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    syako_kmt

    むざこく30本ノック用です。
    成人向けが多いと思うので、20歳未満の方はご遠慮下さい。

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    むざこく30本ノック③
    15日目
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか
    「ほら見たか!これで恐れるものなぞ何もないわ!」とかつてないほど昂るのか、「案外大したことないわ、つまらんな」と吐き捨てるのか、「太陽の方がやはりお好きで?」「白昼にも月は出ておるわ馬鹿者」みたいな気楽な会話になるのか

    #むざこく30本ノック
    random30Knocks
    #むざこく
    unscrupulousCountry

    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか  それは初恋の憧れに似ていた。
     手の届かない遠い存在という意味か、遠い昔の燦爛とした断片的な記憶のせいか、その強い「憧れ」が根底にあるから黒死牟とは意気投合したのかもしれない。
     自分たちにとって太陽とは最も忌むべき存在であり、その反面、強く憧れ、恋い焦がれた存在であった。
     今でも朝日を見ると、今際の際を思い出し身構える。しかし、その光を浴びても肌が焼け落ちることはなく、朝が来た、と当たり前の出来事だと思い出すのだ。

    「今日も雲ひとつない晴天ですね」
     黒死牟が車のドアを開けると、その隙間から日の光が一気に差し込む。こんな時、黒死牟のサングラスが羨ましいと思うのだが、まさかサングラスをしたまま街頭に立ち、演説をするわけにはいかないので日焼け止めクリームを丹念に塗り込む程度の抵抗しか出来ない。
    「日に焼ける」
     舌打ちし憎々しげに太陽を睨む無惨を見て黒死牟は笑う。
    「雨より良いと思いますよ。ほら、今日も無惨様を見に、多くの聴衆が集まっています」
     晴れの方が良い、こいつも変わったなと無惨はふと考える。
     あれほど太陽を恐れ、太陽から逃げていた自分たちが、人の身となれば、晴天を味方とし演説日和と思うようになる。
     きっと、それが当たり前のことであり、自分たちには当たり前がなかった、それだけのことだったのだろう。
    「さぁ、無惨様、こちらに」
     笑顔で無惨の手を取りエスコートする。今生の黒死牟はよく笑う。彼の心を蝕んだ唯一無二の太陽である「継国縁壱」が、ゆかりのある人間として転生しなかった。ただ、無惨は時折考える。世継ぎ問題も、鬼も、刀も、呼吸も、そういったものが何もない今生で再び双子として産まれたとして、黒死牟は「黒死牟」となっただろうか、と。個々が尊重される今生では、縁壱に怯えることもなく、案外良い兄弟として育ったのではないかと何度も思った。
     縁壱が唯一無二の太陽であったとすれば、黒死牟は無惨にとって唯一無二の月であった。十二鬼月という直属の配下を編成した時、黒死牟だけが唯一、上弦の壱であり続けた。欠けることのない自分の月。生前、その言葉を掛けてやることは一度もなかったが、黒死牟はこうして今生でも自分の傍で働き、公私ともに自分を支えてくれている。
     あの時と何も変わらない。変わったのは自分たちにとっての太陽の在り方だけだ。

     自分たちにとって太陽のように強い光と力を放つものは「憧れ」でもあり、「死」を強く意識させるものであった。実際、日の光を浴びると肌は焼け、肉体が崩れた。
     しかし、今、太陽は自分たちの命を奪うことはない。だが、それとは引き換えに、鬼のように不老長寿ではなくなった。確実に自分は死ぬのだ。故に死は今でも忌諱するものであり、己の肉体が日々老いて、着実に死へと向かっていることは嫌でも解っている。
     昨日と同じ今日は来ない、明日には今日より老化した自分がいる。
     今生では自然の摂理に逆らうことは出来ず、こうして、一秒一秒を精一杯生きているのだ。
    「どうかなさいましたか?」
    「何が?」
    「いえ、何か考えておいでのようでしたので」
     相変わらず勘の良い男だ。あの時のように脳内で会話を交わすことはないというのに、自分の思っていることを一番察してくれるのは相も変わらず黒死牟である。そして、黒死牟の考えていることも大抵解るので、無惨にとって一番居心地の良い相手であった。
    「今日の太陽はやけに眩しいと思ってな」
     演説場所に向かう時に空を仰ぐと、黒死牟も同じように空を見上げる。
    「私にとっては演説をしている時の無惨様は太陽よりも眩しいですけどね」
    「……随分と言うようになったな」
    「緊張しておいでのようでしたので、ちょっとしたジョークを」
     無惨は鼻で笑い、白い手袋をしてマイクを受け取った。
     緊張している、黒死牟の目にそう映ったのなら、恐らくそうなのだろう。政治家となり、人前で演説することは慣れるようで慣れない。誰もが自分を支持しているわけではない。前世ではあれほど汚い言葉で鬼狩りに追われ続けたが、あの時は何も感じなかったが、今では僅かに心が痛み、人前に立つ時に一瞬、足が竦む時がある。
     その時、空を見上げると、不思議と心が軽くなった。あの鬱屈とした千年に比べたら、この程度、何ともないのだ。そう思うと、自分の言葉で話せた。
     自分の一挙手一投足に人々の視線が釘付けになる。
     黒死牟の言う通り、太陽は味方だ。雨の日にわざわざ出かけて、足を止めてまで自分の話を聞く人間はいないだろう。
     こうして晴天の下、人々の暮らしを、この国の未来を語れば、実現が難しいことであっても人々は不思議と希望を見出せるのだ。
     当たり前を手に入れた自分には何も恐れるものはない。
     太陽の下を歩き、死に向かう日々の中で一瞬一瞬に最高の瞬間を作り出している。
     拍手と歓声の包まれる中、無惨は隣に立つ黒死牟と向かい合い、小さく笑った。

     それは初恋の憧れに似ていた。
     つまり、ただの記憶の美化であった。
    「なんだ、太陽など、この程度のものか」
     燦々と降り注ぐ日の光に目を細め、無惨は滲む涙を指先で拭った。
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    TRAININGむざこく30本ノック④
    26日目
    もう何度もキスしている仲なのに、「そっちからキスしてよ」と言われて固まる黒死牟
    もう何度もキスしている仲なのに、「そっちからキスしてよ」と言われて固まる黒死牟 明日は早いから今夜は駄目です。黒死牟がそう言っているにも関わらず、無惨は黒死牟のパジャマを脱がせようと、しつこく絡んでくる。
    「駄目ですって」
    「一回だけだから」
     そんな可愛い表情で迫られたら「仕方ないですね、一回だけですよ」と言いたくなる黒死牟だが、一回で済まないことは解っているし、一回で終わらせたくないし、でも明日は本当に朝から忙しくて……と頭の中でぐるぐると考えを巡らせていると、手の力が抜け、ついつい無惨のリードを許してしまう。
     手首を掴まれ抵抗出来ない状態にされ唇を奪われた。足の間に割り入るように膝を捩じ込まれ、窒息しそうなくらい長いキスに頭がぼんやりしてきた。
     唇が離れた瞬間、息継ぎをするように乱れた呼吸を整える。膝でぐりぐりと股間を刺激されているせいで、切ない声が黒死牟から漏れると、無惨は嬉しそうに笑って再び唇を奪う。今度は僅かに開いた口に舌を押し入れ、尖らせた舌先でくすぐるように黒死牟の舌を刺激してくる。混ざり合う唾液が黒死牟の口の端から垂れ、正になし崩しになりそうだったが、珍しく黒死牟が拒絶の意思を示した。
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    syako_kmt

    TRAININGむざこく30本ノック③
    17日目
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション 何か理由があって髪を伸ばしているわけではない。
     長い髪って手入れが大変ですよね、と言われるが、実はそうでもない。短い髪の時は月に一度は散髪に行かないといけなかったが、長い髪は自分で毛先を揃えるくらいでも何とでもなる。女性と違って髪が傷むだの、枝毛がどうだのと気にしたことがないので、手入れもせず、濡れた髪を自然乾燥させることにも抵抗がない。それに短い髪と違って、括っておけば邪魔にならないので意外と便利だし、括っている方が夏場は涼しいのだ。
     つまり、ずぼらの集大成がこの髪型だった。
     特殊部隊に入った時、長髪であることにネチネチと嫌味を言われたこともある。諜報活動をする時に男性のロングヘアは目立ち易く、相手に特徴を覚えられやすいから不向きだと言われ、尤もだなと思ったが、上官の物言いが気に入らなかったので、小規模な隠密班を編成する際の長に選ばれた時、全員、自分と背格好が近く、長髪のメンバーだけで編成し、危なげもなくミッションを成功させたことがある。だが、自分の長髪にそこまでこだわりがあったわけではなく、単なる反発心だけである。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    15日目
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか
    「ほら見たか!これで恐れるものなぞ何もないわ!」とかつてないほど昂るのか、「案外大したことないわ、つまらんな」と吐き捨てるのか、「太陽の方がやはりお好きで?」「白昼にも月は出ておるわ馬鹿者」みたいな気楽な会話になるのか
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか  それは初恋の憧れに似ていた。
     手の届かない遠い存在という意味か、遠い昔の燦爛とした断片的な記憶のせいか、その強い「憧れ」が根底にあるから黒死牟とは意気投合したのかもしれない。
     自分たちにとって太陽とは最も忌むべき存在であり、その反面、強く憧れ、恋い焦がれた存在であった。
     今でも朝日を見ると、今際の際を思い出し身構える。しかし、その光を浴びても肌が焼け落ちることはなく、朝が来た、と当たり前の出来事だと思い出すのだ。

    「今日も雲ひとつない晴天ですね」
     黒死牟が車のドアを開けると、その隙間から日の光が一気に差し込む。こんな時、黒死牟のサングラスが羨ましいと思うのだが、まさかサングラスをしたまま街頭に立ち、演説をするわけにはいかないので日焼け止めクリームを丹念に塗り込む程度の抵抗しか出来ない。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    13日目
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう 今日もやっと1日が終わった。
     朝から晩まで、あの鬼上司2人に扱き使われたのだ。
    「おい、零余子!」
    「はい!」
    「零余子!」
    「はいー!!!!」
     多分、この数年で確実に親より名前を呼ばれている。これまで割と要領良く生きてきたので、こんなに怒鳴り散らされることはなかった。
     初めは鬼舞辻事務所に就職が決まり大喜びした。
     今をときめくイケメン政治家、鬼舞辻無惨の下で働けるなんて……その上、彼は独身。もしかして、もしかする、未来のファーストレディになれるようなルートが待っているかもしれない!? と馬鹿な期待をして入職したのだが、それは夢どころか大きな間違いだった。
     毎日怒鳴り散らされ、何を言っても否定され、無惨だけでも心がバキバキに折れそうなのに、これまたイケメンの秘書、黒死牟が更にエグイ。まず行動原理が「無惨様のため」なので、無惨の怒りを買った時点で、どんな言い訳をしても通用しない。こちらに非が無くても、無惨に怒鳴られ、黒死牟にネチネチと嫌味を言われ、最悪のコンボが待っている。
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