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    syako_kmt

    むざこく30本ノック用です。
    成人向けが多いと思うので、20歳未満の方はご遠慮下さい。

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    むざこく30本ノック③
    20日目
    事後のピロートーク

    #むざこく30本ノック
    random30Knocks
    #むざこく
    unscrupulousCountry

    事後のピロートーク ギシギシとベッドのスプリングが軋む音がする。そこに濡れた粘膜を掻き混ぜる音と湿った肌を打ち合わせる音、そして自分のはしたない喘ぎ声。何度こうした行為を重ねても、絶頂を迎えた時には得たことのない幸福感に満たされ、痙攣する下腹を更に揺さぶるように彼が腰を打ち付けると、ぎゅっと抱き締められ、悩ましげな吐息が耳朶に触れる。余韻を味わうように体を密着させたまま息を整え、ゆっくりと体を離すと、使用済みのラテックスの薄膜をゴミ箱に捨てて、広いベッドの上で並んで横になった。
     無惨は「終わった」からと言って、急に煙草を吸ったり、スマホを弄ったり、ひとりで勝手にシャワーを浴びに行くような真似をせず、優しく黒死牟を抱き締めるのだ。
    「シャワー浴びに行くか?」
    「いえ、もう少しこのままで」
    「そうか」
     そんな会話をすると、ポンポンと背中を叩かれ、額に軽くキスをされる。
     自分も「男」なので解る。ストレス発散も含めて、こういう行為をしているのだ。だから、終われば、さっさと解放されたいだろう。だが、無惨は自ら望んで、男が「面倒」だと感じる時間を黒死牟を共に過ごすのだ。
     人に話すような内容ではないので言ったことはないが、黒死牟はこの時間、所謂ピロートークが凄く好きだった。

     少し酒が入ったフワフワした状態で無惨と愛し合い、その行為を反芻するかのように指を絡め合い、眠るまでの僅かなひとときに、言葉を交わしたり、ただ見つめ合ってキスをしたり、取り留めのない時間を過ごす。
     たっぷり愛し合った為か、こうして汗ばんだ肌を密着させていても、性的な興奮を催すことはなかった。上昇した体温が香水の匂いを更に強くするが、その匂いを心地好く感じ、この匂いを知るのは自分だけだと思うと、妙に満たされた気持ちになった。
     火照った肌や欲が自然に鎮まり、互いにやや冷静な状態になっても、こうして触れ合っているのは心地好い。恐らく無惨自身は現実に戻るまでのオフタイムかもしれないが、黒死牟にとっては覚めない夢の続きを見ている気分だった。
     無惨の腕枕で、今日あった身近な出来事や、夕食で行った大衆的なイタリアンのアヒージョが美味しかった話、あまりに美味しくて黒死牟が追加のバゲットを注文して「そんなに食べるのか?」と無惨が若干驚いた話など、ベッドで話すにしては色気のない話題を二人は笑いながら話す。
     絡めた指先を動かしながら、黒死牟は少し恥ずかしそうに言う。
     ぼんやりとした頭が捻り出した言葉は、率直な感想。
     それは仕事も含めた時間も含め、無惨に体の隅々まで愛される行為そのものへの感想である。白い胸元につけられた赤紫のくちづけの痕を指先でなぞると、その上に無惨はそっとキスをする。
     今日だけではない。昨日も一昨日も、その前も、一年前も、きっとこれから先も、無惨と過ごす時間は最高という言葉では足りないくらい満ち足りたものだ。このような粗末な言葉でしか表現できない自分が憎い。
     だが、無惨は唇にそっとキスして、少々はにかんだ笑顔を見せる。
    「恥ずかしいことを言うな」
     そう言って抱き締める無惨の背中に腕を回す。
     人は一生のうちに得られる「幸せ」の総量が決まっていて、得たら得た分だけ総量から目減りしていくのだと思っていた。なので、無惨と出会い、共に生きていくことで、自分は幸せを使い果たしていると、抱き合って過ごす、この時間に話すと、こつんと額を小突かれた。
    「馬鹿馬鹿しい。どれくらいの量が『総量』なのだ。数値で証明できない話をするな」
     と愚か者扱いされた。
    「ましてや幸せなど個々人の主観。人によってはお前の人生や私の人生を不幸だと感じる者もいるぞ。絶対的な『幸せ』の基準など存在しないから、『総量』など存在するものか」
     言われてみればそうだな、と妙に納得してしまう。
     微睡みの中で話すにしては面倒な話題だと思っていたが、それは彼の面倒臭い一面に火を付けてしまったようで、話が一向に止まりそうにない。
     哲学的な話題になると持論を展開するので、そろそろ寝たいのに厄介だなぁ……とさえ思えてくる。
     彼の美しい顔も、甘い香水の匂いも、優しい彼の声も、燃え尽きそうな行為の余韻も、色気のない話題が消し去ってしまう。
     だが、彼の腕の中なので、疲れて寝たふりをして、そのまま眠ってしまおうと思っていると、彼はこう話す。
    「お前の心の中にひとつのバケツがあって、それ一杯分の幸せしか貯めることが出来ないなら、私がそのバケツの底をぶち破ってやる。一生満たされず、貪欲に求め続けろ。お前が求めるなら、そのすべてに私が応えてやろう」
     やだ、かっこいい……と呟いたが、それが夢か現か解らない。
     覚えているのは、無惨の体温と「おやすみ」という優しい声だけだった。
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    syako_kmt

    TRAININGむざこく30本ノック⑤
    25日目
    某映画賞の授賞式で某イケメン俳優がしていたスタイルを、無惨様がなさるお話が読みたいです。それを初めて見た黒死牟の反応も知りたいです。
    フレームレスメガネ、黒タートル、黒系ジャケット、シルバーアクセの、顔とスタイルが良くなければ絶対似合わないあれです。

    普段はスーツでしょうし、無惨様は裸眼だと思うのでどういう状況だろう…とは思いますが、絶対お似合いになると信じてい
    某映画賞の授賞式で某イケメン俳優がしていたスタイルを、無惨様がなさるお話が読みたいです。 黒死牟がテレビの画面を見ながら、思わず感嘆の声を漏らした。一体何事かと思い、ソファに寝そべってタブレットを見ていた無惨は、テレビの画面に視線を移した。
     それは某映画賞の授賞式の中継だが、優秀助演男優賞を受賞した面々がレッドカーペットを歩く姿を、じっくりと見入っているのだ。
    「美しいですねぇ……」
     どの俳優を指しているかは一目瞭然である。そう、黒死牟は超がつくほどの面食いなのだ。国宝級イケメンとの呼び声高い無惨を彼氏に持つ黒死牟が見惚れてしまうほど、その俳優は美しかった。
     黒いハイネックのセーターに黒いスーツ、そして首元に輝くシンプルなパールジュエリー。どこを取っても隙のない美しさだというのに、それより何より美しいのが顔面で、その顔面の魅力を倍増させる眼鏡の破壊力。無惨は少々不貞腐れながらも冷静に分析していた。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    13日目
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう 今日もやっと1日が終わった。
     朝から晩まで、あの鬼上司2人に扱き使われたのだ。
    「おい、零余子!」
    「はい!」
    「零余子!」
    「はいー!!!!」
     多分、この数年で確実に親より名前を呼ばれている。これまで割と要領良く生きてきたので、こんなに怒鳴り散らされることはなかった。
     初めは鬼舞辻事務所に就職が決まり大喜びした。
     今をときめくイケメン政治家、鬼舞辻無惨の下で働けるなんて……その上、彼は独身。もしかして、もしかする、未来のファーストレディになれるようなルートが待っているかもしれない!? と馬鹿な期待をして入職したのだが、それは夢どころか大きな間違いだった。
     毎日怒鳴り散らされ、何を言っても否定され、無惨だけでも心がバキバキに折れそうなのに、これまたイケメンの秘書、黒死牟が更にエグイ。まず行動原理が「無惨様のため」なので、無惨の怒りを買った時点で、どんな言い訳をしても通用しない。こちらに非が無くても、無惨に怒鳴られ、黒死牟にネチネチと嫌味を言われ、最悪のコンボが待っている。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    17日目
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション 何か理由があって髪を伸ばしているわけではない。
     長い髪って手入れが大変ですよね、と言われるが、実はそうでもない。短い髪の時は月に一度は散髪に行かないといけなかったが、長い髪は自分で毛先を揃えるくらいでも何とでもなる。女性と違って髪が傷むだの、枝毛がどうだのと気にしたことがないので、手入れもせず、濡れた髪を自然乾燥させることにも抵抗がない。それに短い髪と違って、括っておけば邪魔にならないので意外と便利だし、括っている方が夏場は涼しいのだ。
     つまり、ずぼらの集大成がこの髪型だった。
     特殊部隊に入った時、長髪であることにネチネチと嫌味を言われたこともある。諜報活動をする時に男性のロングヘアは目立ち易く、相手に特徴を覚えられやすいから不向きだと言われ、尤もだなと思ったが、上官の物言いが気に入らなかったので、小規模な隠密班を編成する際の長に選ばれた時、全員、自分と背格好が近く、長髪のメンバーだけで編成し、危なげもなくミッションを成功させたことがある。だが、自分の長髪にそこまでこだわりがあったわけではなく、単なる反発心だけである。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    15日目
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか
    「ほら見たか!これで恐れるものなぞ何もないわ!」とかつてないほど昂るのか、「案外大したことないわ、つまらんな」と吐き捨てるのか、「太陽の方がやはりお好きで?」「白昼にも月は出ておるわ馬鹿者」みたいな気楽な会話になるのか
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか  それは初恋の憧れに似ていた。
     手の届かない遠い存在という意味か、遠い昔の燦爛とした断片的な記憶のせいか、その強い「憧れ」が根底にあるから黒死牟とは意気投合したのかもしれない。
     自分たちにとって太陽とは最も忌むべき存在であり、その反面、強く憧れ、恋い焦がれた存在であった。
     今でも朝日を見ると、今際の際を思い出し身構える。しかし、その光を浴びても肌が焼け落ちることはなく、朝が来た、と当たり前の出来事だと思い出すのだ。

    「今日も雲ひとつない晴天ですね」
     黒死牟が車のドアを開けると、その隙間から日の光が一気に差し込む。こんな時、黒死牟のサングラスが羨ましいと思うのだが、まさかサングラスをしたまま街頭に立ち、演説をするわけにはいかないので日焼け止めクリームを丹念に塗り込む程度の抵抗しか出来ない。
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