抉られた腹が、じくじくと。痛く、痒く、熱く……痛い。
ベッドに潜って目を閉じても、傷の痛みに意識を飛ばすことさえ許されない。
「……ふ……っ」
昼間の戦闘で負った傷。
少し厄介な連中を相手した時のものだ。本当はちゃんと手当すべきものを、他の連中を優先して自分は適当な手当で戦い続けたせい。。
耐えて、耐えていれば、やがて気絶するように眠れるだろう。今までもそうだった。この腕になる前も、なった後も。
こんな痛み、よくあることじゃあないか。
こんな痛みより、もっと痛いものがあるじゃあないか。
瞼の裏に蘇る、人々の怯える顔。
体をいじってまで戦った末に受ける中傷、唾棄される暴言。
今もなお受けなければならない、私じゃない『グレゴール』が積み上げていた、理想の果ての憎悪。
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