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    syako_kmt

    むざこく30本ノック用です。
    成人向けが多いと思うので、20歳未満の方はご遠慮下さい。

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    むざこく30本ノック③
    17日目
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション

    #むざこく30本ノック
    random30Knocks
    #むざこく
    unscrupulousCountry

    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション 何か理由があって髪を伸ばしているわけではない。
     長い髪って手入れが大変ですよね、と言われるが、実はそうでもない。短い髪の時は月に一度は散髪に行かないといけなかったが、長い髪は自分で毛先を揃えるくらいでも何とでもなる。女性と違って髪が傷むだの、枝毛がどうだのと気にしたことがないので、手入れもせず、濡れた髪を自然乾燥させることにも抵抗がない。それに短い髪と違って、括っておけば邪魔にならないので意外と便利だし、括っている方が夏場は涼しいのだ。
     つまり、ずぼらの集大成がこの髪型だった。
     特殊部隊に入った時、長髪であることにネチネチと嫌味を言われたこともある。諜報活動をする時に男性のロングヘアは目立ち易く、相手に特徴を覚えられやすいから不向きだと言われ、尤もだなと思ったが、上官の物言いが気に入らなかったので、小規模な隠密班を編成する際の長に選ばれた時、全員、自分と背格好が近く、長髪のメンバーだけで編成し、危なげもなくミッションを成功させたことがある。だが、自分の長髪にそこまでこだわりがあったわけではなく、単なる反発心だけである。
     無惨の事務所に秘書として採用された時も、一度も長髪である理由も聞かれなければ、切れと命じられたこともなかった。
     そこまで自分に関心がないのだと思っていた。自分は最低でも2週間に一度は美容室に行って襟足を整えるくらい隙の無い美しさを保っているが、日陰で彼を支える秘書にそこまでの美しさなど求めていないのだろう。
     たまには気分転換をしてみるか、と偶然床屋の前を通ったので、ふらりと立ち入り、高校生以来、十年以上ぶりに髪を短くすることにした。

     翌朝、どのスタッフも自分より遅くやってくる為、朝の用意を全て済ませて席に着くと、次々とスタッフが入ってくる。
    「おはようござい……えぇ!?」
     想像通りの反応をぶつけられる。それもそうだろう。全体的に短く切り、サイドと襟足は刈り上げた。恐らく一瞬、別人だと勘違いするだろう。
    「どうしたんですか!? 黒死牟様!」
    「いや、気分転換しようと思い……変か?」
    「いえ、よくお似合いです」
     割と好印象で、たまにはイメチェンするのも悪くないな、と思っていたら、最後に出勤した無惨が扉を開けるなり固まってしまい、持っていたベルルッティの鞄を落としていた。
    「無惨様! おはようございます!」
     全員が揃って挨拶するが、ぽかんと口を開けて黒死牟を凝視している。
    「おはようございます、無惨様」
     黒死牟は何事もなく無惨の鞄を拾い上げ、更に片手に持っていたスタバの紙カップを受け取り、無惨の机に置いて、テキパキと机の上を整えている。
    「髪……」
     やっと再起動した無惨は一言そう呟く。
    「あ、はい、邪魔なので切りました」
    「邪魔……?」
     自分が髪を切ったくらいで、何を動揺しているのか。黒死牟は首を傾げながらタブレットを開く。
    「無惨様、ひと息つかれましたら、会合に出る準備をなさいませんと間に合いませんよ」
     淡々と今日の予定を伝えるが、無惨はぼんやりと遠い目をしている。
    「無惨様」
    「あ、あぁ……」
     多分、この場で無惨の真意に気付いていないのは黒死牟ひとりだけである。皆が気まずそうに顔を伏せる中、何も解っていない黒死牟はあれやこれやと捲し立て、無惨を急かしている。
     その日一日、無惨はぼーっとしており、勉強会に出ても居眠りしている議員と変わらないくらいぼんやりしていたので、体調が悪いのかな、と少しずつ心配になってきた。
    「無惨様、午後の予定はすべてキャンセルいたしましょうか?」
    「いや、大丈夫だ」
     あ、しゃべった。黒死牟はそんな風に捉えるくらい鈍感なのだ。
     無惨はじっと黒死牟の髪を見て、何か考えている様子だった。
    「そんなに似合いませんか?」
    「いや……」
     おい、そろそろ黙れ、このニブチンが……と周囲の女性陣は黒死牟の口を押さえたくてウズウズしていたが、面白いので、もう少し様子を見守ろうと思っていた。
    「失恋でもしたのか?」
    「は?」
     随分と古臭いことを言うな……と、その場にいた全員が思った。失恋して髪を切る。これだから昭和生まれは……と皆が思っているが、雇用主に配慮し、胸の内に留めている。
    「今、フリーなので失恋する以前の問題です」
    「え?」
     その瞬間、無惨の目がきらりと輝いた。
    「無惨様、そろそろ出発のお時間です」
    「解った」
     無惨はネクタイを整え、輝きを取り戻した状態で事務所を出て行った。
     車の後部座席に座った無惨は、スマホに残っている髪が長い時代の黒死牟の写真を見て、小さな溜息を吐いた。
    「黒死牟」
    「はい」
    「私は長い髪の方が好きだ」
    「左様で……」
     何故そんなことを言うのか意味が解らない。黒死牟はそう思ったが、それから一年は散髪に行くのを我慢し、一年が経過すると、やっと前髪と横の髪はひとつに結べるくらいの長さになった。
     ベッドの中で伸びかけの髪を指先で弄びながら無惨は大きな溜息を吐く。
    「あそこまで伸ばすのは大変だっただろうに……」
    「放っておけば伸びます」
     色気のない返事だが、無惨が「長い髪が好き」と言ったので、黒死牟も髪を伸ばす決心がついたのだ。そして、フリーだと解った途端、無惨の熱烈的なアプローチが続き、こうして肌を重ねる間柄になった。
    「まぁ、お前が髪を切ってくれたおかげで、付き合っている相手がいるかどうか訊くことが出来たからな。あのままでは私は永遠に片想いのままだったかもしれない」
     黒死牟の頬に触れ無惨が笑うと、黒死牟は頬を赤く染め、はにかんだ笑顔を見せる。
    「私もずっと無惨様をお慕いしておりましたので、片想いではありませんでしたよ」
    「そうか」
     ふたりは唇を重ね、再び強く抱き締め合った。
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    TRAININGむざこく30本ノック④
    26日目
    もう何度もキスしている仲なのに、「そっちからキスしてよ」と言われて固まる黒死牟
    もう何度もキスしている仲なのに、「そっちからキスしてよ」と言われて固まる黒死牟 明日は早いから今夜は駄目です。黒死牟がそう言っているにも関わらず、無惨は黒死牟のパジャマを脱がせようと、しつこく絡んでくる。
    「駄目ですって」
    「一回だけだから」
     そんな可愛い表情で迫られたら「仕方ないですね、一回だけですよ」と言いたくなる黒死牟だが、一回で済まないことは解っているし、一回で終わらせたくないし、でも明日は本当に朝から忙しくて……と頭の中でぐるぐると考えを巡らせていると、手の力が抜け、ついつい無惨のリードを許してしまう。
     手首を掴まれ抵抗出来ない状態にされ唇を奪われた。足の間に割り入るように膝を捩じ込まれ、窒息しそうなくらい長いキスに頭がぼんやりしてきた。
     唇が離れた瞬間、息継ぎをするように乱れた呼吸を整える。膝でぐりぐりと股間を刺激されているせいで、切ない声が黒死牟から漏れると、無惨は嬉しそうに笑って再び唇を奪う。今度は僅かに開いた口に舌を押し入れ、尖らせた舌先でくすぐるように黒死牟の舌を刺激してくる。混ざり合う唾液が黒死牟の口の端から垂れ、正になし崩しになりそうだったが、珍しく黒死牟が拒絶の意思を示した。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    15日目
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか
    「ほら見たか!これで恐れるものなぞ何もないわ!」とかつてないほど昂るのか、「案外大したことないわ、つまらんな」と吐き捨てるのか、「太陽の方がやはりお好きで?」「白昼にも月は出ておるわ馬鹿者」みたいな気楽な会話になるのか
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか  それは初恋の憧れに似ていた。
     手の届かない遠い存在という意味か、遠い昔の燦爛とした断片的な記憶のせいか、その強い「憧れ」が根底にあるから黒死牟とは意気投合したのかもしれない。
     自分たちにとって太陽とは最も忌むべき存在であり、その反面、強く憧れ、恋い焦がれた存在であった。
     今でも朝日を見ると、今際の際を思い出し身構える。しかし、その光を浴びても肌が焼け落ちることはなく、朝が来た、と当たり前の出来事だと思い出すのだ。

    「今日も雲ひとつない晴天ですね」
     黒死牟が車のドアを開けると、その隙間から日の光が一気に差し込む。こんな時、黒死牟のサングラスが羨ましいと思うのだが、まさかサングラスをしたまま街頭に立ち、演説をするわけにはいかないので日焼け止めクリームを丹念に塗り込む程度の抵抗しか出来ない。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    17日目
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション 何か理由があって髪を伸ばしているわけではない。
     長い髪って手入れが大変ですよね、と言われるが、実はそうでもない。短い髪の時は月に一度は散髪に行かないといけなかったが、長い髪は自分で毛先を揃えるくらいでも何とでもなる。女性と違って髪が傷むだの、枝毛がどうだのと気にしたことがないので、手入れもせず、濡れた髪を自然乾燥させることにも抵抗がない。それに短い髪と違って、括っておけば邪魔にならないので意外と便利だし、括っている方が夏場は涼しいのだ。
     つまり、ずぼらの集大成がこの髪型だった。
     特殊部隊に入った時、長髪であることにネチネチと嫌味を言われたこともある。諜報活動をする時に男性のロングヘアは目立ち易く、相手に特徴を覚えられやすいから不向きだと言われ、尤もだなと思ったが、上官の物言いが気に入らなかったので、小規模な隠密班を編成する際の長に選ばれた時、全員、自分と背格好が近く、長髪のメンバーだけで編成し、危なげもなくミッションを成功させたことがある。だが、自分の長髪にそこまでこだわりがあったわけではなく、単なる反発心だけである。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    13日目
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう 今日もやっと1日が終わった。
     朝から晩まで、あの鬼上司2人に扱き使われたのだ。
    「おい、零余子!」
    「はい!」
    「零余子!」
    「はいー!!!!」
     多分、この数年で確実に親より名前を呼ばれている。これまで割と要領良く生きてきたので、こんなに怒鳴り散らされることはなかった。
     初めは鬼舞辻事務所に就職が決まり大喜びした。
     今をときめくイケメン政治家、鬼舞辻無惨の下で働けるなんて……その上、彼は独身。もしかして、もしかする、未来のファーストレディになれるようなルートが待っているかもしれない!? と馬鹿な期待をして入職したのだが、それは夢どころか大きな間違いだった。
     毎日怒鳴り散らされ、何を言っても否定され、無惨だけでも心がバキバキに折れそうなのに、これまたイケメンの秘書、黒死牟が更にエグイ。まず行動原理が「無惨様のため」なので、無惨の怒りを買った時点で、どんな言い訳をしても通用しない。こちらに非が無くても、無惨に怒鳴られ、黒死牟にネチネチと嫌味を言われ、最悪のコンボが待っている。
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