姫花「梓白」
梓白「ここに陽様はいないよ」
姫花「わかってるって。梓白に用があって来たの」
梓白「へぇ、君が俺に？珍しいね。俺の事嫌いだったのに」
姫花「それは昔の話！今は嫌いじゃないよ」
梓白「はいはい、知ってるよ。それで、俺になんの用かな？」
姫花「陽様のこと聞きたい」
梓白「陽？本人に聞くのが早いんじゃない？君なら尚更」
姫花「陽様ってさ、いつも優しくてみんなが困ってると助けてくれたりするじゃん？俺にも色々教えてくれるし。でも自分のことは話さない」
梓白「それで、陽様の相棒である俺に聞こうって？」
姫花「俺より知ってることたくさんありそうだから」
梓白「残念。俺は聞かれたらすぐ話しちゃうような軽い男じゃあないんだにゃ〜」
姫花「それは…わかってるけどさ」
梓白「そうだな…じゃあ陽をギベオンに選んだ理由を話してあげよう。そこから何を思うかは君の自由」
姫花「うん」
梓白「まあ、俺のバディだからっていうのもあるんだけど。俺や陽、京は戦闘に慣れている。むしろ戦闘以上にできることがないんだよね。だからギベオンにいるのは妥当でしょ？あとは…ま、たまには陽ものびのびといられる時間が必要かなと思って」
姫花「陽様の前職は戦闘系なんだ」
梓白「意外だった？」
姫花「んーん。戦闘慣れてるし違和感ない。けど陽様ここ来たとき‘’一般企業にいたから戦闘はしてない‘’って…」
梓白「君が聞いたことも俺が知っていることも両方事実だよ」
姫花「陽様は俺たちといるとき無理してるの？」
梓白「無理はしてない。けどそうだな…みんなの‘’陽様‘’が前面的に出ているといえばわかりやすいかな」
姫花「…陽様、なんで俺には教えてくれないんだろ」
梓白「陽は人当たりがいい雰囲気で周りが打ち解けやすくするけど自分に対しては注目がいかないように壁を作る。あとは、陽は君が抱いている‘’陽様‘’の印象を壊したくないんじゃない？ま、たとえ陽がどんなやつでも君は幻滅しないだろうけど」
姫花「陽様がどんなヤベぇやつでも俺は陽様みたいにかっこよくなりたい！」
梓白「ここ、何でも屋にいられる時点で陽はそんなにヤベェやつではないよ。たぶんね」
姫花「梓白はなんで陽様のことそんなに知ってるの？昔からの知り合い？」
梓白「それ、よく言われるんだけどさー。俺たちここ来てから知り合ったんだよね。俺も最初は直接聞いたわけじゃないよ。俺の想像を話したら分かりやすく反応してくれてね。そしたら話してくれた」
姫花「…当てたってこと？」
梓白「陽はすごくわかりやすいから」
姫花「俺もその洞察力がほしい…」
梓白「そんなことしなくても陽が君のこともっと知って、君なら話しても大丈夫だなと思えば話してくれるよ」
姫花「うー、そうかなぁ。俺にできるかなぁ」
梓白「おや、君にしては珍しく弱気だね。ま、でも陽も陽だよね。普段から出してる割にはいざ聞かれると本当の自分を隠そうとするんだから。出してる、と言うか出てる、かな。君だって素の陽は何度も見てるよ」
姫花「そうなの？」
梓白「そ。でもなんとも思わないってことは君がそれも含めて陽様って思ってるってこと。それを陽も気づいてくれればいいんだけどねぇ」
姫花「梓白が陽様に教えてあげればいいんじゃない？」
梓白「こういうのは自分で気がついた方がいいもの」
姫花「梓白ってさ、みんなことすごく見てるのにはっきり言わないよね」
梓白「でも俺の言わんとしてること察してみんな大したものだよ」
姫花「最初は自分勝手で何考えるかわかんないやつだと思ってたけどねー」
梓白「それで俺を嫌っていた、と」
姫花「陽様にめちゃくちゃ迷惑かけてると思ったから。でも陽様はむしろ梓白のそういうところに助けられてたんだよね」
梓白「さぁ。助けた覚えはないけど」
姫花「そうやって色んな人の事見て影で助けて、いざ面と向かって言われると涼しい顔してるとこがムカつくんだよな〜」
梓白「俺は君の言う通り自分のしたいことを勝手にしてるだけだよ」
姫花「あ、根に持ってる？」
梓白「ふふ、そんなことないですよ？」
姫花「絶対根にもってるじゃん。悪かったって」
梓白「じゃ、陽様の頼れる相棒からありがたーい助言を聞いたところで陽様とお話でもしてきたらどう？」
姫花「ん、そーする。ありがと梓白」
梓白「別に礼を言われるようなことしてないけど。どーいたしまして」