言葉にしてくれなきゃわかりません!目は口ほどにものを言うと言うけれど。
ぼくの恋人は、周りに対して饒舌ではないけれど寡黙すぎるというほどでもない。必要なときはしっかり言葉にして伝えている。
なのになぜかぼくに対しては、目で訴えかけてくることが多い。
「嶺二」
これは無茶したぼくをしかる目
「れいじ」
これは唐揚げ食わせろの目
「れーじ」
これはキスしたいときの目
「れ、ぇじ……」
これはイきそうなときの目
いや、別にいいんだよ? 言いたいことはだいたいわかるし。
でもさ、やっぱりさ、ちゃんと言葉にして伝えてもらいたいじゃん。
あとちょっとそれで照れる蘭丸を見てみたい気持ちもある。
……え? それが一番の理由なんかじゃないよ。
「ねぇ、ランラン。なにか言いたいときにぼくのことを見てくるのはいいんだけどさー……ちゃんとランランの口から言ってほしいな?」
「あ? なんの話だよ」
「だからさー、ぼくになにかしてほしいときとか、ちゃんと言葉にして伝えて」
「はあ? ……言ってねぇか?」
「言ってないよ! じーっとこっち見てくるでしょ。自覚ないの?」
「んー、そうか? おまえが分かってくれるからあんまそんな気してなかったが」
「んんッ……。そりゃあ付き合いも長いですし? 言いたいことはわかりますけど? ……でも蘭丸が思ってること、蘭丸のくちからちゃんと聞きたいんだよ」
「……っ、あー、なるほど。言いたいことはわかった。ようは全部くちに出せばいいんだな」
「全部じゃなくてもいいけど……まあそういうことかな」
その結果がこちらです。
「体調悪いときはフォローするから言えっつったよな。仕事の出来なんて二の次だ。いくらでも挽回できる。……おまえが心配なんだよ。それくらいわかれ」
「唐揚げ食わせろ。……んあ、あちっ。うん、今日もうまいな」
「なぁ、キスしたい……目、つぶれ。……ん」
「れぇじ……気持ちいいな。おまえのここ、おれのこと離さねえ。熱く包み込んで締め付けてくる。……んっ、はぁ……。いま、締まったな? ……もうイきそうだ」
「好きだ」
「嶺二、愛してる」
ああ~~~~~!!!!!
なんかぼくがダメージ受けてない?!
ごめんぼくがわるかった。
ランランが言いたいことは、ぼくが察するから、もうだまって……!!
そう言いたいのにストレートな言葉を受け取りすぎて思考回路はショート寸前らしい。
「ぼくも……だいすき」
「ふっ……かわいいな」
許容量オーバーです……!