Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    nezuno

    @nezuno
    小説のみ
    ぱっと思いついた短いネタ、練習等を投げる予定です
    尻切れトンボとか思いついたシーンのみ投げるかもしれません
    ちゃんと完成させろ、っていうやつがあったらTwitterの方で言ってもらえたらモチベが上がります
    上がるだけです

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 10

    nezuno

    ☆quiet follow

    支部にまとめてないワンライ以外の作品こちらに再掲しておきます
    本編開始前
    ホップが最近できた新しい友達のことをソニアさんに報告させられるお話です

    #ホプユウ
    Hopscotch (Hop/Gloria ship)

    「こんにちは! 本借りに来ましたー」
     ポケモン研究所のドアを叩き顔を覗かせたのは相棒のウールーを連れたホップだった。
    「はいはい、ようこそ。挨拶ができるだけダンデよりマシだけど、あんたも結構マイペースよね」
    「あれ、ソニアじゃん。カレッジに行ってるんじゃなかったっけ」
    「今は夏季休暇で帰省中。おばあさまがお茶会で出かけてるから留守番まかされてるってわけ」
     兄のようなポケモントレーナーになることを目指しているホップは、自宅にあった本を読みつくし、知識を求めてポケモン研究所にときどき顔を出しているらしい。ガラルを離れていたソニアは直接の様子は知らないものの、祖母曰く最近は足が遠のいているとかなんとか。
    「久しぶりじゃん。ポケモン以外にも夢中になれることでもみつけた?」
    「まさか! ポケモンより面白いことなんてないだろ。でも、最近うちのすぐ近くに同い年のやつが引っ越してきてさ。一緒にいるのが楽しいんだ」
    「え、よかったじゃん! このへん本当に子ども少ないもんね」
     ハロン、ブラッシーのあたりは人口が少ない。とくに子供は少し年が離れていたりして、ホップはポケモンの友達の方が多いくらいだから、同い年の友達ができたのは喜ばしいことだろう。
    「それより本だよ本! カントーとかジョウトの方の言葉で書かれた子供向けの本あっただろ。たしか表紙にヒトカゲ、ゼニガメ、フシギダネの三匹が描いてるやつ」
    「ああ、オーキド博士の著書ね。それなら外国語の棚のOの並びにあるよ。ほらほら、読みたい本探すのも勉強のうち!」
     出してきてくれないのか、と少し不満げな様子のホップを本棚の方に促し、ソニアは紅茶の準備にとりかかる。

    「お、お、お、と……そいつがさ、ガラルに来たばっかりだからまだこっちの言葉そんなに喋れなくって。最近は表情とか身振り手振りでだいたいわかるようになったけど、やっぱ早くポケモンの話とかたくさんしたいからさ。言葉がわかんないとアイツも困るだろうし」
     本棚の背表紙を指で順番になぞって確認しながら、ホップは呟いた。
    「それでカントーの本で一緒に勉強するのか。優しいじゃん。でもあんまり自分の趣味ばっかり押し付けちゃダメだからね?」
    「わかってるって……あった!」
     目当ての本を見つけると、持ち出し申請書類の記入を済ませて、そのまま飛び出していこうとする。が、ダイニングテーブルにウールーがデザインされたマグの紅茶が用意されているのに気づいて足を止める。
    「はやくユウリに見せに行きたいぞ」
     文句を言いつつも席に着くのが律儀な子供だな、とソニアは苦笑する。
    「まぁまぁまぁ、そう言わずに。はい、ウールーにもおやつ。……ワンパチにはダイエット中だからナイショね」
     研究所の一角にあつらえた寝床で鼻ちょうちんを膨らませてるワンパチを横目に声を潜める。ウールーは心得た、というような表情で「ぐめ」と小さく鳴くとポケモン用のおやつに鼻を寄せる。
    「で、そのユウリちゃんって子のこと、ソニアお姉さんにも聞かせてよぅ」
     ソニアの記憶では、カントー方面では「ユウリ」は女性に多い名前のはず。ホップがそこまで気に掛ける女の子。興味があるに決まっている。
    「なんか引っかかる言い方だな……まぁいいや。ユウリは一見するとおとなしそうな感じなんだけど、けっこう負けず嫌いなやつだぞ。カードゲームとかボードゲームとか、言葉がわからなくてもできるようなゲームをよくやるんだけど、負けるとすっごい悔しがって何回もやるんだ。勝敗はいつも半々くらいだな。それからよく笑うしよく泣く」
    「女の子泣かせちゃダメじゃん」
    「い、いじわるはしてないぞ! この間はハロンで一番景色がきれいな秘密の場所おしえたら夕焼けみて泣いてた」
    「あら~いい雰囲気! それでそれで、外見とかは?」
    「チョコレートみたいな色の髪は短め、これくらいで……それから、そうだ、ちょうどこんな感じの、太陽の光を溶かした紅茶みたいな色の目をしてて、麦の穂が揺れるみたいな感じで笑うんだ」
     サンルームから差し込む光を反射する紅茶が揺れるマグを両手でそっと包み込み、慈しむように目を細めるホップ。まだまだ子供だと思っていた少年が、見たこともないような表情を浮かべるので、ソニアは思わず言葉を失った。
     ソニアからすれば、ダンデやホップのような金色の瞳の方がよほど珍しいくらいで、茶色い瞳は割と平凡な部類に感じてしまうが、ホップにとっては唯一無二の大切な色なのだろう。
    「よし、ごちそうさまでした!」
     ソニアが感慨にふけっているうちに紅茶を飲み干してしまい、本を抱えて研究所の外に飛び出していこうとするホップをあわてて引き留める。
    「紅茶を一気飲みするやつがいるかよっ! ちょっとまってってば」
    「なんだよ、まだなにかあるのか?」
    「ユウリちゃん、あたしも会ってみたいなー、なんて。勉強するなら研究所はぴったりでしょ」
    「ソニア、なんかイヤラシー顔してるぞ。ユウリが言葉わかんないからって、変なこと教えるつもりだろ」
    「失礼なっ! これでもポケモン博士のたまごだから、ちゃんと先生できますとも」
     ホップはしばらく胡散臭いものを見る目でソニアとにらみ合っていたが、そっぽを向いてしまう。
    「やっぱりやだ。いくぞウールー!」
     おやつに大満足してひなたでウトウトしはじめていたウールーも目を覚ました。駆け出していくホップと、ごろんごろんと転がりながらついていくウールーを見送りながら、ソニアは自分の分のカップに追加の紅茶を注ぐ。
    「やっぱり見つけたんじゃん。夢中になれること」
     幼馴染の弟という縁で小さいころから知っている、自分にとっても弟のような少年の成長を垣間見てしまったソニアは、自分が離れている間のガラルの変化に思いを巡らせる。
    「わたしも頑張んなきゃ、ね」
     大きく伸びをすると。デスクに戻り、書きかけの論文のファイルを立ち上げる。ずっと先に進んでいってしまった幼馴染に比べれば、きっと小さな一歩にすぎないとしても、動かないことには何も始まらないのだから。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    nezuno

    DONE2021年一作目
    とくに季節ネタではないです
    食いしん坊ユウリちゃんのよくわからない悩み事に付き合ってくれるホップのお話です
    推しポケモンと推しカプを並べたかったやつです
    「こんなことホップにしか頼めないの……!」
     バトル以外では普段マイペースなユウリが珍しく差し迫った表情でそんな言葉を口にしてすがってくるのを断る理由などあるわけがなかった。ライバルが困ってるとき力を貸すのは当然だぞ、なんて耳触りの良い言葉で二つ返事したものの、内心はユウリが困ったときに最初に頼るのがアニキをはじめとするリーグ委員会の大人たちや、他のトレーナーの誰でもなくオレだという事実に安堵とほんの少しの優越感を感じていた。
     だからどんな頼み事だって聞くつもりでユウリに言われるままに研究所の表に出て目にしたのは、彼女の苦悩の表情とは裏腹にのんきな光景だった。
    「ヤドンか。こっちは、ガラル以外の地方で見られる姿だな」
     生息地域ごとの環境や生態系の違いによって同じ種のポケモンでも姿やタイプが変化する、学術的にはリージョンフォームと呼ばれてる現象だ。ガラル以外の地域でみられるヤドンは──個体数でいえばこちがのほうが一般的な姿と考えられるだろう──のぼせたみたいな全身ピンク色で、しっぽの先だけが白い。ガラルのヤドンは額から頭部にかけて、それからしっぽがカレーみたいな黄色になっている。この 3326

    nezuno

    DONEポケマスにユウリちゃん実装決定後、ガチャ祈願でかいたポケマス時空のふわっとしたお話
    ユウリちゃんとメイちゃんがお話しているだけですが、ホプユウ前提
    カプというほどの絡みはないのでタグ無しで
    身じろぎをした拍子にベッド……ではなく、硬いベンチから転げ落ちそうになって慌てて飛び起きる。
    『ようこそポケモントレーナー、そしてバディポケモンのみなさん。ここは人工島パシオ』
     頭の上のスピーカーが繰り返すアナウンスでここが何処だったのかようやく思い出した。
     そうだわたし、ホップと一緒に水上バスに乗ってパシオに向かっていたんだった。座席に並んで二人で一冊のガイドブックを覗き込み、どこに行こうか、どんなトレーナーに会えるかな、なんてお喋りに夢中になっているうちに眠ってしまったんだろう。あたりの様子をみるに、ここはパシオの船着場のようだ。でも、どうにもバスから降りた記憶がないし、ホップともはぐれてしまったようだ。腰掛けたベンチの小脇にはさっきまで枕がわりにしていた荷物で膨れ上がったお気に入りのレザーボストン。足元には呆れたように「わふ」とため息を溢すザシアン。きっと眠りこけているわたしの代わりに荷物の番をしていてくれたのだろう。
     左手に妙な違和感がある気がして、空に広げた手をかざしてぼんやりと眺めてみるけどいまひとつ思い当たらない。
    「こんにちは、ポケモントレーナーさん! あなたはど 2361

    related works

    recommended works