならイイ男選べるだろ、何でよりによってあんなの選ぶんだよ趣味が悪ぃな」
    「っていうか何処? 何処を気に入って付き合おうって思った訳??」
    「優しいところ…? とか?」
    「は?」
    「あ?」
     たまたま答えやすい質問が来たから答えて見れば反応は芳しくない。納得しかねる、何言ってんだコイツ。そんな顔だ。
    「オマエ知ってるか? 自分の女に電流バンバン浴びさせるような奴は、世間では優しいって言わねーんだ」
     加賀が沈痛な面持ちで首を横に振り、しいなもその隣でコクコクと高速で首肯を繰り返す。
    「そりゃゲームの中での話だろ。最悪命持ってかれるんだ、あの位は覚悟してる」
     少しばかり嘘だ。覚悟はあのゲームの中で決めた。決める間も傍に居たのは村雨で、荒療治であった事は確かだが獅子神は後悔していない。
    「それにしたってさぁ……」
     尚も言い募ろうとしたしいなから視線を外す。彼女達の背後に気配無く佇む、待ち人の姿を見つけて獅子神はあ、と小さく声を掛けた。
     しいな達のお喋りを止める前に黒い影が蠢いて彼女達に声を掛ける。
    「随分と興味深い話をしているところにすまないが、獅子神を返してもらおうか」
    「えっ」
    「げっ!? あっ、あ、村雨礼二っ……! 何で此処に!?」
    「獅子神と待ち合わせだが」
     あちゃあ、と獅子神は額に手を当てた。これは、三人の会話はかなり前から聞かれていたと思って良さそうだ。
     びくりと肩を揺らした行員二人は忙しなくアイコンタクトを取り合っている。万一梅野や渋谷経由で銀行に苦情が入ると厄介、そんな顔だ。
     獅子神が残ったアイスコーヒーを飲み干し立ち上がる間に村雨は呆れを隠さない声で二人に告げる。
    「私は休日の会話を逐一咎め立てる程狭量では無い」
     バッグを持ち立ち上がった獅子神のテーブルから伝票を手に取った村雨はくるりと背中を向けてレジに向かって歩き始める。その後を追おうとして踏み出した獅子神は足を止め、振り向いた。
    「大丈夫、余計な事は俺もアイツも言わねぇよ。あと、心配してくれてありがとうな」
     じゃあ、と軽く手を振り獅子神は今度こそ村雨の元へと歩いていく。
    「っていうか、デート中なら最初からそう言ってよ……」
     息を止めて彼等が会計を済ませて店を出て行くまでを見守っていたしいなは、息と共に恨み言のように吐き出した。

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    takamura_lmw

    DONE桜流しのさめしし、もしくはししさめ。ハッピーエンドです。ほんとなんです。メリバでもないキラッキラのハピエンなんです。信じてください。

    これがずっと出力できなくてここ一ヶ月他のものをなんも書けてませんでした。桜が散る前に完成して良かったと思うことにします。次はお原稿と、にょたゆりでなれそめを書きたいです。
    桜流し 獅子神敬一が死んだ。
     四月の二日、桜が散り出す頃のことだった。



     村雨にその死を伝えたのは真経津だった。
    「——は?」
    「死んじゃったんだって。試合には勝ったのに。獅子神さんらしいよね」
     真経津は薄く微笑んで言った。「獅子神さん、死んじゃった」と告げたその時も、彼は同じ顔をしていた。
    「……いつだ」
    「今日。ボク、さっきまで銀行にいたんだ。ゲームじゃなかったんだけど、手続きで。そしたら宇佐美さんが来て教えてくれた。仲が良かったからって」
     村雨はどこかぼんやりと真経津の言葉を聞いていた。
    「あれは、……獅子神は家族がいないだろう。遺体はどうするんだ」
    「雑用係の人たちが連れて帰るって聞いたよ」
    「そうか」
    「銀行に預けてる遺言書、あるでしょ。時々更新させられる、お葬式とか相続の話とか書いたやつ。獅子神さん、あれに自分が死んだ後は雑用係の人たちにお葬式とか後片付けとか任せるって書いてたみたい。まあ銀行も、事情が分かってる人がお葬式してくれた方が安心だもんね」
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