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    SakuraK_0414

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    SakuraK_0414

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    アンソロとは関係ない譲テツ前提の「他人の子ほど早く成長する」というシリーズ?です。
    他人の子、マジで早く成長する。

    #譲テツ

    高校生の食欲 他人の子は思うより早く成長する、とは言うけれど。
     保護者役というか身元引受人であるドクターTETSUが夕飯を買って帰ると言うから和久井譲介は戸惑いながらもはいと返事して電話を切った。普段からあちこちでかける人だったが譲介に食事をさせようという意識が強く、一度寝坊した時に着替えてそのまま学校に行こうとしたら首根っこをひっつかまれて朝飯くらい食べていけと言われたくらいだ。
    「遅刻しそうなんですよ!」
    「別に遅刻して困るような成績でもねぇだろ」
     今通ってる高校でトップ取れって言ったのは誰だよ、と言う文句を飲み込んだのも譲介はよく覚えている。実際、別に担任には特にうるさい事も言わず「今朝どうしたの? 事故とかじゃないなら良いけど」と言っただけだった。
     そんなことを思い出しているうちにカチャンと表の鍵の開く音がして、いつもの恰好のドクターTETSUが帰宅した。
    「今戻った。これ、夕飯だ」
     差し出された袋を受け取るとずっしりと重みがある。しかも、それが2つ。それで思わず。
    「……多くないですか?」
     明らかに戸惑ったような譲介に、保護者は片眉を上げる。
    「そうか?」
    「はい」
    「……育ち盛りってのはこれくらい食うもんだろ」
    「そう、かもしれませんけど」
     否、実際いざ夕飯を買う段になってドクターTETSUも考えたのだ。男子高校生とはどれくらい腹を空かす生き物なのか。彼にもその時代があったはずだが、20年以上も昔のことで、そこから今に至るまでのあれやこれやが余りに濃密で自分が10代半ばだった頃にどれくらい腹を空かしていたのかなどサッパリ思い出せなかった。それで結局……沢山買ってきたのだ。
     保護者が黙り込んでそれ以上何も言わないので、譲介は半ばあきらめてダイニングテーブルに夕食を広げ始める。しかしいざ料理に手を付けて、そこで初めて譲介は自分が空腹だったことを思い出す。あっという間に最初の一皿を完食すると、恐る恐る正面に座る大人の顔を見た。
    「……どれでも好きなものを食え」
     野心があって何かかたちのないものに飢えてその鋭い目をギラギラさせるわりに、こういうところで保護者の顔色をうかがうところがある。その責任の一端が保護者自身にあるのを感じつつTETSUが何を買って来たのかひとつずつ説明していくと、お行儀よくそれを最後まで聞いた譲介がひとつ料理を選び取って手元に引きよせ、プラスチックのふたを外してスプーンを動かし始める。なんだかんだ言ってしっかり食うじゃねえか、などと思ってTETSUがそれを見つめていると、譲介は思い出したように手を止めてまた目の前の大人の顔を見つめる。
     保護者は呆れたようにわずかに笑む。
    「別に取り上げやしねぇよ、好きなだけ食え」
    「そうじゃなくて」
    「あん?」
    「……食欲、ないですか?」
     言われてようやくTETSUは食事の手が止まっていたことを思い出す。目の前の子供の食べっぷりの良さでついこっちも食べたような気になっていたのだ。ンなわけあるか、などと返事してゆるゆると手を動かしている間に譲介は3皿目に突入して結局買ってきた夕飯は全て二人の腹に収まってしまった。
    「……10代ってのは結構食うもんだな」
     半ば感心しながら大人が言うと男子高校生は「ちょうど腹が減ってたんですよ」と拗ねたように言った
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    SakuraK_0414

    DOODLE365日いつでもバニーを書いてよろしい、と神は仰せになった。なってない。でも今年はウサギ年だし9月はお月見だしそうじゃなくてもバニーを書いて良い。ということで、以前書いたバニーの譲テツ也宮添えの続きです。バニー衣装着るのが恥ずかしくてへにゃへにゃになってる自分の魅力に無自覚な闇医者。
    ちなみにバニースーツ餅つき、というのも二次イラスト的には可愛らしさと色気とポップさがあって良いなと思う。
    You're Bunny.「いや……これは、キツいだろ」
     さすがに、とドクターTETSUこと真田徹郎は独り言ちてそこらへんに置いていたカーディガンを羽織った。誰も見てないとはいえ、さすがにいたたまれない。特注品のバカみたいに大きな衣装一式が自分の体にぴったり沿うように作られているのもいたたまれない。衣装一式の入っていた箱に同封されたパンフレットの中で凄艶に笑うバニースーツを纏った美青年の姿が目に入って、もっといたたまれなくなる。
    (今より30若ければ、とは思いはしねぇが……)
     海千山千、天下の闇医者ドクターテツは危ない橋を渡りもしたし、死にかけたこともある。人生における大概の苦難と規格外の苦難を大方乗り越え、もう並大抵のことでは動じることも無い。
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    SakuraK_0414

    DOODLE譲→テツで、譲介くんがクエイドに行くぞ!となる話。細かいところはもう色々捏造してます。時間とか季節のこととかめちゃくちゃです。朝倉先生が診療所に来た頃のイメージで、遅れてきた七夕ネタでもあります。
    コンビニ店内でかかってる曲はモー娘。22の「Chu Chu Chu 僕らの未来」、譲介君がこの歌詞僕のことだ…ってなってるのはモー娘。19の「青春Night」です。参考しながら読むと楽しいかもしれない
    青春Nightに僕らの未来「……モー娘の新曲だな」
     コンビニの店内、隣に立つ譲介が、あの和久井譲介が呟いたので黒須一也はぎょっとして彼を見つめた。店内には確かに女子グループアイドルの楽曲が流れているが、こんな難しそうな曲、しかもワンフレーズを聞いただけでそれが分かったのか、と一也はますます目を見開く。
    「……なんだよ」
     じろりと譲介が睨んだ。あのハマー乗りの闇医者そっくりの長い前髪の合間から覗く左目の迫力に気圧されて一也は黙り込む。
    「お前だってモー娘。くらい知ってるだろ、僕らは世代だし、どこ行ったって流れてたし、ラブマシーンとか」
    「あ、いや、その、譲介はアイドルとか興味ない、というか好きじゃないと思ってたから」
    「別に興味はないし好きでもないぞ」
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    SakuraK_0414

    DONE譲テツのなんかポエミーな話です。
    譲テツと芸術と27階時代からアメリカ寛解同居ラブラブ時空の話になりました。
    最初のジャズは You’d Be Nice to Come Home Toです。裸婦画はルネサンス期の任意の裸婦画、文学は遠藤周作「海と毒薬」のイメージです。引き取ったなりの責任として旅行とか連れて行ってたテツセンセの話です。
    ムーサ、あるいは裸のマハ。副題:神の不在と実在について。ムーサ:音楽、韻律の女神。ブルーノート東京にて。

     いつだったかの夏。
     学校から帰ってくるなり来週の診察は譲介、お前も付いて来い、と言われた。家を出るのは夕方からだと聞かされてちょっと安心したものの熱帯夜の続く8月の上旬のこと、内心うんざりしたが拒否権は無かった。この間の期末テストで学年1位だったご褒美だ、と言われたからだ。
     成績トップのご褒美が患者の診察についていく権利って何だよ、と思いはしたがこのドクターTETSUという様々な武勇伝を引っ提げた色々とんでもない身元引受人が医学を教えるという約束を反故にしないでいてくれたのが嬉しかったのもある。
     当日の夕方の移動中ドクターTETSUは僕に患者の状態などを説明してくれたが、内心落ち着かず、どこに連れていかれるのか気になって話はあまり聞けていなかった。これを着ていけ、と上から下まで真新しい服一式を渡されたからだ。サックスブルーと白のボーダーシャツにネイビーの麻のサマージャケットをメインに、靴は通学に使うのとは違うウィングチップの革靴まで差し出されたのだ。普段は政界・財界に影響力を持つ患者の対応をいつもの制服で対応させるこの人がこんな服を持ってくるなんてよっぽどの患者なのか、と身構えてしまった。多分それは横にいる大人にはバレていたのだけれど、彼は指摘して叱るようなことはしなかった。
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