サイヤ人は戦闘民族ということもあり、肉体の老化が始まるのは地球の人のそれよりも遅いらしい。
確かに夫婦となったときにはチチと悟空の身長差はそれほどなかったはずだが、今は見上げる首が時折痛いとぼやいてしまうそれになっているので、成長しているということになるのだろう。
とはいえ、見上げるのに首が痛いとぼやけば、彼はチチの脇に手を差し入れ持ち上げて視線を高くし、膝の上に座らせるなどして対応をしようとする。ちょっとだけずれている気がしないでもないが、その気持ちは嬉しいものだ。
「悟空さ、おらのこと大好きだべなぁ」
「おう、大好きだぞ」
白いものが目立つようになったチチの髪を指で梳きながら、いまだつややかな黒髪の悟空が目を細めて微笑む。
年齢を重ねるごとにゆるゆるとでも目に見えて大きくなっていく夫からの労わりと愛情に、チチは歳をとるのも悪くはないと思うのだった。