いい匂いがして、甘くて、見た目もかわいらしいというかきれいな果物が、桃だ。
まるんとしてちょっと力を入れれば潰してしまいそうで、悟空としては力加減に気を付けなければいけない。
リンゴと違ってかぶりといけないが、皮をめくって果肉をあらわにするにはちょっとばかり難しい。
自分で食べるには苦労するが、チチが皿に盛って出してくれる桃はとても食べやすくきれいなのでどうしているのかと次の機会に手元を覗いていると、鍋に湯を沸かしその中に桃をまるごとひとつ入れたので驚いた。
十秒程度湯にくぐらせた程度で桃は取り出され、あらかじめ入れられていた切れ目にチチが触れると、桃の皮はするすると気持ちいいくらいに剥けていき、つるんとした果肉が露わにされていく。
なんとなく色々思考が重なり、チチみたいだと素直に感想を言ったら、彼女もまた色々思考した後皮を剥いた桃を口元に押し付けられてしまった悟空であった。